魔王討伐のために何度も勇者を召喚した世界ついにその付けを払うときが来ました 【戦女神の救世】

昏鐘の勇者編

7 復讐鬼

「その後ろに居る人達は何だ！」

 悟は目の前に居る女に叫ぶんだ。
 しかし、女は「ふふ」と笑いながら先程攻撃しを仕掛けた武器のナイフをくるくると回しながら両手で胸の前に持ってきた、

「私はね、この国の人達が憎いの」

 女は歪んだ笑顔をしながら言ってきた。
 その笑顔を見た悟は異様な気配をのまれ額から冷や汗がでてきた。

「その後ろの人達は君が……」

 唾飲み込むように目の前にいる女に聞くとニコっと笑い「そうよ」と優しく返された、

「この国の人達は私の友と未来を奪ったのよだから私も奪ってやろうって思ったの」

 表情は変わらず一言一言にどこかしら重みを感じると最後に「いけないかしら？」と添えるように訪ねてきた、

「そ、それは」

 悟は彼女の雰囲気からそれなりの理由を汲み取ってしまった。 

「だけど、憎いというだけで罪の無い人を殺す理由にはならない！」

 悟は確信を持って言った。

「そう……私の時もそう言ってた……」

 女は悟の発言に聞くと遠い目をしながら呟いた、

「何の事を言っているんだ！！」

 しかし、女はすぐに悟の方に焦点を合わせた、

「貴方とは反りが会わないっていったのよ」

 言い終わると、手に持ったナイフを悟の頭に目掛けて投擲した。
 
「なにっ！？」

 一瞬の出来事で体を反らすとその勢いのまま悟は仰向けに倒れた。
 女は一瞬で距離を詰めると悟の視界にヒョコっと顔を出すと同時に今度は１メートルはある槍を馬乗りの状態で振りかぶり頭を串刺しにしようとした、

「くっ──」

 悟は息を止めるとその女を足で蹴りすぐに体勢を整えて魔力の剣を出した。

「あら、あなた丸腰だと思っていたのに魔力で剣を出せるのね……」

「何いってるんだ、このくらい誰でもできるじゃないか」

 悟はそう返すと、女は首を傾げながら「そうだったかなぁぁ」と言いながら頭に手を突っ込みグリグリとほじくり始めた。

「何やってんだお前そんなことすると死ぬぞ！」

 そう呼び掛けると女はその手を止めると地面スレスレまで首を傾げた、

「貴方、敵の私に死んじゃうぞ何て言うんですねお優しい人ですね」

 そう言うと女は頭に入れた手を引き抜いた、

「何も思い出せませんでしたけど大した事ではないでしょうし、それに私もできますからね」

 そう言うと悟に焦点を合わせ今度は両手で持たないといけないようなハンマーを片手で持っていた、

「いきますよー」

 と、呑気な口調で体を回転させ始めた女はその勢いに乗せハンマーをこちらに投げてきた、

「なっ！？」

 女性の身でありながら自分と同じより大きい物を軽く投げてきたのに驚いた。
 悟はこの攻撃に剣で防ぐのは無理だと思い直進的な動きのハンマーが1メートルのとこで跳躍し避けた。

「ピンポイントですのよ」

 声が聞こえた瞬間悟は上を向くと女が拳を構えておりそのまま振り下ろし悟は避けることもできずそのままステージ上に叩きつけられた。

『こ、こいつ強い……』

 悟は辛うじて意識を保ち仰向けになりながらもいまだ空中に居る女に対してそう思った。