葉月の夢

まちゃかり

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◯煩い 後半

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「細かく言うと、昨日人混みの中あたしがはぐれない様に抱き寄せてくれたり、ジュースを共有しあったり、花火を眺めた人だね」

 それ昨日、私が葉月さんにしたことじゃないかとツッコミたかったがグッと我慢した。

 何故私じゃないのかと叫びたかったが言わなかった。否、言えなかった。だって怖いじゃないか。もし聞いたとして拒絶な反応が返ってきたら、きっと私は立ち直れないだろう。

「さらに細かく言うとね。あたしの夢はね。涼之助さんを生涯のパートナーにしたい。これでもうわかるでしょ?」

 涼之助……? 

 よりにもよって私と同名だ。葉月さんにとってその方は余程素晴らしい人物なのだろう。

 本音は私も葉月さんを狙っていたのだが、彼女は涼之助という人が好きだというのであれば尊重するしかないだろう。

「そうか。交際が決まったら幼馴染である私に報告お願いする。葉月さんの幸せは私の幸せだから」

 私の発言を聞き逃すまいと聞き耳立てていた彼女は、程なくして大量の汗水を垂れ流しながら呆れ果てた。

「もう、直球に言うね……も、森宮涼之助さんと一緒の墓に入りたいの!」

 なんと!? まさかまさかの私と同姓同名とでた。

 ……ん?

「事実確認をさせてほしい。これはまやかしか?」

「現実だけど?」

「君は昨日、私以外の誰かと花火見に行ったのかい?」

「いや、涼之助さんと二人でいったじゃん」

「葉月さんにとって森宮涼之助は一人だけ?」

「目の前にいる人以外誰がいるってんの!」

「もしかして私に告白してる?」

「うん」

「な、なんだってぇぇぇ!?」

 んはバカな。だって、葉月さん。私に対して好意とか全然出さなかったじゃあないか。

「なんなら小学校の頃からずっと告白し続けてるよあたし! 10年だよ、10年!」

「な、なんだと!?」

 彼女はムクっと布団から飛び起きて、私の肩をガシッと掴んでこう言った。

「これから君がどんだけ朴念仁なのか、あたしの10年間の苦労話と共に思い知らせてやる! 今夜は寝かせないからね!」

「お、お手柔らかにお願いする……」

 このあと『昨日の告白、花火でかき消された』やら『修学旅行の時、雰囲気ぶち壊してカラオケし始めたの未だに根に持ってる』とか『小学生の時、告白したのに無視した』など、彼女の喋りは絶好調であり。宣言通り寝かせてくれなかった。

 彼女の表情は眩しかった。夏の日差しを受けるひまわりの様な笑顔で。
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