記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子

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第ニ章 記憶喪失の転生幼女〜幼女×モフモフは最強説!?

決定権は誰の手に⋯?

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部屋にはコの字型のテーブルが設置されており、中央にルーク達メンバーが腰を掛け、向かって右手側にリューン帝国のクリス達、左手側にセイラン王国のデュラン達が腰を掛けた。

「では今後についての作戦会議を始める。今回の任務の目的は二つ。一つ目は聖獣白虎の番奪還。そしてもう一つは、セイラン王国の獣人が関わっていると思われる誘拐事件の真相究明。こちらに関しては獣人達が犯罪に巻き込まれている可能性がある為、その場合はこちらの救出までが任務となる。この両方にライオネル公国が関わっていると思われる為、今回異例ではあるが三国間共同での任務となった。皆、宜しく頼む。」

ルークの力強い言葉に、デュラン達獣人とクリス達が大きく頷く。

「まずはライオネル公国内部の情報収集を行う為、チームを大きく二つに分けたいと思う。リューン帝国側から情報を集めるチーム、もう一つはセイラン王国側から情報を集めるチームだ。聖獣様の容態にもよるが、まずは優先して番の救出を行う。それぞれのチームが国に着いたら、2週間ごとに互いの情報共有を行いたいと思う。」

そこまで黙って聞いていたクリスとデュランが疑問を呈する。

「情報共有は確かに必要ですが、リューン帝国とセイラン王国では距離があるので、手紙でのやり取りは時間がかかるのでは?2週間ごとでは往復も間に合わないかと。」

「グランに獣化して貰って運ぶにしても、そう何往復もさせるには流石に体力的にも厳しいと思うが?」

確かに、ギルド経由で手紙を出すにしても、魔の森を飛び越えて行くにしても時間はかかる。それを2週間ごとにと言われれば、最新情報の共有は難しいのでは?と言うのが最もな意見だ。
しかし、ここには規格外がもいる。


「実は、時間をかけずにやり取り出来る方法があるんだ。皆既に知ってると思うが、シークは希少な闇属性持ちだ。だからあまり知られていないんだが、影を使った魔法がある。説明するよりも実際見てもらった方がいいな。シーク、頼めるか?」

ルークの言葉に、全員がシークを見つめる。シークは立ち上がると、徐に呟いた。

「『影渡りシャドームーブ』」

するとシークの体が影にとぷんっと沈み姿が消えると、反対の壁際の影からすっと現れた。
それを目にした両国の冒険者達は皆唖然としている。漸く立ち直ったクリスが、無表情に見えるがどこか驚いた様子で声を発する。

「私は以前他の闇属性の魔法を見たことがありますが、ここまでの魔法は初めて目にしました。これにはかなり繊細な魔力コントロールがいるのでは?」

「その通りだ。これは元々魔力コントロールに優れていたシークだからこそ出来ていた魔法だが、実は聖獣様の加護を受けて魔力も増えたことによって、長距離でも移動が出来るようになった。」

⋯と言う事は。
全員がまさか?という表情でルークの続きを持った。

「そう。つまりシークにはリューン帝国とセイラン王国間でもこの魔法で移動が可能なんだ。ただし、移動先にシークの感知できる魔力があることが条件となる。それに一番適しているのが⋯実はアイリなんだ。」

今度は一同がアイリに視線をやる。

「先に来ていたデュラン達には話したが、実はアイリも聖獣様の加護を受けている。だからなのか、距離に関係なくシークはアイリの魔力の気配を察知することができるみたいなんだ。それを考慮してのチーム分けとなる。こちらは俺とアイリとミリーナとアレクの4人。ジーニアとシークとサニアの3人に分かれる。これで互いの情報共有は基本的にいつでも可能になる。」

あとはデュラン達とクリス達のメンバーをどう振り分けるかだ。
なるべく両チームバランス良く分けたい所だが、さてどうするか⋯⋯。

「ちなみに、情報が集まり次第リューン帝国側からは正規のルートを使ってライオネル公国に入る。そしてセイラン王国側からは多少危険だが、エルフの森を通ってライオネル公国に入る予定だ。」

ルークの言葉にまず反応したのはクリスだった。

「そうですが⋯でしたら、私はセイラン王国側のチームに入った方が良さそうですね。エルフの森を通るなら、私が案内出来ると思います。エルフの居住区にさえ入らなければ、基本的に彼らは無関心ですから。」

クリスが自身の庭とも言える森の案内役を買って出てくれたお陰で、そちらのルートでも危険が少なくなった。
そして獣人達の関わる誘拐事件が起こっているのはリューン帝国である為、そちらに獣人メンバーを多く振り分けることになった。
諸々の能力を考慮して話し合おうとしていると⋯⋯そこで、アイリが一言呟く。

「アイリ、またライオンのおうしゃまに会える?あしょびに行くって、やくしょくちたの⋯」

決してに行く訳ではないのだが、誰もそこにはツッコまない。そしてその一言で、人選が大きく動いた。

「なら、俺とアイリとミリーナ、アレクとクリスのメンバーはセイラン王国側から調査する。リューン帝国側のチームリーダーはジーニアに任せたいと思う。何かあればシークからこちらに連絡してくれ。あとのメンバーだが⋯」

「俺はセイラン王国の案内や王宮とのやり取りも出来る。だからルークさんのチームに入ろう。」

「あ、なら私も⋯「あとはララがこちらに入ってくれ。他のメンバーはリューン帝国側だ。」

デュランがルークの言葉に真っ先に反応し、まずは自分をねじ込んだ。そしてそれに続こうとしたラビの言葉を遮り、双子の鼠獣人の内ララをメンバーに入れ、他は全員リューン帝国側へと振り分けた。

「ちょっとー!?何自分だけちゃっかりアイリちゃんの方に入ってるのよ!」

「流石に戦力がおかしいのでは⋯」

ラビの叫び声が響き、ウルドは苦笑いで反論する。

「別に戦力はおかしくないだろ?諜報に長けてるお前達が広い国土を有するリューン帝国側から探る方がいいだろうし、こちらは俺一人でも充分だが、ララがいればライオネル公国に潜入した後の行動が取りやすい。」

意外にもちゃんと考えられた振分けに、他の獣人達も反論できずにただジト目でデュランを睨みつける。それをどこ吹く風で知らんぷりをしているデュラン。

そしてクリス側の冒険者達は空気を読んで動いた。

「じゃあこっちにも、リューン帝国の王宮と連絡取れる者が必要だな。それならこちらは俺とルイザ、タモがいればいいか?リオはクリス達と一緒だ。これでいいか?」

リヒトの振分けに誰も反論しなかった為、このままチーム分けが決まった。

セイラン王国側のメンバーが、ルーク・アイリ・ミリーナ・アレク・クリス・デュラン・ララ・リオ。
リューン帝国側のメンバーが、ジーニア・シーク・サニア・ラビ・ウルド・グラン・ルイ・リヒト・ルイザ・タモ。

「よし、それでは今後このメンバーで行動する。各自準備を整えたら、3日後に出発だ。こちらにはアイリがいるから少し余裕を持った日程で進むが、恐らく国に到着するのはそちらと同じくらいになるだろう。シーク、まず王都のギルドに着いたら連絡をしてくれ。もし途中で何か問題が発生すれば、ジーニアに判断を任せる。」

「全く、老人を酷使されますな。」




《ジーニア・シーク・サニア心の声》
果たしてこれはバランスが取れているのだろうか?
本来であれば、S級が二人も揃うなんてことは珍しいのだから、それぞれのチームに分かれて欲しいところだが、エルフの森を抜けるのにクリスは必須だ。
ならばデュランをリューン帝国側に⋯とも考えたが、本人も言ったように諜報に長けたメンバーがいた方がいい。それも納得だ。

だがしかし!!それならばルークさん、本来であればこの任務の責任者である貴方が一番に言わなければならない事を、あえて言わせてもらおう。

「「「貴方がリューン帝国側に行けば一番バランス取れてますっ!!」」」



かくして鶴の一声ならぬ、アイリの一声で決まってしまった。
明らかに戦力が偏って見えるが、これも過保護者からしてみれば致し方ないこと。

「やったー!またおうしゃまに会えるの~♪ほかのじゅうじんしゃんにも、会えるのたのしみなの♪」


アイリが喜んでいる。これでいいのだ。






※あ、そう言えばリヒトさん。お名前採用させて頂きました♪笑
他の方も、後々どこかで登場予定ですのでお楽しみに(*´∇`*)


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