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北の帝国と暗黒神の使徒
エルフの森にて
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イヌ族のテリトリーを抜けても、すぐにハイネシアン帝国領に入るわけではありません。またエルフの森を抜けていきます。
「この辺はエルフの中でも特に排他的な子達が集まっているんです。そんな性格だから他のエルフ達から疎まれてこんな端っこの方に追いやられてしまったんですけどね」
アルストロメリアさんがなかなか辛辣な説明をしています。闇エルフからここまで言われるとは、相当ですね。シトリンのようなチョロエルフとは違うのでしょう。
そういえば彼女はジュエリアに戻っていないらしいですね、アレキサンドラ女王とサフィールは戻ったと報告があるのですが。ヨハンさんと駆け落ちでもしたのでしょうか? あとでヨハンさんの居場所を探ってみましょう。
「何か近づいてくるよ! たぶんそのエルフだと思う」
ラウさんが鼻をひくひくさせながら言いました。警戒している表情からして、相手はあまりいい性格ではなさそうですね。すぐにサラディンさんとミラさんが戦闘態勢に入りました。レナさんとアルストロメリアさんは後ろに下がります。ちょっと遅れてラウさんがサラディンさんの横に立ち、細剣を構えました。コウメイさんは特に反応しません。マイペースにもほどがありますが、この人はこの状態からモンスターを瞬殺するからたちが悪いというか……コホン。
『オッパーイ!』
あっ、コウメイさんが眼鏡をクイッとしてミミックを召喚しました。魔法を使った様子はありませんが、どういう技なのでしょう?
「なんだこいつら、人間にイヌに闇エルフに……モンスターまでいるぞ」
確かになんだこいつらなメンバー構成です。それに対して森の奥から現れたのは平均的なエルフの集団ですね。特筆することもない金髪青い目白い肌貧乳に尖った耳の集団です。誘惑されるような男もいないので敵としてもまったく怖くない相手ですが、戦うつもりなのでしょうか。
「我々はハイネシアン帝国に向かっているところだ。エルフと争うつもりはない」
サラディンさんが剣を構えつつエルフ達に言いますが、向こうは穏便に通す気はなさそうです。相手の力量がわからないのでしょうか。困ったものです。
「ふん、こんな怪しい集団を黙って通すと思っているのか?」
『オッパーイ!!』
なんでそのタイミングで鳴くんですか!? エルフ達の表情が険しくなりました。弓を構えてミミックを狙っています。私だったら既に雷が落ちているところでしたね。
「くっ、それに関しては反論できないわ……」
分かりますけど、面倒だから適当に燃やして進んではいかがでしょう? ミラさんエルフの森焼くの好きでしょ(偏見)。
「仕方ありませんねー、『カーム・ダウン』」
アルストロメリアさんが闇魔法を使いました。これは興奮している相手の精神を強制的に落ち着かせる魔法ですね。酒場で便利な魔法です。
「実は私達の友達がハイネシアン帝国に奴隷として連れていかれて、助けるためにギルドの協力を要請したんです。知っているでしょう? 冒険者ギルド」
「あの森を燃やしてまわっている連中か!?」
どういう噂が流れているんですか!? 原因は分かってますけど!
「分かった、我等の森を燃やさないと約束するならここを通してやろう」
「感謝する。燃やさないと誓おう。分かったな、ミラ」
「なんで私に言うのよ」
むしろミラさん以外の誰に言う必要が?
サラディンさんが約束すると、最初の敵意むき出しな状態が嘘のようにエルフ達は大人しく帰っていきました。闇魔法も使いようですねー。
「冒険者ギルドの悪名が効いたんじゃないの~?」
「そ、そんなことありませんよ!」
恋茄子が妄言を吐いていますが、断じて違います! たぶん。
「ふむ、エルフは面白くないので戦いを避けられてよかった」
コウメイさんは面白いかどうかしか判断基準がないのでしょうか。面白いと思われた方が怖いのですけど。
「凄いやお姉ちゃん!」
ラウさんが無邪気にアルストロメリアさんを称賛します。ああ、そんなことを言うとまた撫で回されますよ!
「えへへー、そんなことないでちゅよー」
でちゅ!?
「モフモフ!」
語彙力が喪失したレナさんも加わって、ラウさんがもみくちゃにされています。いいからさっさとハイネシアン帝国に行ってくださいよ勇者様。
「さあ、日が暮れる前にキャンプできる場所を探そう」
サラディンさんに促され、一行は北へ向かうのでした。こんな調子で大丈夫なんでしょうか?
◇◆◇
「勇者と言えば、ヨハンさん達がどこに行ったのか調べてみましょうか」
黒エルフの国を脱出した後は、ソフィアさんとアルベルさんがアレキサンドラ女王、サフィールと共にジュエリアにたどり着いたと報告がありました。他のメンバーとは森の中ではぐれたらしいのですが……?
管理板をつついて彼等の居場所を見ます。ヨハンさん、コタロウさん、タヌキさんは一緒にエルフの森で行動しているみたいですね。おそらくシトリンとトウテツもいるのではないでしょうか。
「少し追跡してみますね」
サラディンさんがいればハイネシアン組は大丈夫でしょうし、ちょっとヨハンさん達のあれからの行動を見てみましょう。
「この辺はエルフの中でも特に排他的な子達が集まっているんです。そんな性格だから他のエルフ達から疎まれてこんな端っこの方に追いやられてしまったんですけどね」
アルストロメリアさんがなかなか辛辣な説明をしています。闇エルフからここまで言われるとは、相当ですね。シトリンのようなチョロエルフとは違うのでしょう。
そういえば彼女はジュエリアに戻っていないらしいですね、アレキサンドラ女王とサフィールは戻ったと報告があるのですが。ヨハンさんと駆け落ちでもしたのでしょうか? あとでヨハンさんの居場所を探ってみましょう。
「何か近づいてくるよ! たぶんそのエルフだと思う」
ラウさんが鼻をひくひくさせながら言いました。警戒している表情からして、相手はあまりいい性格ではなさそうですね。すぐにサラディンさんとミラさんが戦闘態勢に入りました。レナさんとアルストロメリアさんは後ろに下がります。ちょっと遅れてラウさんがサラディンさんの横に立ち、細剣を構えました。コウメイさんは特に反応しません。マイペースにもほどがありますが、この人はこの状態からモンスターを瞬殺するからたちが悪いというか……コホン。
『オッパーイ!』
あっ、コウメイさんが眼鏡をクイッとしてミミックを召喚しました。魔法を使った様子はありませんが、どういう技なのでしょう?
「なんだこいつら、人間にイヌに闇エルフに……モンスターまでいるぞ」
確かになんだこいつらなメンバー構成です。それに対して森の奥から現れたのは平均的なエルフの集団ですね。特筆することもない金髪青い目白い肌貧乳に尖った耳の集団です。誘惑されるような男もいないので敵としてもまったく怖くない相手ですが、戦うつもりなのでしょうか。
「我々はハイネシアン帝国に向かっているところだ。エルフと争うつもりはない」
サラディンさんが剣を構えつつエルフ達に言いますが、向こうは穏便に通す気はなさそうです。相手の力量がわからないのでしょうか。困ったものです。
「ふん、こんな怪しい集団を黙って通すと思っているのか?」
『オッパーイ!!』
なんでそのタイミングで鳴くんですか!? エルフ達の表情が険しくなりました。弓を構えてミミックを狙っています。私だったら既に雷が落ちているところでしたね。
「くっ、それに関しては反論できないわ……」
分かりますけど、面倒だから適当に燃やして進んではいかがでしょう? ミラさんエルフの森焼くの好きでしょ(偏見)。
「仕方ありませんねー、『カーム・ダウン』」
アルストロメリアさんが闇魔法を使いました。これは興奮している相手の精神を強制的に落ち着かせる魔法ですね。酒場で便利な魔法です。
「実は私達の友達がハイネシアン帝国に奴隷として連れていかれて、助けるためにギルドの協力を要請したんです。知っているでしょう? 冒険者ギルド」
「あの森を燃やしてまわっている連中か!?」
どういう噂が流れているんですか!? 原因は分かってますけど!
「分かった、我等の森を燃やさないと約束するならここを通してやろう」
「感謝する。燃やさないと誓おう。分かったな、ミラ」
「なんで私に言うのよ」
むしろミラさん以外の誰に言う必要が?
サラディンさんが約束すると、最初の敵意むき出しな状態が嘘のようにエルフ達は大人しく帰っていきました。闇魔法も使いようですねー。
「冒険者ギルドの悪名が効いたんじゃないの~?」
「そ、そんなことありませんよ!」
恋茄子が妄言を吐いていますが、断じて違います! たぶん。
「ふむ、エルフは面白くないので戦いを避けられてよかった」
コウメイさんは面白いかどうかしか判断基準がないのでしょうか。面白いと思われた方が怖いのですけど。
「凄いやお姉ちゃん!」
ラウさんが無邪気にアルストロメリアさんを称賛します。ああ、そんなことを言うとまた撫で回されますよ!
「えへへー、そんなことないでちゅよー」
でちゅ!?
「モフモフ!」
語彙力が喪失したレナさんも加わって、ラウさんがもみくちゃにされています。いいからさっさとハイネシアン帝国に行ってくださいよ勇者様。
「さあ、日が暮れる前にキャンプできる場所を探そう」
サラディンさんに促され、一行は北へ向かうのでした。こんな調子で大丈夫なんでしょうか?
◇◆◇
「勇者と言えば、ヨハンさん達がどこに行ったのか調べてみましょうか」
黒エルフの国を脱出した後は、ソフィアさんとアルベルさんがアレキサンドラ女王、サフィールと共にジュエリアにたどり着いたと報告がありました。他のメンバーとは森の中ではぐれたらしいのですが……?
管理板をつついて彼等の居場所を見ます。ヨハンさん、コタロウさん、タヌキさんは一緒にエルフの森で行動しているみたいですね。おそらくシトリンとトウテツもいるのではないでしょうか。
「少し追跡してみますね」
サラディンさんがいればハイネシアン組は大丈夫でしょうし、ちょっとヨハンさん達のあれからの行動を見てみましょう。
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