怖い話集 ホラー

プール

ある夏の日、町の中にあるプールで友人たちと遊んでいた。プールは広々としていて、透明な水がキラキラと輝いていた。しかし、その日は何かが違っていた。

夕方になるにつれて、友人たちが次々と帰っていき、私は一人残された。そこで、遊泳するのをやめてプールサイドに座り、風に吹かれるのを楽しんでいた。すると、突然、プールの中から微かな音が聞こえてきた。

最初は何だろうと思って耳を澄ませると、次第にその音ははっきりと聞こえるようになった。水面を切り裂くような、小さな声が聞こえてきたのだ。恐怖心が湧き上がりながら、私はプールの中を覗き込んだ。

すると、そこには何もなかった。ただ静かな水面が広がっているだけだった。少し安心しながらも、なぜそのような音が聞こえたのか不思議に思いながら立ち上がると、再びその音が聞こえてきた。

恐怖に包まれながらも、私はその音のする方向を辿るようにしてプールサイドを歩いた。音はどんどん大きくなり、徐々に恐ろしいほどの鈍い音に変わっていった。私はプールの端にたどり着き、何かを見つけた。

プールの底には、水面から浮かび上がるようにして人の手が伸びていた。それは薄汚れた白い肌で、指先は腐りかけているように見えた。手は私に向かって伸びてきて、私は恐怖で声を上げた。

必死に逃げ出そうとする私だったが、足元が滑ってプールに落ちてしまった。水面に浮かび上がる手が私に迫ってくる中、私は絶望的な気持ちで叫び声を上げた。そして、意識を失った。

次に目を覚ました時、私はプールサイドに横たわっていた。何が起こったのか理解できず、恐怖と不安が胸を満たした。それからというもの、私はプールに近づくことを決してしなかった。そして、あの日以来、プールには二度と足を踏み入れることはなかったのだ。