残念魔王とロリ邪神は移動図書館で異世界を巡る

日野 祐希

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俺の味方はいないのか! (ヨシマサ、魂の叫び)

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「どうやら参加チームの準備が整ったようですね。では、行ってみましょう! 『ドラゴンハント』、レディ……」

 ――ドーンッ!

 背後で大砲がぶっ放される。
 同時に、各チームが一斉に駆け出した。

「さあ、始まりました『ドラゴンハント』! まずは、全チームが横並びで……って、おや? 1チーム、スタート地点に立ったままですね」

 司会が不思議そうに首をひねる。
 それもそのはず。
 なんでかいつまで経ってもスタートしないチームがいるからだ。
 ……まあ、我らがチーム・セシリアと愉快な仲間たちなんだが。

「フフフ……。このままではあっさり俺たちが優勝して、勝負が面白くならないのでな。10分間のハンデをやろう!」

「ヨシマサ、膝が笑ってるよ。大丈夫?」

 黙っていてもらおうか、前魔王。
 これは勝利を前にして武者震いしているだけだ。
 決して、スタート直後にビビッて動けなくなったわけではない。

「おーっと! チーム・セシリアと愉快な仲間たち、早速の優勝宣言だ!」

「これは見ているだけでイラッとくる態度ですね。私、これほどまでに人を殴り倒したいと思ったことは初めてです。――雑魚が粋がりやがって。今大会のベスト・オブ・クズに決定だ」(←いつの間にか現れた解説)

「このスカしたムカつく余裕が、この後の勝負にどう影響するか見ものですね。――てか、早く飛べやチキン野郎。失格にして呪い浴びせるぞ」

「おいこら、ちょっと待てや、司会と解説! 言い方に悪意込め過ぎだろう!?」

 誰がチキン野郎だ!
 違うと言っているだろうが!
 
「うーん……。なんじゃ、騒がしいのう……」

 やべ!
 今のでセシリアも目を覚ましちまいやがった。
 暴れられても面倒だしな。
 仕方ない。
 失格にならないうちに行くか。

「OK、諸君! 君たちの割れんばかりの歓声に応え、少し早いがショータイムといこう!!」

「「ブー、ブーッ!!」」(←割れんばかりのブーイングの嵐 by司会&解説)

 さっきからなんなんだ、てめえら。なんか俺に恨みでもあるのか!
 さすがに泣くぞ、こんちくしょう!

「――ハッ! ここは、スタート地点! ……チッ! 放すのじゃ、ヨシマサ。死ぬなら一人で死ね!!」

 だーっ!
 うるさいのが完全に起きちまいやがった。
 てか、こいつもこいつでひど過ぎだろう。
 何が「死ぬなら一人で死ね!!」だ。無二のパートナーに向かって、なんて言い草だよ。
 ここに俺の味方はいないのか!

「ヨシマサ! 力を合わせて、絶対に優勝しよう」

「アンデルス!」

 いたよ、味方。
 前魔王、お前マジでいいヤツだな。
 俺もう崖に向かって走りながら、感涙にむせび泣くわ。
 旅に出るのやめて、この村に残ろうかな。

「ええい、放せと言っておろうが。わらわを巻き込むな!」

 感動する俺の小脇で、セシリアがジタバタと暴れる。
 セシリアよ、「巻き込むな!」は俺のセリフだ。
 厄介事ばかり無駄にかき集めてきやがって。
 ここまで来たら、大人しく付き合え。
 俺たち、唯一無二のパートナーじゃないか。(←妙に優しい笑顔)

「ふざけるでないわ、ボンクラめ! ともかく、さっさと放すのじゃ」

「いててっ! 鼻の穴に指を突っ込むな!」

 ものすごい勢いでもがくセシリアを小脇に抱えたまま、崖へ向かって走る。
 ちくしょう。あんまり暴れんなよ。
 バランスが取りずれぇ!

「おーっと! チーム・セシリアと愉快な仲間たち、早速仲間割れか? ――いいぞ、セシリア選手。そのまま叩き落とせ!」

「ヨシマサ選手には、ぜひそのまま地獄への片道切符をつかみ取ってもらいたいものですね」

「お前らホント、どんだけ俺が嫌いなんだ!」

 司会と解説は、相変わらず絶好調だな。
 俺をディスる言葉が、どんどんエスカレートしていく。
 つか、俺ってばどんだけこの二人に嫌われてんだ。
 本当に俺、あんたたちに何かしましたか!?

「ヨシマサ選手とは初めて会ったのに、そんな気がしないこの感じ。一体何なのでしょうか……。私、長年探し続けた親の敵にあったような気分です。――親、ピンピンしていますが!」(←司会)

「これぞ正に、運命の出会い。これぞ正に、愛を超えた憎しみ! 我々は、彼に罵詈雑言を浴びせるために今日まで生きてきたといっても過言でないでしょう」(←解説)

「何言ってんのかまったく分かんねえけど、とりあえず最悪だよ、お前ら!」

 どうも俺が何かしたわけではないらしい。
 純粋にファーストインプレッションで俺が嫌いになっただけなようだ。
 うん。
 俺もたった今、お前たちのことが大嫌いになったぜ。

「――って、おろ?」

「うん?」

 司会と解説に気を取られていたら、踏み出した足の下に感触がない。
 一時休戦とばかりに顔を見合わせる俺とセシリア。
 冷や汗を流しながら、二人でゆっくり下を見ると……地面がありませんでした♪

「「ぎゃぁああああああああああ!?」」

「おおーっ!」

 喧嘩していたことも忘れ、抱き合い真っ逆さまの俺とセシリア。
 ついでにその後をついてくる前魔王。
 ヒャッホ―! スカイダーイビーングッ! (←錯乱中)

「「誰かたーすーけーてーっ!?」」

 ドラゴン満載の崖に、俺とセシリアのソウルシャウトが炸裂したのだった。
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