残念魔王とロリ邪神は移動図書館で異世界を巡る

日野 祐希

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こんな屈辱、セシリア以来だ

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「うんうん。わかればいいのよ。あたしはシェリル。トレジャーハンターよ。よろしくね」

 刃物のような視線を引っこめて、子供のような笑顔を見せる美少女改めシェリルちゃん。
 どうやら、俺の命は助かったようだ。
 そして、グッバイ、マイラブ。
 短かったけど、いい夢だったぜ。(生きている間に覚めてくれて、本当に良かった……)

 では、改めて……。

「俺はヨシマサだ。改めて、助けてくれてありがとう」

「いえいえ、どういたしまして。――で、君は一体ここで何してんの? セクハラの罪で放り出されたとか?」

「なぜ最初に出てきた可能性がそれなのかは知りませんが、そんなアバンギャルドな理由ではないですよ」

 いきなりすごいことを言ってくる娘だね。
 この娘の方こそ、よく今まで名誉棄損で訴えられなかったものだ。(この世界に名誉棄損があるのか知らんけど)
 てか、この世界ではセクハラすると飛龍の餌にされるのか。
 何と恐ろしい世界なんだ、オヴァノール。
 まあ、俺は生まれてこの方、セクハラなんてしたことないジェントルマンだからな。関係ない話だ。(←無自覚)

 ――って、シェリルちゃんや。なんでそんなに驚いた顔してんの?

「ああ、ごめんね。……あまりに意外だったもんで」

「どういう意味ですかねぇ!?」

 俺の絶叫に、サッと目を逸らすシェリルちゃん。

 俺、なんか今、すごいひどいこと言われた気がすんですけど。ていうか、現在進行形でひどい態度取られてる気がするんスけど。
 何なの!?
 俺、そんなに性犯罪者か何かに見えるの?

「ああ、自覚ないタイプか……。厄介な……」

 小声でシェリルちゃんが呟く。
 けど君ね、割とよく通る声しているから丸聞こえですよ!
 なんだよ、「厄介な……」って!
 俺、無実ですよ。ガッツリ良識的な、普通の一般人ですよ!
 あとね、下手に気を使って聞こえないようにしようとか、その妙に温かい視線とか、結構傷つくんですけど!?

「あはは。まあ、気にしない、気にしない」

 俺としては正しておかなきゃいけない認識の齟齬だと思うんだけど……。
 まあいいや。
 たぶんこの娘、人の話をあまり聞かないタイプと見た。
 これ以上やっても、より一層残念な人を見る目で見られるだけだ、きっと。

 なんだろうな~。
 すっごい美人なのになぁ~。
 命の危険とか関係なく、絶対にお付き合いとかしたくない類に人だな、この娘。
 こんなタイプ、この世界に来てから初めてだ。(なお、セシリアは元々守備範囲外なのでノーカンで)

「で、結局君はここで何していたわけ?」

「ん? ――ああ、俺は単なる旅人だよ。で、休憩がてら乗り物の外で体操していたら、あの飛龍に襲われたの」

「へえ、そうなんだ。じゃあ、危ないからその乗り物のところまで送ってあげるよ」

「あ、いや、それはさすがに悪いよ。そこまでしてもらわなくても大丈夫。ホント、すぐ近くだから……」

 遠慮のジェスチャーをしつつ、ジリジリと距離を置く。

 美少女と二人歩き。本来なら、何を置いても飛びつくんだけどね。
 ぶっちゃけ、できるだけこの人とは関わりたくないですわ。
 いろんな意味でMP削られそうなんで……。
 いくら美人でも、この娘は例外。

「ふーん。でもさ、近くって言うけど、見た感じすぐ近くに乗り物なんて見えないよ。君、どこから逃げてきたの」

「ええと、あっちの方向から5kmくらい走ったかな」

 我ながら、よく走ったものだ。
 いつぞやのアイラさんほどではないが、あのスピードで5kmとか軽く人間離れしていると思う。
 邪神の眷属特典、恐るべし。(でも、調整が中途半端なところが玉に瑕)

「5kmって、結構な距離じゃん。今は飛龍が北へ渡る時期だから、下手するとまた襲われちゃうよ」

「うっ! それは……、しかし……」

「旅は道連れ世は情けって言うでしょ。(←「この世界でも言うのか!」byヨシマサ)んじゃ、レッツゴー!」

 腕を掴まれ、ズルズルと引き摺られる。
 あれ、おかしいな?
 腕を組むって、もっと甘酸っぱいうれし恥ずかしイベントだと思っていたんだけど……。
 なんかドナドナされる仔牛の気分だわ♪ (←半ばヤケ)

 ともあれ、こうして俺は妙な同行者を得て、懐かしのマイホーム・万桜号へと帰ることになったのだった。
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