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女王を奪還せよ
暗黒教団『闇の安息』
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「申し遅れました、私は暗黒神エレシュマ様を信奉する教団『闇の安息』の司祭を務めておりますアルストロメリアと申します」
小柄な闇エルフはペコリとお辞儀をすると、自己紹介を始めました。本当に暗黒神を信奉してるんですね。闇エルフという呼び名の理由がそれだから当然と言えば当然なんですけども。
「はあ、私はこの冒険者ギルドのギルドマスターをしております、エスカです。それでうさちゃんを救うというのは?」
うさちゃんと言うからにはウサギなんでしょうけど、一体何があったのでしょうか?
「はい、私達の国『フローラリア』は闇エルフとウサギの獣人が仲良く暮らす国なのですが、西のハイネシアン帝国から悪い人間がやってきてうさちゃんをさらっていくんです。あの子達はすぐに他人を信じてしまうので奴隷商人の口車に乗ってハイネシアンの首都ケストブルグについていって、そこで奴隷として働かされています」
なるほど、その連れ去られたウサギ達を助けて欲しいというわけですか。ウサギは地図だと大陸の北東にある川沿いに住んでいるようです。
確かにハイネシアン帝国のすぐそばですね。
「ええと、そういうのは政治の話になるので冒険者ギルドでは対応しかねますね」
話を聞く限り、冒険者がどうにかできるものではなさそうです。闇エルフに協力したとあっては貴族達もいい顔をしないでしょうし、可哀想ですがギルドにできることはありませんね。
「あっ、ギルドとして対応してくださらなくて結構です。我々の立場は分かっているつもりですから」
アルストロメリアさんは私の考えを察したのでしょう、ギルドの関与は否定しました。そういえば救ってくれる人がいるって言ってましたね、誰かは分かりませんが冒険者が個人的に救うのなら問題ないでしょうが、やはり頭の固い貴族達は何か言ってきそうですね。普通のエルフですらハゲが捕まえようとしていましたし。
「……それで、お探しの方はどなたでしょう?」
とはいえ、ヨハンさんなら勇者の仕事だとか言って勝手に引き受けましたで済みそうですし、タヌキさんなら獣人繋がりで助けに行っても言い訳が立ちそうです。コウメイさんに至っては新しい研究と言えば貴族も黙るでしょう。暗黒神のご指名はどなたですかね?
「レナ・グルカゴンさんという方にお願いしたいのですが」
レナさん!?
基本人任せで「めんどくさい」が口癖で戦闘能力が皆無なあのレナさんですか!?
「本当にレナ・グルカゴンさんで間違いないですか?」
「はい!」
自信満々に言い切られてしまいました。まあ、依頼者本人がそう言うのなら構いませんが。
「大丈夫よエスカ、私も行くから!」
そこにミラさんがやる気に満ちた表情で同行を申し出ました。だから連れてきたんですね。
「その心は?」
「うさちゃんモフモフしたい!!」
えぇ……。
アルストロメリアさんもうんうんと頷いています。同好の士でしたか。もうミラさんが一人で助けに行けばいいんじゃないですかね?
「では、レナさんを呼びますね。確か今日は、というかいつも家でゴロゴロしているはずです。前の指令で得た報酬で数年は働かなくても大丈夫とか」
まあ、冒険者なんて危険な仕事を好き好んでやる方がおかしいのですが。本当になぜ暗黒神はこの人を指名したのでしょう?
「彼女のスキルは意外とレアだからね~」
恋茄子がフォローしますが、そんな理由ではないと思います。
何はともあれ、レナさんの家に使いを出して返事を待つのでした。
小柄な闇エルフはペコリとお辞儀をすると、自己紹介を始めました。本当に暗黒神を信奉してるんですね。闇エルフという呼び名の理由がそれだから当然と言えば当然なんですけども。
「はあ、私はこの冒険者ギルドのギルドマスターをしております、エスカです。それでうさちゃんを救うというのは?」
うさちゃんと言うからにはウサギなんでしょうけど、一体何があったのでしょうか?
「はい、私達の国『フローラリア』は闇エルフとウサギの獣人が仲良く暮らす国なのですが、西のハイネシアン帝国から悪い人間がやってきてうさちゃんをさらっていくんです。あの子達はすぐに他人を信じてしまうので奴隷商人の口車に乗ってハイネシアンの首都ケストブルグについていって、そこで奴隷として働かされています」
なるほど、その連れ去られたウサギ達を助けて欲しいというわけですか。ウサギは地図だと大陸の北東にある川沿いに住んでいるようです。
確かにハイネシアン帝国のすぐそばですね。
「ええと、そういうのは政治の話になるので冒険者ギルドでは対応しかねますね」
話を聞く限り、冒険者がどうにかできるものではなさそうです。闇エルフに協力したとあっては貴族達もいい顔をしないでしょうし、可哀想ですがギルドにできることはありませんね。
「あっ、ギルドとして対応してくださらなくて結構です。我々の立場は分かっているつもりですから」
アルストロメリアさんは私の考えを察したのでしょう、ギルドの関与は否定しました。そういえば救ってくれる人がいるって言ってましたね、誰かは分かりませんが冒険者が個人的に救うのなら問題ないでしょうが、やはり頭の固い貴族達は何か言ってきそうですね。普通のエルフですらハゲが捕まえようとしていましたし。
「……それで、お探しの方はどなたでしょう?」
とはいえ、ヨハンさんなら勇者の仕事だとか言って勝手に引き受けましたで済みそうですし、タヌキさんなら獣人繋がりで助けに行っても言い訳が立ちそうです。コウメイさんに至っては新しい研究と言えば貴族も黙るでしょう。暗黒神のご指名はどなたですかね?
「レナ・グルカゴンさんという方にお願いしたいのですが」
レナさん!?
基本人任せで「めんどくさい」が口癖で戦闘能力が皆無なあのレナさんですか!?
「本当にレナ・グルカゴンさんで間違いないですか?」
「はい!」
自信満々に言い切られてしまいました。まあ、依頼者本人がそう言うのなら構いませんが。
「大丈夫よエスカ、私も行くから!」
そこにミラさんがやる気に満ちた表情で同行を申し出ました。だから連れてきたんですね。
「その心は?」
「うさちゃんモフモフしたい!!」
えぇ……。
アルストロメリアさんもうんうんと頷いています。同好の士でしたか。もうミラさんが一人で助けに行けばいいんじゃないですかね?
「では、レナさんを呼びますね。確か今日は、というかいつも家でゴロゴロしているはずです。前の指令で得た報酬で数年は働かなくても大丈夫とか」
まあ、冒険者なんて危険な仕事を好き好んでやる方がおかしいのですが。本当になぜ暗黒神はこの人を指名したのでしょう?
「彼女のスキルは意外とレアだからね~」
恋茄子がフォローしますが、そんな理由ではないと思います。
何はともあれ、レナさんの家に使いを出して返事を待つのでした。
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