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金稼ぐぞ!
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――さてと、それじゃあ……。
「ブラムさん、お願いがあるんだが」
「なんだ?」
「今ある金じゃあ、この本を買うことはできない。でも、必ず金を溜めてこの本を買いに来る。――だから、一週間だけで構わない。この説話集を取り置きしてもらえないだろうか」
頼む、とブラム氏に頭を下げる。
一週間あれば、1000ゴルドくらい稼げるはずだ。
そうすれば、今ある全財産と合わせてこの本を買うことができる。
「わらわからも頼む。一週間だけ、こやつに猶予をくれ」
俺の隣でセシリアまで頭を下げてくれた。
普段、ナチュラル上から目線のこいつが、まさかここまでしてくれるとは……。
なんつうか、俺にも信じられない光景だ。
俺、もうこいつに頭上がらんかもしれんな。
ともあれ、二人でそろってブラム氏に誠心誠意お願いする。
だが、ブラム氏は丸太のような腕を組んだまま黙っている。
まずいな、値引き交渉の時と同じで、怒らせちまったかもしれん。
正直に言って、店から放り出されるかもな~くらいの予感がする。
いや、場合によっては「ふざけんな、クソガキ共!」ってタコ殴りにされるかも……。
ああ……。この沈黙、超心臓に悪い。
だけど……やっぱ駄目ですわ。
俺にはどうしても、この本を諦めきれん。
今度こそ本当にチビッちまいそうだけど、ここだけは引くに引けんのだ。
――と、俺が改めて覚悟を決めた、その時だ。
「……いいだろう。一週間だけ待ってやる」
「本当か!」
うおっ! マジか!
なんか黙り込んじまったから、やっぱり無理かと諦めモードだったんだけどな。
なんでも言ってみるもんだ。
「まあ、元々一週間以内に売れる見込みなんぞほとんどないからな。必ず買いに来ると言うなら、一週間くらい待ってやる」
「サンキュー、ブラムさん。恩に着るぜ!」
「礼など要らん。儂は商売をしているだけだからな。お前はさっさと本を買う金を作ってこい」
素っ気なくそう言い放つブラム氏。
見た目クッソこわいけど、案外いい人だな、このじいさん。
見た目どう見てもカタギじゃないけど!
「見た目微妙で中身残念なお主より100万倍くらいマシじゃろ」
黙れ、見た目だけのクソ邪神……と言いたいところだが、今日は借りがあるからな。
水に流してやるとしよう。
これで貸し借りなしだ! (←恩知らず)
ともあれ、これで最初に買う本は決まった。
俺はブラム氏に礼を言って、セシリアとともにクリスマス前の子供のようにワクワクした気持ちで店を後にした。
「さて! んじゃ、張り切って1000ゴルド稼ぐとするか!」
「ん~。まあ、適当に頑張れ。――って、うん?」
気のない返事をしていたセシリアが急に妙な声を上げる。
一体どうしたのかと思ったら、セシリアはテッテッテッとどこかへ向かって駆けだした。
「おい! どこ行くんだ!」
なんか知らんが迷子になられても厄介なので、とりあえず追いかけてみる。
すると、セシリアは広場に掲げられた掲示物の前で立ち止まった。
「のう、ヨシマサや。案外簡単に、目標金額の10倍稼げるかもしれんぞ」
「は? お前、何言ってんだ?」
急に訳の分からないことを言い始めたセシリア。
俺が訝しげな声を上げると、セシリアは国からのお触書を指し示す。
どうも、『アホウ、これを読んでみろ』という意味のようだな。
ふむ。
本来ならまずこのクソガキの頭をグリグリして反省を促すところだが、どうもふざけている様子はない。つまり、割と真面目な話ということだ。
というわけで、お仕置きはまたの機会にして、ともかく掲示に目を通してみる。
そこにはこう書かれていた。
『急募
東の森に救った魔王軍の残党退治クエスト
成功報酬:10000ゴルド』
「ブラムさん、お願いがあるんだが」
「なんだ?」
「今ある金じゃあ、この本を買うことはできない。でも、必ず金を溜めてこの本を買いに来る。――だから、一週間だけで構わない。この説話集を取り置きしてもらえないだろうか」
頼む、とブラム氏に頭を下げる。
一週間あれば、1000ゴルドくらい稼げるはずだ。
そうすれば、今ある全財産と合わせてこの本を買うことができる。
「わらわからも頼む。一週間だけ、こやつに猶予をくれ」
俺の隣でセシリアまで頭を下げてくれた。
普段、ナチュラル上から目線のこいつが、まさかここまでしてくれるとは……。
なんつうか、俺にも信じられない光景だ。
俺、もうこいつに頭上がらんかもしれんな。
ともあれ、二人でそろってブラム氏に誠心誠意お願いする。
だが、ブラム氏は丸太のような腕を組んだまま黙っている。
まずいな、値引き交渉の時と同じで、怒らせちまったかもしれん。
正直に言って、店から放り出されるかもな~くらいの予感がする。
いや、場合によっては「ふざけんな、クソガキ共!」ってタコ殴りにされるかも……。
ああ……。この沈黙、超心臓に悪い。
だけど……やっぱ駄目ですわ。
俺にはどうしても、この本を諦めきれん。
今度こそ本当にチビッちまいそうだけど、ここだけは引くに引けんのだ。
――と、俺が改めて覚悟を決めた、その時だ。
「……いいだろう。一週間だけ待ってやる」
「本当か!」
うおっ! マジか!
なんか黙り込んじまったから、やっぱり無理かと諦めモードだったんだけどな。
なんでも言ってみるもんだ。
「まあ、元々一週間以内に売れる見込みなんぞほとんどないからな。必ず買いに来ると言うなら、一週間くらい待ってやる」
「サンキュー、ブラムさん。恩に着るぜ!」
「礼など要らん。儂は商売をしているだけだからな。お前はさっさと本を買う金を作ってこい」
素っ気なくそう言い放つブラム氏。
見た目クッソこわいけど、案外いい人だな、このじいさん。
見た目どう見てもカタギじゃないけど!
「見た目微妙で中身残念なお主より100万倍くらいマシじゃろ」
黙れ、見た目だけのクソ邪神……と言いたいところだが、今日は借りがあるからな。
水に流してやるとしよう。
これで貸し借りなしだ! (←恩知らず)
ともあれ、これで最初に買う本は決まった。
俺はブラム氏に礼を言って、セシリアとともにクリスマス前の子供のようにワクワクした気持ちで店を後にした。
「さて! んじゃ、張り切って1000ゴルド稼ぐとするか!」
「ん~。まあ、適当に頑張れ。――って、うん?」
気のない返事をしていたセシリアが急に妙な声を上げる。
一体どうしたのかと思ったら、セシリアはテッテッテッとどこかへ向かって駆けだした。
「おい! どこ行くんだ!」
なんか知らんが迷子になられても厄介なので、とりあえず追いかけてみる。
すると、セシリアは広場に掲げられた掲示物の前で立ち止まった。
「のう、ヨシマサや。案外簡単に、目標金額の10倍稼げるかもしれんぞ」
「は? お前、何言ってんだ?」
急に訳の分からないことを言い始めたセシリア。
俺が訝しげな声を上げると、セシリアは国からのお触書を指し示す。
どうも、『アホウ、これを読んでみろ』という意味のようだな。
ふむ。
本来ならまずこのクソガキの頭をグリグリして反省を促すところだが、どうもふざけている様子はない。つまり、割と真面目な話ということだ。
というわけで、お仕置きはまたの機会にして、ともかく掲示に目を通してみる。
そこにはこう書かれていた。
『急募
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成功報酬:10000ゴルド』
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