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第18話 ヤギと小型犬にかこまれて
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清牙が次に優里の姿を見たのは医局で会話してから五日ほどたってからの事だった。
重要な証人であり、証拠でもある農夫は場所を移り石造りの倉庫にて療養している。平民の家ほどの規模で、屋根近くに作られた換気と明り取りのために作られた窓は小さく人は出入りできない。人の出入口は一つで、そこには厳重な施錠の設備があった。
王宮内の来賓室に準じた房を使う事も検討されたが、軍事領の倉庫を選んだのは優里だ。庭と言っても過言ではない軍事領であれば優里は皆の顔を把握しており、信頼できる人間で周囲を固めることが出来る。周辺が開けており、不審人物が倉庫に近付くことは難しい。
その戸口の前に野営用の折り畳み式の寝台が置かれ、優里はそこにうつ伏せに倒れていた。
寝台は人の膝丈ほどの高さで、布が張っただけのごく簡素なものだ。左手と左足は垂れ、石の地面についている。
小さな庇はあるものの屋外、それも王宮の敷地内でそんな様だけでも異様だと言うのに、そのうえ実に奇怪な事に優里の頭側に茶色いヤギが香箱座りで休み、優里の垂れた左手に添うように白い小型犬が眠っていた。
犬の耳が清牙の足音を拾って震える。
農夫と話さねばと彼の元を訪れた清牙はその光景に戸惑いながら足を進めるや、周囲で警備に就く武官たちに止められた。
「恐れながらっ、お待ちをっ」
「近付かれては危険ですっ」
優里の部下だろう女達が口々に必死で清牙の行く手を阻む。ゆっくりと立ち上がったヤギが角を見せつけるように首を下げ、その背筋の毛が背びれのように立っているのを見て周囲は「ひっ」と情けない声を上げた。
「お下がりください! あの角で手足を引っ掛けて来るんです。捻られたら骨折しますッ」
犬が立ち上がると同時に跳ね起きた優里の手には抜き身の刀があった。
鋭い視線を周囲に走らせ、犬の警戒対象が清牙と知るや優里は犬を宥める。
立派に見張りを果たした、褒めてくれと頭を寄せて来るヤギと犬の頭を寝台に座った優里はわしゃわしゃと豪快に撫で倒した。
「よくやった。えらいぞ」
穏やかに目を細めそう二頭を褒める優里の姿に、また新しい表情を見たと清牙は思った。そして率直に尋ねる。何人も尋ねずにはいられないだろう。
「このヤギと、犬は?」
「実家で飼っている者たちです。私の補助に連れてきました」
優里は寝ずの番よろしく昼夜問わず、農夫の警備にあたっているとは聞いていたが家畜の話は聞いていなかった。
将軍家の家畜は驚くほどよく躾けられているらしく縄もつけられていない。二頭が野生の本能で近づく者に警戒を見せれば優里も目覚める仕組みらしい。前髪を上げ、傷を晒す容貌は臨戦態勢であることを示している。
確かに今の王宮内では人よりもよっぽど信頼できるかもしれないと苦く思う。優里に農夫を任せられるのならという安心感があった。
ただ優里の表情に疲労こそ見られないものの、身なりがくたびれている。ここで生活しているのではないかという不安に駆られた。
「彼と話したくて来た」
「今は寝ています」
立ち上がった優里は幾分鋭い視線を清牙に向ける。
王弟直々の来訪をにべもなく拒絶し、言外に出直せとでも言うかのような優里に周囲の者は皆一様に緊迫した。
優里はもうすでに農夫に尋ね、確認していた。
話したいのであれば、言えばあの男は時間を作るだろうと。そうでなくてもそのうちむこうから来るかもしれないと。
あの日見せた気迫などとは無縁の、弱り切った農夫はしばらく呆けたような目で虚空を見詰めたあと首を横に振った。
「次に何を言いだすのか怖い……怖いくて憎い……憎いんです。憎くてたまらない。もう何も聞きたくない、とにかくもう消えてほしい」
謝罪など一切期待しておらず、それどころか叱責や罰を恐れていた。相手は王族なのだ。そう考えるのは当然とも言えた。
だから優里は会わせる気はなかった。
「分かりました。私があなたを守ります」
そう農夫と約束した。
それで農夫が残されたわずかな時間を少しでも穏やかに過ごせるのであればそれでいいと思った。
優里が口出しすることはでない。
これ以上苦しんで何になろう。本人の希望をすべて叶えることしか、もう出来ることがない。
農夫の望みはどれも気の毒になるほどごくささやかなものだ。もう生きる気力がないのだと分かってしまった。
もし気が変わったら言ってくれとは言った。
清牙が謝罪する機会を失い、一生それを悔やむことになろうともそれは清牙が負うべき務めであり責だと思った。
「彼の調子が良い時にお声掛けします」
農夫の都合で清牙が動ける道理がない。実質的な拒絶だ。
それでも食い下がろうと声を上げかけた清牙の横で、また犬が唸る。ヤギも前足を搔いて威嚇を見せた。
「赤、白。俺を忘れたか?」
清牙の後ろから二人に歩み寄ったのは二十過ぎの飄々とした男だ。
優里よりも少し背が高い。決して細いわけではないが優里と清牙の間に立つと細く見える。
文官でも武官でもない服装で清牙を前に、恐ろしく緊張感のない態度を見せる異様な雰囲気の男だった。
昨日、岳将軍から沙漠に代わる副官として清牙に着けられた。名は軌林と聞いていたが清牙はまだその素性をほぼ確認できていない。
「それは二代目と三代目だ。そもそもそんな名前じゃなかっただろう……」
優里が目を大きく瞠って呆然と呟く。
優里の放つ違和感に、振り返った清牙が見たのは実に穏やかで優しい部下の笑顔だった。
「そうか。久し振りだな、ユウ」
軌林は両手を軽く開く。
それは駆け寄ってくるのが当然だと考える人間の仕草だ。優里は日頃の彼女からはおよそ似つかわしくない様子でふらりと一歩前に出た。
「軌林……?」
優里に名を呼ばれた男が喜色を濃くして笑みを深める。
清牙は何を見せられているのかと思った。
これはまるで離れ離れだった恋人同士の再会だ。
「お前……なんで……」
足取りもおぼつかない様子で、優里は清牙を通り越して軌林に向かう。清牙など一切その目に入っていないのが明らかだ。優里が軌林と同じようにふわりと両腕を上げる。
まさか。
抱擁の可能性に清牙が身を固くした刹那、優里は両の手を握り締めた。左腕を引き、右腕にその反動を乗せて腰を回す。
「てっめぇ! 生きてるなら連絡してこんかぁぁ!!」
優里は渾身の力を込めて軌林の頬に拳をめり込ませた。
「ははっ!」
一歩足を開いて殴られた衝撃を逃がし、踏みとどまった軌林は声を上げて笑い、二発目以降はすべて躱した。
「お前! 私がどれだけ!」
「ごめんって。父上から口止めされてたんだ」
次から次へと繰り出される優里の速さと重さのある拳をすべていなし、飛んでくる蹴りを上腕で受け止める。その様子から初めの一発は躱せるにもかかわらず軌林が甘んじて受け入れたのだと見て取れた。
優里も森県で耳欠けの集団に襲われた時に「殴られてやる」と言っていたことを不意に思い出される。この二人には何か通じるものがあるのだ。清牙はそれを否応なく理解させられた。
清牙との一対一の稽古とも、破落戸を相手にした時とも違う、「絶対に殴る」という強い意志をもって軌林に挑む優里を見た清牙はなぜかひどく羨ましくなる。
羨ましくて仕方なかった。
強い感情をむき出しにして挑みかかられる軌林に羨望を覚える。自分に向けられなかった、それどころか一線を引かれていた事に嫌でも気づかされる。
優里教官の攻撃をすべて躱すあの男は何者だと周囲がざわつき始める。繰り広げられる二人の高度な体術にそこにいた全員が目を離せなかった。
「生きてると信じてたのに!」
「ああっ、生きてるよ!」
軌林はやはり笑って身を下げ、一瞬の隙を突いて優里の懐に入り込む。胴に両腕を回し、優里を抱え上げた。
「ただいま、ユウ」
「━━遅いわ馬鹿たれ」
地に足がつかなくなった優里は軌林の肩に手を置いて一瞬抗う。しかし思い直したのかすぐに抵抗やめ、男の頭を胸に抱きしめた。
地に下ろされた優里は、自分より少し背の高い軌林の首に頬を寄せて男の背に腕を回す。
お互いしっかりと一部の隙も許さないとばかりに身を寄せる姿は、まるで男の体温と心音を確かめているようだった。
重要な証人であり、証拠でもある農夫は場所を移り石造りの倉庫にて療養している。平民の家ほどの規模で、屋根近くに作られた換気と明り取りのために作られた窓は小さく人は出入りできない。人の出入口は一つで、そこには厳重な施錠の設備があった。
王宮内の来賓室に準じた房を使う事も検討されたが、軍事領の倉庫を選んだのは優里だ。庭と言っても過言ではない軍事領であれば優里は皆の顔を把握しており、信頼できる人間で周囲を固めることが出来る。周辺が開けており、不審人物が倉庫に近付くことは難しい。
その戸口の前に野営用の折り畳み式の寝台が置かれ、優里はそこにうつ伏せに倒れていた。
寝台は人の膝丈ほどの高さで、布が張っただけのごく簡素なものだ。左手と左足は垂れ、石の地面についている。
小さな庇はあるものの屋外、それも王宮の敷地内でそんな様だけでも異様だと言うのに、そのうえ実に奇怪な事に優里の頭側に茶色いヤギが香箱座りで休み、優里の垂れた左手に添うように白い小型犬が眠っていた。
犬の耳が清牙の足音を拾って震える。
農夫と話さねばと彼の元を訪れた清牙はその光景に戸惑いながら足を進めるや、周囲で警備に就く武官たちに止められた。
「恐れながらっ、お待ちをっ」
「近付かれては危険ですっ」
優里の部下だろう女達が口々に必死で清牙の行く手を阻む。ゆっくりと立ち上がったヤギが角を見せつけるように首を下げ、その背筋の毛が背びれのように立っているのを見て周囲は「ひっ」と情けない声を上げた。
「お下がりください! あの角で手足を引っ掛けて来るんです。捻られたら骨折しますッ」
犬が立ち上がると同時に跳ね起きた優里の手には抜き身の刀があった。
鋭い視線を周囲に走らせ、犬の警戒対象が清牙と知るや優里は犬を宥める。
立派に見張りを果たした、褒めてくれと頭を寄せて来るヤギと犬の頭を寝台に座った優里はわしゃわしゃと豪快に撫で倒した。
「よくやった。えらいぞ」
穏やかに目を細めそう二頭を褒める優里の姿に、また新しい表情を見たと清牙は思った。そして率直に尋ねる。何人も尋ねずにはいられないだろう。
「このヤギと、犬は?」
「実家で飼っている者たちです。私の補助に連れてきました」
優里は寝ずの番よろしく昼夜問わず、農夫の警備にあたっているとは聞いていたが家畜の話は聞いていなかった。
将軍家の家畜は驚くほどよく躾けられているらしく縄もつけられていない。二頭が野生の本能で近づく者に警戒を見せれば優里も目覚める仕組みらしい。前髪を上げ、傷を晒す容貌は臨戦態勢であることを示している。
確かに今の王宮内では人よりもよっぽど信頼できるかもしれないと苦く思う。優里に農夫を任せられるのならという安心感があった。
ただ優里の表情に疲労こそ見られないものの、身なりがくたびれている。ここで生活しているのではないかという不安に駆られた。
「彼と話したくて来た」
「今は寝ています」
立ち上がった優里は幾分鋭い視線を清牙に向ける。
王弟直々の来訪をにべもなく拒絶し、言外に出直せとでも言うかのような優里に周囲の者は皆一様に緊迫した。
優里はもうすでに農夫に尋ね、確認していた。
話したいのであれば、言えばあの男は時間を作るだろうと。そうでなくてもそのうちむこうから来るかもしれないと。
あの日見せた気迫などとは無縁の、弱り切った農夫はしばらく呆けたような目で虚空を見詰めたあと首を横に振った。
「次に何を言いだすのか怖い……怖いくて憎い……憎いんです。憎くてたまらない。もう何も聞きたくない、とにかくもう消えてほしい」
謝罪など一切期待しておらず、それどころか叱責や罰を恐れていた。相手は王族なのだ。そう考えるのは当然とも言えた。
だから優里は会わせる気はなかった。
「分かりました。私があなたを守ります」
そう農夫と約束した。
それで農夫が残されたわずかな時間を少しでも穏やかに過ごせるのであればそれでいいと思った。
優里が口出しすることはでない。
これ以上苦しんで何になろう。本人の希望をすべて叶えることしか、もう出来ることがない。
農夫の望みはどれも気の毒になるほどごくささやかなものだ。もう生きる気力がないのだと分かってしまった。
もし気が変わったら言ってくれとは言った。
清牙が謝罪する機会を失い、一生それを悔やむことになろうともそれは清牙が負うべき務めであり責だと思った。
「彼の調子が良い時にお声掛けします」
農夫の都合で清牙が動ける道理がない。実質的な拒絶だ。
それでも食い下がろうと声を上げかけた清牙の横で、また犬が唸る。ヤギも前足を搔いて威嚇を見せた。
「赤、白。俺を忘れたか?」
清牙の後ろから二人に歩み寄ったのは二十過ぎの飄々とした男だ。
優里よりも少し背が高い。決して細いわけではないが優里と清牙の間に立つと細く見える。
文官でも武官でもない服装で清牙を前に、恐ろしく緊張感のない態度を見せる異様な雰囲気の男だった。
昨日、岳将軍から沙漠に代わる副官として清牙に着けられた。名は軌林と聞いていたが清牙はまだその素性をほぼ確認できていない。
「それは二代目と三代目だ。そもそもそんな名前じゃなかっただろう……」
優里が目を大きく瞠って呆然と呟く。
優里の放つ違和感に、振り返った清牙が見たのは実に穏やかで優しい部下の笑顔だった。
「そうか。久し振りだな、ユウ」
軌林は両手を軽く開く。
それは駆け寄ってくるのが当然だと考える人間の仕草だ。優里は日頃の彼女からはおよそ似つかわしくない様子でふらりと一歩前に出た。
「軌林……?」
優里に名を呼ばれた男が喜色を濃くして笑みを深める。
清牙は何を見せられているのかと思った。
これはまるで離れ離れだった恋人同士の再会だ。
「お前……なんで……」
足取りもおぼつかない様子で、優里は清牙を通り越して軌林に向かう。清牙など一切その目に入っていないのが明らかだ。優里が軌林と同じようにふわりと両腕を上げる。
まさか。
抱擁の可能性に清牙が身を固くした刹那、優里は両の手を握り締めた。左腕を引き、右腕にその反動を乗せて腰を回す。
「てっめぇ! 生きてるなら連絡してこんかぁぁ!!」
優里は渾身の力を込めて軌林の頬に拳をめり込ませた。
「ははっ!」
一歩足を開いて殴られた衝撃を逃がし、踏みとどまった軌林は声を上げて笑い、二発目以降はすべて躱した。
「お前! 私がどれだけ!」
「ごめんって。父上から口止めされてたんだ」
次から次へと繰り出される優里の速さと重さのある拳をすべていなし、飛んでくる蹴りを上腕で受け止める。その様子から初めの一発は躱せるにもかかわらず軌林が甘んじて受け入れたのだと見て取れた。
優里も森県で耳欠けの集団に襲われた時に「殴られてやる」と言っていたことを不意に思い出される。この二人には何か通じるものがあるのだ。清牙はそれを否応なく理解させられた。
清牙との一対一の稽古とも、破落戸を相手にした時とも違う、「絶対に殴る」という強い意志をもって軌林に挑む優里を見た清牙はなぜかひどく羨ましくなる。
羨ましくて仕方なかった。
強い感情をむき出しにして挑みかかられる軌林に羨望を覚える。自分に向けられなかった、それどころか一線を引かれていた事に嫌でも気づかされる。
優里教官の攻撃をすべて躱すあの男は何者だと周囲がざわつき始める。繰り広げられる二人の高度な体術にそこにいた全員が目を離せなかった。
「生きてると信じてたのに!」
「ああっ、生きてるよ!」
軌林はやはり笑って身を下げ、一瞬の隙を突いて優里の懐に入り込む。胴に両腕を回し、優里を抱え上げた。
「ただいま、ユウ」
「━━遅いわ馬鹿たれ」
地に足がつかなくなった優里は軌林の肩に手を置いて一瞬抗う。しかし思い直したのかすぐに抵抗やめ、男の頭を胸に抱きしめた。
地に下ろされた優里は、自分より少し背の高い軌林の首に頬を寄せて男の背に腕を回す。
お互いしっかりと一部の隙も許さないとばかりに身を寄せる姿は、まるで男の体温と心音を確かめているようだった。
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