魔王討伐のために何度も勇者を召喚した世界ついにその付けを払うときが来ました 【戦女神の救世】

クラットス

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春樹編

12 洞窟の奥から

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「ミデアの攻撃で倒せたか……」

 狼はミデアの攻撃で瞬殺された。春樹は因子の魔物ではないことを確認すると皆殺しにした魔物はどこにと思っていると。

「実は、最初に見つかった場所があるんです」

 ハルクは最初に発見された場所もあると言った。

 「では、そこへの案内を頼めますか?」

 春樹は、ハルクに頼むと「はい、喜んで」と言った。ハルクの印象が最初の頃より少し明るくなっていた。
 春樹は先程の戦闘を見て少し気が楽になったのかなと思ったと。

「では、参りましょう」


****

「こ、これはなんですの」

 ミデアは、森を抜けたかと思ったらそこには洞窟の入り口があった。

「この洞窟は村の子供の時にここにだけは来るなと忌み嫌われていたんですが、最近村に来た冒険者がここで魔狼が居たと報告をして、村の人達と一緒に入ったら俺以外を残して……」

 声量がどんどん小さくなっていくハルク。春樹はそれを見て早めに討伐しないといけないと思ったのか洞窟の前に立つと「僕が倒してきますよ」と殊勝なことを言うと、「私も行くわ」とミデアが言った。

「出てくるやつは、魔王の因子の魔物かもしれない死ぬかもしれない」

 春樹は言うが「上等ですわ」とミデアは口角を上げていた。

「ハルクさんはどうしますここに居ますか?」

 そう聞かれたハルクは少し俯いた。彼らの先程の戦闘を見て彼らなら倒してくれると今は思っていた。

「俺も行く、あいつが死ぬところを仲間達のために見るんだ」

 ハルクは憎しみの目を光らせていた。

「わかりましたでは、入りましょう」

 春樹達はそのまま洞窟に足を踏み込んだ。


****


 洞窟のなかは入り口からほぼ直進で進んでいると、部屋のやうな広い場所に行き着いた。

「ここは一体」

 春樹達は、四隅にかがり火をするためのかがりかごが見えた。洞窟の中に入る時暗かったので松明を携え進んでいた。その火をかがりかごに火を灯した。

「人が住んでいた後を感じる」

 春樹は、かがりかごがあった時点で人が出入りする何かだと思っていた。しかし、出入りするどころかまるで人がここに住んでいたかのように真ん中に石か何かで作られたテーブルや椅子が設置されていた。

「確かにそのような感じがしますわね。テーブルや椅子は土魔法で作られていますわね」

 ミデアは、中央にあった椅子やテーブルから魔法的なエネルギーを感じてそう言った瞬間、あの時の狼と同じように大きな遠吠えが聞こえた。

「こ、この声は奴です!」

 ハルクは、憎き敵である魔狼の声だと言った瞬間。
 部屋に入ってきた所の向かい側にあった別の入り口からドシンドシンとゆっくりと歩いてくるのを感じた。

「来るぞ」

 春樹がそう言った瞬間、その入り口から魔狼の姿を現した。

「でかい……ですわね」

 魔狼は、人間の三倍ぐらいあるかのような体躯をしていた。
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