魔王討伐のために何度も勇者を召喚した世界ついにその付けを払うときが来ました 【戦女神の救世】

クラットス

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始まりの勇者編

11 泉の攻防

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 ドロッとした血液がポタポタと水面に落ちるとその血は水に溶けず丸みを帯びた形をしていた。

「ぐぁっ!」

 赤鬼はそう吠えると腕から大量の血が吹き出したと思ったらその後血が止まっていた。

「痛みを感じないのか?」

 赤鬼はそのまま水に腕を浸けると水が沸騰し回りに蒸気を発した。

「ぐぅぅ」

 一彩はその異様さに唾を飲み込んだ。

 赤鬼は一彩に向かってファイティングポーズをしてきた、その際一彩は赤鬼の右腕が凝視した、

「焼けている……」

 赤鬼は自分の体温で腕を火傷できるまでに血液を排出して出血を止めていたのだ。
 
「ぐるっ!」

 赤鬼は右足に力を入れて一彩に突撃した、一瞬で一彩にの懐に飛び込んできた、

「しまっ!?」

 懐に入った赤鬼は左手を深く落とし一彩の顎を目掛けて鋭いアッパーを繰り出す、一彩はそれをギリギリでよけようとするもそれができず数ミリだけ顎を拳が当たった。

「うっ」

  一彩はその少しで膝をついてしまった。

  足が上手いこと動かすことができず膝をついたまま上半身を上げ視線も上げるが目の前には赤鬼は居なかった、

「どこいった!?」

 首を回すも周囲にはいなかった。

「一彩上だ!」

 その声を聞いた瞬間、上を向くと赤鬼の膝が向かってきていた、

『このままじゃ死ぬ!?』

 一彩は利き手ではない左腕を前に出した。

 そのまま赤鬼の膝蹴りを左腕だけで受けた。

 左腕からは鮮血が顔や泉にに広がった。

「ぐっ」

 赤鬼の膝は左腕から進まなかった、一彩は刀を赤鬼の膝に思いっきり突き立てた。

「ぐぎゃぁ!」

 初めて赤鬼が悲鳴を上げた。

 一彩はそのまま刀を引き抜くとそれと同時に赤鬼は一彩から離れた。

「くっ、こっちは一応病み上がりだってのに」

 そんなことは知らないと鬼は先程と同じように血液で火傷をさせ止血をした。

「それで治したっていうのかね赤鬼さん」

 一彩はそんなことを尋ねるも相手は魔物であり全く聞いていない。

 「今度はこちらから行く」

 そう言うと、一彩は右腕を赤鬼の方に構えて走った。

 それを見た赤鬼はまたポーズをとった。

「遅い!」

 一彩は刀を切り上げ赤鬼の左腕を切り宙に舞った、今度は赤鬼は右腕で一彩の首を掴みに掛かろうとした瞬間赤鬼の左腕は氷の矢に射られ吹き飛ばされ失っていた、

「こ、これは!?」

 一彩、一瞬だけその矢が来た方向をみるとそこには美希とトウカが居た、

「一彩、速く始末しろ!」

 その言葉にハッとした一彩は赤鬼の方に視線を戻した。

 赤鬼は左足を軸として右足を思いっきり振り抜いた、

「くっ」

 右足を避けるとその勢いで今度は左足を離しもう一度蹴り上げた。

 一彩はその攻撃が終わるのをぐっとこらえ頭を前に出さなかった。

 赤鬼は完全に両足をすかすもその勢いで後退した。

 一彩はその一瞬の隙に間を詰め右手の刀を氷にガリガリとさせそのまま股から胴体にかけ切り上げた。

 その攻撃は完全に食らった赤鬼は真っ二つとなり倒れた。

「一彩、倒したのね……」

 美希はその場面を見るとまた意識を失った。
 
  
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