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プロローグ

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この国にはある伝統がある。

それは国民の中から勇者を選び、その者に魔王を倒すための旅に出させるという物だ。

選ばれた者に拒否権は無い。というか、正しくは拒否権張るけど、拒否した人を聞いたことがない。

だって勇者に選ばれることはとても栄誉なことだから。

選ばれた人の家族には見たことも無いような大金が送られ、村にも何か恩恵があるらしい。だから村から勇者が出たら村全体でお祝いするんだ。

魔王は倒しても、すぐまた新しい魔王が生まれるから勇者選びもずっと続いてく。

歴代の勇者について書かれた本は沢山ある。

それだけ長年にわたって勇者が活躍して魔王を倒し、この世界を救ってきたということだ。

少し怖いけど、僕も選ばれてみたいな。

ぎゅっと読んでいた本を抱きしめる。

もしも僕が勇者になったら、両親は喜んでくれるだろうか。

そう思いながらベッドに横になり目を閉じた。

明日は新しい勇者が選ばれる日。王都からの連絡が来るのが待ち遠しい。


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