魔王討伐のために何度も勇者を召喚した世界ついにその付けを払うときが来ました 【戦女神の救世】

クラットス

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始まりの勇者編

8 始まりの災禍

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 刺された赤鬼は氷を割りながらそのまま倒れこんだ、

「何だ、今のは」

 トウカはそう呟いた。赤鬼の方を向くと美希が「赤鬼の首筋が色が変わってませんか」、その箇所が赤黒く変色していた。

「さっきの刺されたのた何か原因があるのか」

 と、トウカは手を顎につけ首をかしげて考えようとした瞬間『ドクッドクッ』と音が聞こえ始めた。
 「この音、赤鬼の方から聞こえてきますよ」と指を指した美希。その言葉に二人は赤鬼の方をじっと見ていると、

「さっきより赤黒くなったところか大きくなってないかこの赤鬼」

 『ゴボゴボゴボボッ』

 すると、赤鬼の中身が液体になったかのように体が変形し始めた。

「こ、これ何ですかトウカさん!」

 トウカは分からなかった始めての経験に戸惑っていた。
 そうして呆然としていると、赤鬼の変形は止まった、

「さっきより三倍近く大きくなってないか赤鬼」 

 トウカの最初の感想。赤鬼は寝たままだったが明らかに大きかった。

『ドン』

 赤鬼は右手を空に上げ大きく叩きつけその反動を使い仁王立ちをした。

「で、でかすぎません」

 鬼は森の木よりも大きくなりその姿は先程の綺麗な赤と言うより赤黒い血のような色だった。
 赤鬼は仁王立ちをし腕を組んで足下を覗き美希に注視した。

「美希!」

 トウカがそう叫ぶと同時に美希はトウカによって突き飛ばされた。

「何するんですか!」

 振り向いた先には赤鬼の足だけがあった。
 美希はその瞬間、息が早くなり始め、手に汗が滲むのを感じ、自分の心音が森の中から聞こえてくるような錯覚に陥った。

「し、死にたくない!」

 赤鬼に向けて魔法を乱発し始めた。
 しかし、美希は攻撃魔法をろくに使えなかった、出した火の魔法はろうそくのような火に比較的得意な氷の魔法や水の魔法だがそもそも敵に当てる事が出来ない。

「どうして当たらないの!」

 美希は焦った、自分の攻撃が当たらない事と近づいてくる鬼の手に、
 
『ゴォォ』

 鬼はどんどん美希に近づいてきた、自分が何よりも強くなり大きくなって小さいものをいたぶる子供のように、今度は一瞬ではなく遊ぶように。
 近づいてくる手から逃れるためにここで美希は後退りし始めると後ろにあったのは泉だった。

「こ、この泉」

 その瞬間、美希は野球のボールぐらいの氷玉を生成した、

「魔力を回復させる泉、ここに入ってれば攻撃魔法を狙いを定めるまで維持できる」

 美希は五個の氷玉を自分の身の回りに浮かせ始めた、

「自分で殺らなきゃ死ぬ」

 覚悟を決めた。
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