怖い話集 ホラー

ストーカー

大学生の美沙は、日々の生活を楽しんでいた。友達も多く、勉強やアルバイトも順調で、特に不安なことはなかった。しかし、ある日を境に、彼女の日常は徐々に恐怖に包まれていく。

最初に気づいたのは、誰かに見られているような感覚だった。大学からの帰り道、後ろを振り返ると、誰もいない。しかし、その視線は確かに感じる。最初は気のせいだと思い込もうとしたが、次第にその感覚は強くなっていった。

ある夜、帰宅すると、ドアノブに違和感を覚えた。鍵が少し緩んでいたのだ。不審に思いながらも、鍵をかけ直し、その日は気にせず眠りについた。しかし、次の朝、玄関に差し出された手紙を見て、彼女の心臓は凍りついた。

「毎晩、君の寝顔を見ているよ。」

美沙は恐怖で震えた。部屋の鍵は常にかけていたし、窓も閉まっている。なのに、どうしてこんな手紙が？彼女はすぐに警察に通報し、部屋の周りを見てもらったが、何の証拠も見つからなかった。

それからというもの、美沙の生活は崩れ始めた。家に帰ると、どこかしらに変な違和感を感じる。タンスの中身が微妙にずれていたり、化粧品の位置が少し変わっていたり。彼女は疑心暗鬼に陥り、友人にも相談したが、誰も真剣に聞いてくれなかった。

ある夜、恐怖に耐えかねて友人の家に泊まることにした。その夜、彼女の携帯に一通のメッセージが届いた。

「今日はどうして帰ってこなかったの？」

その瞬間、美沙は全てを悟った。彼女のストーカーは、部屋の中にいる。そして、その事実に気づいたのは、あまりにも遅すぎた。

警察が再び部屋を調べたが、何も見つからなかった。しかし、美沙が部屋に戻ることは二度となかった。