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第二章 わだつみの娘と海の国の婚約者
7、そして「28と23」
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その後は警備の話になった。そこへドアを叩く音が響き、小さな声が聞こえた。
「陛下、お茶をご用意いたしました」
国王の了承を得た侍女はしずしずと台車を押して入室し、レオンとグレイの間まで台車を進み入れる。
レオンは立ち上がって上着を脱ぐと、肩を回したり首を左右に振って筋肉をほぐしながら、準備をしている侍女の方へと歩み寄った。
事務仕事でこわばった体をほぐしてから休憩。そんなごく自然な流れを何気なく見ていたグレイは、ふと気付く。
この部屋で茶を飲むという状況がかつてこれまであっただろうか。
カチャリ、と茶器の音がする。
国王は侍女の背後に立つと、茶器を扱う侍女の右手に自身の右手を重ねた。
そして愛おしむように侍女の首筋に唇を寄せる━━━
ワゴンの上には果物ナイフ。
国王の執務室にはあってはならない代物であった。
それを確認したグレイは国王の突然の奇行に内心では激しく動揺しながらも、反射的に剣を抜く。
刹那、侍女は振り返りざま素早く右肘をレオンに叩き込むが、レオンは一歩下がってそれを躱した。
躱されたと判断するや侍女は、体をひねった流れのまま左手をワゴンの上の果物ナイフに手を伸ばすが、一瞬早くレオンの長い足がワゴンを蹴る。
その延長線上にいたグレイは舌打ちしてそれを避け、「なんで俺の方へ蹴るんだ」と言わんばかりの形相でレオンを睨み━━剣を納めた。
彼はとても楽しそうだった。
五年前に帰国して以来、こんなに生き生きとしたこの男を見た事があっただろうか。
お仕着せの侍女姿のシーアが蹴りを繰り出せば、レオンはそれを前腕で受け、足を狙う。
シーアは後転で避けながら跳ね上げた爪先で顎を狙ったが、レオンは上体を横にずらすことで躱す。
グレイは国王の執務机の前にしつらえられた応接セットの二人掛けのソファに腰を下ろし、そんな二人を眺めた。
髪をきれいにまとめ上げた侍女姿の海姫。
一見では看破出来なかったのは、姿だけではなく雰囲気さえも海姫の物とは違ったからか。
どこまでも真剣であるシーアに対し、レオンはひどく楽しそうにしている。
全力で襲ってくるしなやかな獣を、可愛くて仕方ないという様子で構い倒す猛獣使いのようだった。
グレイは一度立ち上がり、台車の状態を確認する。
ぽってりとした背の低い形のポットだったおかげで湯はほとんど無事だった。
「これって毒とか入れてないよな?」
念のため聞きながら三人分のお茶を淹れ、奇跡的に無事だった焼き菓子の乗った皿と、自分のカップだけテーブルに運んだ。
受け皿は使わない。そんな上品な生まれではなかった。
グレイはシーアが何も答えないのを返事と解釈して先に休憩に入る。
レオンは美麗な顔にふと笑みを浮かべ、それを目ざとく認めたシーアは不機嫌を露わにすっと目を細めた。
「なんだ」
苛ただしげに笑みの意味を問う。
「いや、そんな動き方どこで覚えたのかと」
それはグレイも同感だった。
細く軽い体を空に舞うようにして動くその様は、体術と言うよりもあの晩見せた舞のようで、見た事もない体術だった。
当然だ、とシーアは思う。
戦闘と医療に特化した僻地の少数民族、「森の民」の里に滞在した機会に会得したものだ。
相性が良かったらしく、指南役にも褒められたというのに━━
「何言ってやがる。全部かわしやがって。ここの王様はそんなに強くないと務まらないのかよ」
舌打ちしそうな勢いでシーアは言っていた。
「癖が出てるからな」
レオンは否定するように言いながら、自分の膝に駆けあがるようにして全身を拘束具代わりに使って腕を取りに来たシーアの腰に腕を回して阻止する。
シーアは失敗を悟るや体を宙で反転させて逃げた。
「なぁ、何やってんの?」
一向に終わる気配が見られないのでグレイはついに面倒くさそうに声をかける。
「侍女に化けた暗殺者に襲われた時の訓練っ」
そうシーアが言えば。
「金持ちの雇用主に背後から襲われた時の訓練だ」
レオンも同じような事を口にする。相手に稽古をつけてやっている、とお互いが主張していたが━━
「なんかジャレついてるようにしか見えないんだけど。それって楽しいワケ?」
グレイは呆れて言った。
「誰が、ジャレつくか……っ!」
「たまには体を動かさないと体がなまるだろう?」
息を整えようとするシーアに対し、レオンは涼しい顔で言った。
男、それも体格差の大きい相手によくもそこまで善戦したものだとグレイは舌を巻いたが、この女はおそらくそう言われても嬉しくはないだろうと口にはしなかったし、そもそも褒めたくもなかった。
シーアは素早くグレイの座るソファを乗り越えて背後に回ると、その首にどこから出したのかフォークを突き付けた。
人質作戦に出たらしい。
「おっ前ノリ悪いなー」
カップを放さず、お茶の体を崩さないグレイにシーアは不満そうに眉間に皺を寄せる。
「曲がりなりにも陛下の婚約者様に頭突き見舞って鼻血吹かすとか、やってほしいワケ?」
「なるほど、そう来るか。たいてい私の方が背が低いから頭突きという抵抗は想定外だな。参考になるよ」
仕事に対しておそろしく勤勉な彼女は、真剣な面持ちで頷いた。
「おら、淹れといてやったから飲めよ」
テーブルの向こうでレオンが難しい顔をしているのを見て、早く腕を放せと言外に催促した。
どうやら年下の婚約者が他の男に絡みついているのが面白くないらしい。
昔なじみの男は、実はこんなにも狭量だったのだろうか。
嫌になってきた。
運動の後は冷めたお茶の方が嬉しい。
「お前、意外と気が利くな」
シーアは用意されたお茶を一気に飲み干して嬉しそうに言ったが、褒められた気は全くしなかった。
国王の仕事は多忙を極めているが、こうして遊んで気が紛れているのなら口を出すのは早計と言う物なのかもしれない。
護衛隊の隊長という肩書ではあったが、国王の旧友としての彼がそう思ってしまった。
本当に不本意ではあったが。
「陛下、お茶をご用意いたしました」
国王の了承を得た侍女はしずしずと台車を押して入室し、レオンとグレイの間まで台車を進み入れる。
レオンは立ち上がって上着を脱ぐと、肩を回したり首を左右に振って筋肉をほぐしながら、準備をしている侍女の方へと歩み寄った。
事務仕事でこわばった体をほぐしてから休憩。そんなごく自然な流れを何気なく見ていたグレイは、ふと気付く。
この部屋で茶を飲むという状況がかつてこれまであっただろうか。
カチャリ、と茶器の音がする。
国王は侍女の背後に立つと、茶器を扱う侍女の右手に自身の右手を重ねた。
そして愛おしむように侍女の首筋に唇を寄せる━━━
ワゴンの上には果物ナイフ。
国王の執務室にはあってはならない代物であった。
それを確認したグレイは国王の突然の奇行に内心では激しく動揺しながらも、反射的に剣を抜く。
刹那、侍女は振り返りざま素早く右肘をレオンに叩き込むが、レオンは一歩下がってそれを躱した。
躱されたと判断するや侍女は、体をひねった流れのまま左手をワゴンの上の果物ナイフに手を伸ばすが、一瞬早くレオンの長い足がワゴンを蹴る。
その延長線上にいたグレイは舌打ちしてそれを避け、「なんで俺の方へ蹴るんだ」と言わんばかりの形相でレオンを睨み━━剣を納めた。
彼はとても楽しそうだった。
五年前に帰国して以来、こんなに生き生きとしたこの男を見た事があっただろうか。
お仕着せの侍女姿のシーアが蹴りを繰り出せば、レオンはそれを前腕で受け、足を狙う。
シーアは後転で避けながら跳ね上げた爪先で顎を狙ったが、レオンは上体を横にずらすことで躱す。
グレイは国王の執務机の前にしつらえられた応接セットの二人掛けのソファに腰を下ろし、そんな二人を眺めた。
髪をきれいにまとめ上げた侍女姿の海姫。
一見では看破出来なかったのは、姿だけではなく雰囲気さえも海姫の物とは違ったからか。
どこまでも真剣であるシーアに対し、レオンはひどく楽しそうにしている。
全力で襲ってくるしなやかな獣を、可愛くて仕方ないという様子で構い倒す猛獣使いのようだった。
グレイは一度立ち上がり、台車の状態を確認する。
ぽってりとした背の低い形のポットだったおかげで湯はほとんど無事だった。
「これって毒とか入れてないよな?」
念のため聞きながら三人分のお茶を淹れ、奇跡的に無事だった焼き菓子の乗った皿と、自分のカップだけテーブルに運んだ。
受け皿は使わない。そんな上品な生まれではなかった。
グレイはシーアが何も答えないのを返事と解釈して先に休憩に入る。
レオンは美麗な顔にふと笑みを浮かべ、それを目ざとく認めたシーアは不機嫌を露わにすっと目を細めた。
「なんだ」
苛ただしげに笑みの意味を問う。
「いや、そんな動き方どこで覚えたのかと」
それはグレイも同感だった。
細く軽い体を空に舞うようにして動くその様は、体術と言うよりもあの晩見せた舞のようで、見た事もない体術だった。
当然だ、とシーアは思う。
戦闘と医療に特化した僻地の少数民族、「森の民」の里に滞在した機会に会得したものだ。
相性が良かったらしく、指南役にも褒められたというのに━━
「何言ってやがる。全部かわしやがって。ここの王様はそんなに強くないと務まらないのかよ」
舌打ちしそうな勢いでシーアは言っていた。
「癖が出てるからな」
レオンは否定するように言いながら、自分の膝に駆けあがるようにして全身を拘束具代わりに使って腕を取りに来たシーアの腰に腕を回して阻止する。
シーアは失敗を悟るや体を宙で反転させて逃げた。
「なぁ、何やってんの?」
一向に終わる気配が見られないのでグレイはついに面倒くさそうに声をかける。
「侍女に化けた暗殺者に襲われた時の訓練っ」
そうシーアが言えば。
「金持ちの雇用主に背後から襲われた時の訓練だ」
レオンも同じような事を口にする。相手に稽古をつけてやっている、とお互いが主張していたが━━
「なんかジャレついてるようにしか見えないんだけど。それって楽しいワケ?」
グレイは呆れて言った。
「誰が、ジャレつくか……っ!」
「たまには体を動かさないと体がなまるだろう?」
息を整えようとするシーアに対し、レオンは涼しい顔で言った。
男、それも体格差の大きい相手によくもそこまで善戦したものだとグレイは舌を巻いたが、この女はおそらくそう言われても嬉しくはないだろうと口にはしなかったし、そもそも褒めたくもなかった。
シーアは素早くグレイの座るソファを乗り越えて背後に回ると、その首にどこから出したのかフォークを突き付けた。
人質作戦に出たらしい。
「おっ前ノリ悪いなー」
カップを放さず、お茶の体を崩さないグレイにシーアは不満そうに眉間に皺を寄せる。
「曲がりなりにも陛下の婚約者様に頭突き見舞って鼻血吹かすとか、やってほしいワケ?」
「なるほど、そう来るか。たいてい私の方が背が低いから頭突きという抵抗は想定外だな。参考になるよ」
仕事に対しておそろしく勤勉な彼女は、真剣な面持ちで頷いた。
「おら、淹れといてやったから飲めよ」
テーブルの向こうでレオンが難しい顔をしているのを見て、早く腕を放せと言外に催促した。
どうやら年下の婚約者が他の男に絡みついているのが面白くないらしい。
昔なじみの男は、実はこんなにも狭量だったのだろうか。
嫌になってきた。
運動の後は冷めたお茶の方が嬉しい。
「お前、意外と気が利くな」
シーアは用意されたお茶を一気に飲み干して嬉しそうに言ったが、褒められた気は全くしなかった。
国王の仕事は多忙を極めているが、こうして遊んで気が紛れているのなら口を出すのは早計と言う物なのかもしれない。
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