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ドラゴンハント
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――パーン、パパーン!
遠く村の方から花火の音が聞こえる。
今日はウルス村の収穫祭最終日。ミスコンと――俺たちが参加する正式名『ドラゴンハント』が開催される日だ。
で、俺とセシリアと前魔王は、他の参加者たちとともにその会場へとやって来たわけだが……。
「なんだ、この断崖絶壁はーっ!!」
村から馬車で一時間。
目の前に広がったのは、高さがスカイツリーくらいありそうな断崖絶壁。それが数kmに渡って続いている。
その崖の前を、ファイアドラゴンたち(←今回の狩りの対象。上級龍種。すごく獰猛で強い)がたくさん飛び回っている。
ちなみに、ファイアドラゴンは目測で体長20mくらい。前に見たスケイルドラゴンや飛龍の倍以上の大きさだ。
しかも、名前の通り口から火を噴いている。
――うん。
「さあ、ファイアドラゴンも見れたし、もう満足したな。帰ろうか」
「ヨシマサよ、今更逃げられんぞ」
回れ右して帰ろうとしたら、セシリアに服の裾を掴まれた。
まあまあ、落ち着居いてその手を放すのだ、セシリアよ。
冷静に考えて、あれと戦うのは無理だ。
人間がやるべきことじゃないだろう? (←ニヒルな口調)
「いやだ! あんな怖そうなののところに飛びこむなんて、まっぴらごめんだ! 俺は帰るんだ! 帰ってミスコンを見るんだい!?」
「まずはお主が落ち着くのが先じゃろう。動転し切って本音がダダ漏れじゃ。それに変な汗が滝のように噴き出しておる上に、目線が定まっておらんぞ」
あんなの見たら当然だ。
しかも、事前に聞いた狩り方がシャレにならん!
これで落ち着いていられる方がどうかしている。
「他の参加者たちは余裕の表情じゃがな」
「あいつらは人間やめちゃった進撃してくる巨人さんたちだからな。あてにならん」
ミニマム巨○兵どもに人間としての常識を求める方が間違っているだろう。
普通の人間なら、必ず俺のような反応を示すはず。
そう。
つまり俺は、超常識人!
ちなみに非人間クラスの筆頭はこの間のフライパンおばちゃんと筋肉おじさんの夫婦だ。
三人一組なので、前魔王を見舞いに来てくれた村人からもう一人チョイスしてチームを組んでいる。この三人目も無駄に強そうだな。さっきからウォーミングアップの垂直跳びで2mくらい跳んでるんだが……。あれ、もう『跳ぶ』というか『飛ぶ』だな。
今回の競技にはもってこいかもしれん。
「ハッハッハ! まあ、そう心配するでない。大丈夫じゃ」
「この状況で何を安心しろと?」
「骨は可能な限り拾ってやる」
「食われたら?」
「供養だけはしてやる」
「ちなみにお前は?」
「バッチリ応援しておるぞ!」
なぜか日の丸の旗を取り出し、しゃんしゃんと振り始めたセシリア。
そうか、そうか。
応援してくれるのか。
わー、うれしいなー。
縄で腰に括り付けて、必ず一緒に連れていくから覚悟しておけ。俺たち、一蓮托生のパートナーじゃないか。(←般若の笑み)
「いやぁ、始めて来たけど、近くで見るとすごいね」
俺がセシリアにパートナーとは何たるかを説こうとしていたら、絶壁をのぞき込んでいた前魔王が戻ってきた。
そういや、こいつがいたこと忘れていたな。
なんと言うか、俺の中で存在感薄いんだよな、こいつ。
ただまあ、今回はチームメイトとしてこいつにも頑張ってもらわねばなるまい。
……あんまり使えそうにないが。
「そういや、お前は平気なのか。この競技、聞く限りかなりデンジャラスだぞ。ぶっちゃけ俺は今すぐ逃げたいくらいに怖いんだが」
能力的に、こいつは俺とどっこいどっこい。
多少頑丈な体をしているが、それ以外は完全に普通の人間だ。(セシリアに確認したから間違いない)
その割に、意外と落ち着いてんだよな、こいつ。
頭のネジが飛んでんのかな?
「うーん、怖くはないかな」
「ほう。その心は?」
「だって、セシリアやヨシマサがいっしょだからね。みんなで挑むのなら、怖いものなしだよ」
ニッコリとパーフェクトスマイルで前魔王が言う。
これで可愛い女の子なら完璧なんだけどな。
イケメンから言われると……微妙に倒錯した趣味の持ち主なのかと疑いたくなってしまうな。
それと前魔王よ、勘違いするな。
そこにいるクソ邪神は、一人だけ高みの見物決め込む気満々だぞ。
いっしょに挑む気なんて、サラサラないぞ。
「失敬なことを考えるヤツじゃな。わらわだって、ちゃんとお主らといっしょに競技に臨むぞ。やる気満々じゃ!」
「ふむ……。で、具体的には?」
「うむ! わらわの心は、いつでもお主たちとともにあるぞ。存分に励むがよい!」(←輝く笑顔でサムズアップ。最後に白い歯キラリ!)
よっしゃーっ!
張り切って縄探すぞ。絶対に解けないし、切れないヤツを見つけてやる。
覚悟しとけよ、マイパートナー?
――と、俺がグレイプニール(仮称)を探し始めた時だった。
「レディースエンジェントルメーン! 今年もこの時期がやって来ました。ウルス村収穫祭のメインイベント、『ドラゴンハント』開幕です!!」
司会者の声が拡声魔法越しに聞こえてきた。
どうやら、競技が始まるようだ。
チッ!
仕方ないな。ロープは諦め、スリーパーホールドを極めてセシリアを巻き込むとしよう。
何たって俺たちは一心同体のパートナー。どんな時だっていっしょだ。
ああ、ドラゴンに向かって飛びこむ時だってな。
「……逃げられると思うなよ、クソガキ」
「ヨシマサ、なんか顔が怖いよ」
前魔王から引かれてしまった。
いかん、いかん。
平静を装わなければ……。
今回のターゲットは狡猾だからな。油断させておいて、確実に仕留めるのだ! (←狩りの対象が変わっている)
遠く村の方から花火の音が聞こえる。
今日はウルス村の収穫祭最終日。ミスコンと――俺たちが参加する正式名『ドラゴンハント』が開催される日だ。
で、俺とセシリアと前魔王は、他の参加者たちとともにその会場へとやって来たわけだが……。
「なんだ、この断崖絶壁はーっ!!」
村から馬車で一時間。
目の前に広がったのは、高さがスカイツリーくらいありそうな断崖絶壁。それが数kmに渡って続いている。
その崖の前を、ファイアドラゴンたち(←今回の狩りの対象。上級龍種。すごく獰猛で強い)がたくさん飛び回っている。
ちなみに、ファイアドラゴンは目測で体長20mくらい。前に見たスケイルドラゴンや飛龍の倍以上の大きさだ。
しかも、名前の通り口から火を噴いている。
――うん。
「さあ、ファイアドラゴンも見れたし、もう満足したな。帰ろうか」
「ヨシマサよ、今更逃げられんぞ」
回れ右して帰ろうとしたら、セシリアに服の裾を掴まれた。
まあまあ、落ち着居いてその手を放すのだ、セシリアよ。
冷静に考えて、あれと戦うのは無理だ。
人間がやるべきことじゃないだろう? (←ニヒルな口調)
「いやだ! あんな怖そうなののところに飛びこむなんて、まっぴらごめんだ! 俺は帰るんだ! 帰ってミスコンを見るんだい!?」
「まずはお主が落ち着くのが先じゃろう。動転し切って本音がダダ漏れじゃ。それに変な汗が滝のように噴き出しておる上に、目線が定まっておらんぞ」
あんなの見たら当然だ。
しかも、事前に聞いた狩り方がシャレにならん!
これで落ち着いていられる方がどうかしている。
「他の参加者たちは余裕の表情じゃがな」
「あいつらは人間やめちゃった進撃してくる巨人さんたちだからな。あてにならん」
ミニマム巨○兵どもに人間としての常識を求める方が間違っているだろう。
普通の人間なら、必ず俺のような反応を示すはず。
そう。
つまり俺は、超常識人!
ちなみに非人間クラスの筆頭はこの間のフライパンおばちゃんと筋肉おじさんの夫婦だ。
三人一組なので、前魔王を見舞いに来てくれた村人からもう一人チョイスしてチームを組んでいる。この三人目も無駄に強そうだな。さっきからウォーミングアップの垂直跳びで2mくらい跳んでるんだが……。あれ、もう『跳ぶ』というか『飛ぶ』だな。
今回の競技にはもってこいかもしれん。
「ハッハッハ! まあ、そう心配するでない。大丈夫じゃ」
「この状況で何を安心しろと?」
「骨は可能な限り拾ってやる」
「食われたら?」
「供養だけはしてやる」
「ちなみにお前は?」
「バッチリ応援しておるぞ!」
なぜか日の丸の旗を取り出し、しゃんしゃんと振り始めたセシリア。
そうか、そうか。
応援してくれるのか。
わー、うれしいなー。
縄で腰に括り付けて、必ず一緒に連れていくから覚悟しておけ。俺たち、一蓮托生のパートナーじゃないか。(←般若の笑み)
「いやぁ、始めて来たけど、近くで見るとすごいね」
俺がセシリアにパートナーとは何たるかを説こうとしていたら、絶壁をのぞき込んでいた前魔王が戻ってきた。
そういや、こいつがいたこと忘れていたな。
なんと言うか、俺の中で存在感薄いんだよな、こいつ。
ただまあ、今回はチームメイトとしてこいつにも頑張ってもらわねばなるまい。
……あんまり使えそうにないが。
「そういや、お前は平気なのか。この競技、聞く限りかなりデンジャラスだぞ。ぶっちゃけ俺は今すぐ逃げたいくらいに怖いんだが」
能力的に、こいつは俺とどっこいどっこい。
多少頑丈な体をしているが、それ以外は完全に普通の人間だ。(セシリアに確認したから間違いない)
その割に、意外と落ち着いてんだよな、こいつ。
頭のネジが飛んでんのかな?
「うーん、怖くはないかな」
「ほう。その心は?」
「だって、セシリアやヨシマサがいっしょだからね。みんなで挑むのなら、怖いものなしだよ」
ニッコリとパーフェクトスマイルで前魔王が言う。
これで可愛い女の子なら完璧なんだけどな。
イケメンから言われると……微妙に倒錯した趣味の持ち主なのかと疑いたくなってしまうな。
それと前魔王よ、勘違いするな。
そこにいるクソ邪神は、一人だけ高みの見物決め込む気満々だぞ。
いっしょに挑む気なんて、サラサラないぞ。
「失敬なことを考えるヤツじゃな。わらわだって、ちゃんとお主らといっしょに競技に臨むぞ。やる気満々じゃ!」
「ふむ……。で、具体的には?」
「うむ! わらわの心は、いつでもお主たちとともにあるぞ。存分に励むがよい!」(←輝く笑顔でサムズアップ。最後に白い歯キラリ!)
よっしゃーっ!
張り切って縄探すぞ。絶対に解けないし、切れないヤツを見つけてやる。
覚悟しとけよ、マイパートナー?
――と、俺がグレイプニール(仮称)を探し始めた時だった。
「レディースエンジェントルメーン! 今年もこの時期がやって来ました。ウルス村収穫祭のメインイベント、『ドラゴンハント』開幕です!!」
司会者の声が拡声魔法越しに聞こえてきた。
どうやら、競技が始まるようだ。
チッ!
仕方ないな。ロープは諦め、スリーパーホールドを極めてセシリアを巻き込むとしよう。
何たって俺たちは一心同体のパートナー。どんな時だっていっしょだ。
ああ、ドラゴンに向かって飛びこむ時だってな。
「……逃げられると思うなよ、クソガキ」
「ヨシマサ、なんか顔が怖いよ」
前魔王から引かれてしまった。
いかん、いかん。
平静を装わなければ……。
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