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恋人関係の始まり
第十一話:愛情の証
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第十一話:愛情の証
月乃は、朝いつものように起床する。しかしいつもの朝と違って、今日は身体がなんとなく重い。数日前から若干の、のどの痛みと鼻詰まり、それに倦怠感があった。ここしばらくよく眠れていないのが原因だろうか…。一応熱を測ってみることにする。…三十七.八度…。微妙な所である。やはり風邪だろうか。まだ熱が高くなりそうな気がしてならないが、とりあえず風邪薬を飲んで出勤しなければ。八宵の呼吸安定のためにも、休むわけにはいかない。
朝のミーティングを終え、いつものように八宵の保護室に行く。今日はキスをしてやれないから、使い魔のクリオネから霊力を分けてやらないとな、と考える。案の定、保護室では、やはり八宵は、開口一番にキスをせがんできてしまう。
月乃は、
「ごめん、八宵。今日はちょっと俺、風邪気味だから、キスはできないから…。でもちゃんとクリオネ呼んで霊力は回復してやれるから」
と八宵に告げると、
八宵は、えぇ~と不満そうにするが
「でも、月乃、風邪って大丈夫なの?なんか顔もいつもと比べて赤いし、辛そうだけど、お仕事休んでも良かったんじゃないの?」
と心配そうにしている。
月乃は
「このくらいでな、普通の人間の大人は仕事休んだりできないんだよ。はぁ、ちょっと椅子に座ってもいいか…」
と八宵に断りを入れて椅子に座る。
八宵は
「月乃、辛かったら僕のベッド使ってもいいよ…」
と提案してみるが、月乃はというと、顔を赤くしてゴホゴホと咳をしながら、
「そんなことッ…出来るわけないだろ…ッ!?」
と答えるのだった。
月乃の使い魔のクリオネを呼んで、今日一日はこれで八宵の呼吸も大丈夫そうだ。
月乃は
「お前の呼吸安定の方法、俺が居なくても大丈夫なように、別の供給方法もなんか考えなきゃな…」
と八宵に告げる。
八宵はというと、やはりそれにはあまり納得がいかないのか、
「やだ!今日はキス、我慢できるけど、月乃からキスして貰わなきゃ嫌だからね!」
と激しく抵抗するのだった。
月乃は、
「そう大きい声出すなって…。まぁ、お前が良かったらなんだけど、知り合いに霊力制御出来るアクセサリーみたいなの売ってる、なんでも屋というか、雑貨屋みたいな所があるんだけど、良かったら今度、外出がてら一緒に行ってみるか?」
と八宵に声をかける。
八宵は、
「また月乃と一緒に遊びに行けるの?!僕行きたい!じゃあ早く風邪治して一緒に遊びに行こうね」
とにこやかに応えるのであった。
月乃は、そのキラキラとした眼差しを見ていると、もう少し保護室に居ようか…などと考えてしまうが、今日の業務や雑務もまだまだ残っているので、そろそろ保護室を出なければならない事を思い出す。そして、以前に八宵が、自分の部屋に置いて欲しいと懇願していた、金魚のお墓である植木鉢を八宵に渡すのであった。
月乃は、
「これ以上一緒にいたら、お前に風邪うつしてもだめだし、今日もちゃんと良い子でいろよ?」
と八宵に語りかけると、
八宵は
「僕はもっと一緒にいたいけど…」
とぽつりと溢すのであった。
「風邪が治るまでは、な?」
と言い聞かせると八宵も納得してはいるようであった。
そして、月乃と八宵は日を改めて、八宵の呼吸安定のための霊力制御用のアクセサリーを一緒に見に行くこととなった。
後日、風邪の治った月乃は八宵を連れて、公共交通機関を使って、いつもよりも少し離れた所に向かった。
ある通りの路地裏で、少し胡散臭そうな中華風の男が経営している雑貨屋さんに着いた。その男は「劉 蛇眼」と名乗り、どこか人を警戒しているような雰囲気を纏っているが、他者にとって何か悪意があるわけではない風貌の男であった。その雑貨屋では、異国の品であったり、様々な便利な薬品や土産の品物を売っている。中には人体に影響しそうな危なかっかしい薬品のような物もあるが…。
月乃は
「ここに霊力制御用のアクセサリー売ってるって聞いて来たんだが、見せてくれないか?」
と頼むと、
その店主は
「アイヤー。二人はカップルさんかねぇ。イイのアルヨー。これなんてドウ?」
とシルバー系の簡素な指輪を月乃と八宵に見せて来た。
八宵は、昔自分が大事に持っていた五百円玉と同じような銀色の光を纏っている、その指輪を大変気に入った様子で、
「月乃、これすごく良いよ…付けてるだけで、なんか胸の苦しいのがなくなってくみたいで…」
と言う。月乃はすぐさま、これください、とシルバーリングを買うと、すぐに八宵の右手の人差し指に付けてやるのであった。
その日の帰りは、いつもよりも八宵は元気な様子でスキップしながら帰って行った。しかし、八宵にはひとつ心配なことがあった。指輪を買ってしまったことで、月乃からキスして貰えなくなるのではないかということであった。
八宵は月乃に
「指輪は買ったけど、帰ったらちゃんとキス…してね」
と月乃の耳元でお願いすると、月乃は顔を赤くしてしまうのだった。
月乃は、朝いつものように起床する。しかしいつもの朝と違って、今日は身体がなんとなく重い。数日前から若干の、のどの痛みと鼻詰まり、それに倦怠感があった。ここしばらくよく眠れていないのが原因だろうか…。一応熱を測ってみることにする。…三十七.八度…。微妙な所である。やはり風邪だろうか。まだ熱が高くなりそうな気がしてならないが、とりあえず風邪薬を飲んで出勤しなければ。八宵の呼吸安定のためにも、休むわけにはいかない。
朝のミーティングを終え、いつものように八宵の保護室に行く。今日はキスをしてやれないから、使い魔のクリオネから霊力を分けてやらないとな、と考える。案の定、保護室では、やはり八宵は、開口一番にキスをせがんできてしまう。
月乃は、
「ごめん、八宵。今日はちょっと俺、風邪気味だから、キスはできないから…。でもちゃんとクリオネ呼んで霊力は回復してやれるから」
と八宵に告げると、
八宵は、えぇ~と不満そうにするが
「でも、月乃、風邪って大丈夫なの?なんか顔もいつもと比べて赤いし、辛そうだけど、お仕事休んでも良かったんじゃないの?」
と心配そうにしている。
月乃は
「このくらいでな、普通の人間の大人は仕事休んだりできないんだよ。はぁ、ちょっと椅子に座ってもいいか…」
と八宵に断りを入れて椅子に座る。
八宵は
「月乃、辛かったら僕のベッド使ってもいいよ…」
と提案してみるが、月乃はというと、顔を赤くしてゴホゴホと咳をしながら、
「そんなことッ…出来るわけないだろ…ッ!?」
と答えるのだった。
月乃の使い魔のクリオネを呼んで、今日一日はこれで八宵の呼吸も大丈夫そうだ。
月乃は
「お前の呼吸安定の方法、俺が居なくても大丈夫なように、別の供給方法もなんか考えなきゃな…」
と八宵に告げる。
八宵はというと、やはりそれにはあまり納得がいかないのか、
「やだ!今日はキス、我慢できるけど、月乃からキスして貰わなきゃ嫌だからね!」
と激しく抵抗するのだった。
月乃は、
「そう大きい声出すなって…。まぁ、お前が良かったらなんだけど、知り合いに霊力制御出来るアクセサリーみたいなの売ってる、なんでも屋というか、雑貨屋みたいな所があるんだけど、良かったら今度、外出がてら一緒に行ってみるか?」
と八宵に声をかける。
八宵は、
「また月乃と一緒に遊びに行けるの?!僕行きたい!じゃあ早く風邪治して一緒に遊びに行こうね」
とにこやかに応えるのであった。
月乃は、そのキラキラとした眼差しを見ていると、もう少し保護室に居ようか…などと考えてしまうが、今日の業務や雑務もまだまだ残っているので、そろそろ保護室を出なければならない事を思い出す。そして、以前に八宵が、自分の部屋に置いて欲しいと懇願していた、金魚のお墓である植木鉢を八宵に渡すのであった。
月乃は、
「これ以上一緒にいたら、お前に風邪うつしてもだめだし、今日もちゃんと良い子でいろよ?」
と八宵に語りかけると、
八宵は
「僕はもっと一緒にいたいけど…」
とぽつりと溢すのであった。
「風邪が治るまでは、な?」
と言い聞かせると八宵も納得してはいるようであった。
そして、月乃と八宵は日を改めて、八宵の呼吸安定のための霊力制御用のアクセサリーを一緒に見に行くこととなった。
後日、風邪の治った月乃は八宵を連れて、公共交通機関を使って、いつもよりも少し離れた所に向かった。
ある通りの路地裏で、少し胡散臭そうな中華風の男が経営している雑貨屋さんに着いた。その男は「劉 蛇眼」と名乗り、どこか人を警戒しているような雰囲気を纏っているが、他者にとって何か悪意があるわけではない風貌の男であった。その雑貨屋では、異国の品であったり、様々な便利な薬品や土産の品物を売っている。中には人体に影響しそうな危なかっかしい薬品のような物もあるが…。
月乃は
「ここに霊力制御用のアクセサリー売ってるって聞いて来たんだが、見せてくれないか?」
と頼むと、
その店主は
「アイヤー。二人はカップルさんかねぇ。イイのアルヨー。これなんてドウ?」
とシルバー系の簡素な指輪を月乃と八宵に見せて来た。
八宵は、昔自分が大事に持っていた五百円玉と同じような銀色の光を纏っている、その指輪を大変気に入った様子で、
「月乃、これすごく良いよ…付けてるだけで、なんか胸の苦しいのがなくなってくみたいで…」
と言う。月乃はすぐさま、これください、とシルバーリングを買うと、すぐに八宵の右手の人差し指に付けてやるのであった。
その日の帰りは、いつもよりも八宵は元気な様子でスキップしながら帰って行った。しかし、八宵にはひとつ心配なことがあった。指輪を買ってしまったことで、月乃からキスして貰えなくなるのではないかということであった。
八宵は月乃に
「指輪は買ったけど、帰ったらちゃんとキス…してね」
と月乃の耳元でお願いすると、月乃は顔を赤くしてしまうのだった。
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