都合の良いテンプレなんて存在しねぇ！

変わる世界

それぞれが思っていること

今回は遥斗は出ません。


--------渡視点

ギシギシ

軋む音が聞こえる。

「あら、あなた遥斗とのお話はどうしたの？」

階段付近にいた美雪が聞く。

「あぁ、すませてきたよ。遥斗は疲れたからもう寝るって」

「あら、心配ねぇ」

「そうだな。でもそろそろ飯をくれ腹が減った。」

その言葉と同時に渡の腹の音が鳴る。

「あらあら 、それじゃあ作りましょうかね♪」

美雪はそう言って台所に向かった。

現在はモンスターが出現していて、電気とガスが止まっているが代わりにカセットコンロ、手回し式充電器等を使っている。水に関しては雪が気流操作と気温操作を駆使して綺麗な水を創り出している。

「はぁ」

(随分と不便になったものだなぁ。)

不幸中の幸いか気温はまだマシだ。

現在は地獄のような暑さの夏が去った秋前を思わせるような気温だ。
ハッキリ言ってしまえば涼しくなったのだ。

そんな考え事をして天井を見上げていた渡の顔に影が差した。

--------健二視点

渡が降りてくるまでの健二はソワソワしていた。

先程遥斗が叫ぶまでの間は外での戦いの話や家族それぞれの能力について、どうカバーすれば良いか等を美雪と海音と話し合っていた。

戦闘系のスキルを持っていない健二は連携に重点を置くしかなく必死だった。

どんな連携で戦うかどの組み合わせで夜番にするか等を話していた時に遥斗の叫ぶ声が聞こえた。

健二は全速力で向かった。遥斗の叫びはすぐに止んだ。
遥斗の痛みが引いてもその場にいてやりたかったが、海音に促されてやむを得ず出てきた。

「出ようか」

「あっ.......」

海音がそう言った時健二は言い返そうとしたが、言葉が出なかった。
海音と目を合わせた時何とも言えぬ緊張感を感じた。
海音の瞳は普段は黒なのにこの時は蒼色に見えた。
その瞳を見ていた健二は呼吸が自然と速くなり冷や汗が流れる。

「はぁはぁはぁ」

健二のその様子を確認すると海音は笑顔になり、健二が感じていた緊張は霧散するかのように和らいだ。

(もしかして『威圧』？)

健二が知っているもので1それが番可能性が高かった。

(でもなんか変だ)

威圧と言うには微妙に違う。似ているが同じでは無い。

そんな事を考えてる内にリビングに戻ってきた。リビングに戻ってきたことはいいのだが健二はなかなか落ち着かずしばらくウロウロしていた。

そんな風にウロウロしたり雪達と話したりして時間を潰していた。
先程あんな状態になったにも関わらず、いつも通りに海音と話せていたことに健二自身が驚いていた。
 
そんな事だったからか、さっきの威圧のようなものは気の所為ではないかと思えていた。

(そういえばアイツは大丈夫かな？)

健二は心の余裕が出来たのか、ある女性のことを思い出す。

(アイツならこの程度どうとでもなるな)

健二は彼女にそんな信頼を抱いていたのだった。


弓道部のエースとも言える存在、白峰しらみね   香澄かすみへと.......



この話はフィクションです
キャラの名前、企業、団体は現実とは関係ありません