怖い話集 ホラー

信頼

ある日、私は深夜の帰宅途中に一本の道路を歩いていました。周りは暗く、街灯もまばらに点灯しているだけでした。

その道路には森が広がっており、その中には古びた墓地があると聞いていました。幽霊の噂も絶えなかったので、少し気味が悪さを感じながらも歩いていました。

すると、突然足元に何かが触れました。振り返ると、見知らぬ老婆が立っていました。彼女は不気味な笑みを浮かべ、私に話しかけてきました。

「若者よ、私に従ってくれ。森の奥にある私の家に案内してあげるわ」

彼女の言葉に心の奥底で何かが警鐘を鳴らしましたが、好奇心が私を勢いづけました。老婆はささやかなり動かし方を教えてくれ、私は彼女に従って森の中へと進んでいきました。

森の奥にたどり着くと、私たちは一軒の古い家に辿り着きました。その家は半ば崩れかけ、錆びた鉄柵に囲まれていました。心の中で「もう帰ろう」と思った瞬間、老婆は門を開けました。

中に入ると、部屋は暗く、薄暗い明かりが部屋を照らしているだけでした。不気味な雰囲気に身を包まれ、背筋が凍りつきました。

老婆は私に背中を向けたまま言いました。「あなたはこの家で一晩過ごさなければなりません。それが条件です」

私は恐怖に打ち震えながらも、なぜか従うことを決めました。何かが私を引き寄せているような感覚がありました。

夜が更けるにつれ、私は何度も奇妙な音や不気味な声が聞こえました。家中には見えない存在の気配が漂い、恐怖心が最高潮に達しました。

朝が来るまで、私は目を閉じて耐え続けました。そして、ついに夜明けの光が窓から差し込んできました。安堵のため息をついたその瞬間、私は後ろから何かにつかまれました。

振り返ると、そこには老婆の姿がありませんでした。代わりに、薄汚れた白いドレスをまとった幽霊のような女性が立っていました。彼女の目は赤く光り、顔には悪意と残忍さが滲み出ていました。

恐怖に身を震わせながらも、私は声を絞り出しました。「だ、誰ですか？」

女性の口元がゆっくりと歪み、嗤いのような笑い声が響きました。「私はこの家に縛られた霊魂よ。あなたが一晩過ごしたことで、私は解放されるのだわ。」

驚きと恐怖が入り混じった感情が私の心を支配しました。どうしてこんなことになったのか、どうして彼女は私を選んだのか、さまざまな疑問が頭を駆け巡りました。

女性は近づき、冷たい手を私の肩に置きました。「ありがとう、若者よ。お礼を言いたいと思うわ。私の力を借りて、あなたの願いを叶えてあげる。」

私は混乱の中で思考停止してしまいました。願いを叶えてもらえるのなら、この恐ろしい体験が報われるのではないかと考えたのです。

女性は微笑みながら私の手を取り、私の望みを問いました。「あなたの願いは何かしら？」

胸の内から湧き上がる願いを思い浮かべながら、私は躊躇いながらも口を開きました。「私の願いは、この恐怖から解放されることです。そして、この家との縁を断ち切りたいのです。」

女性は微笑みながら頷きました。「かしこまりました。それがあなたの願いならば、叶えてあげましょう。」

彼女の言葉と共に、部屋が明るさを取り戻し、不気味な存在の気配が一掃されました。私は安堵のため息をつきながら、この恐ろしい体験から解放されたことを感じました。

その後、私は急いでその古い家を出て、森を駆け抜けました。遠くからは女性の笑い声が聞こえましたが、私はその声を振り切り、安全な場所にたどり着きました。