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第二部第三章 クーデターイベント(前日譚)
セッション49 宴会
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成程、『黒山羊の加護』については理解した。桜嵐の身の上も把握した。ところで、
「お前の秘密を知った僕は今後、お前を何て呼べば良い? 梵か? 桜嵐か?」
「どっちでも良い。さっきも言った通り、両方とも俺の本名だ。どっちで呼ばれても違和感のないように二つ名を『桜嵐』にしたんだ」
「ああ、その二つ名、自分で付けたんだ……」
偶然ではないだろうと思っていたが。
道理で本名と同じ異名を名乗っている訳だ。
「不自然じゃないように刀に桜嵐の名前を付けて、それが自分の代名詞となるまで振り続けた。定着するまでに掛かった時間は数ヶ月程度だが、経験した戦いは数十を超えた……長かった……」
「そりゃあお疲れ様だったな……」
そこまでするかと思ったが、それは僕が最初から本名で呼ばれてからそう思えるのか。藍兎とは違う名前――和芭と呼ばれ続けていたらどうなっていただろう。自分を和芭と同一視し、藍兎としての自分は残っていなかったかもしれない。
「ねえねえ、そこで何しているの?」
突然掛けられた声に思わず肩が跳ねた。
振り向けば、そこにシロワニがいた。
「お……おう、シロワニか。そっちこそどうした? 卓球はもう良いのか?」
「うん、わたしの圧勝。全勝とまでは行かなかったけど、ステファや理伏が力尽きちゃってギブアップしたから」
「体力あるんだな、お前……」
二人相手に童女が体力で押し勝つか。まあ子供って「どこにそんなエネルギータンク背負ってんだ?」って思うくらい遊び回る事があるからな。……理伏もシロワニとそう変わらない年齢だった筈だけど。
「魔力は生命力と同義だからな。膨大な魔力持ちが常人を遥かに超える体力を発揮するのは良くある事だ」
「ふーん、そうなのか。ああでも、そんなイメージはある」
「えへへ。それで、何の話をしていたの?」
「内緒話だ。教えらんねーな」
「えー」
シロワニが頬を膨らませる。元が良いので、その表情はとても可愛い。
だが、油断してはいけない。こいつの発狂内容は殺人狂だ。割と自制が利くようだが、信用してはならない。いつ気紛れでその悦楽の餌食にされるか分かったものではないのだ。
「藍兎達は夕ご飯、どこの大広間で食べるの?」
「……どこだったっけ?」
「レアの間だ」
「わたし、タイタンの間だよ。確か隣の部屋だったよね? 奇遇じゃん。部屋繋げられるか店員さんに訊いてみるね!」
「えっ」
いやお前それは。
「じゃ、行ってくるねー」
「お……おいおい、ちょっと待て……」
制止の声も聞かず、シロワニは行ってしまった。
「……あいつ、帝国の人間じゃなかったか?」
「そうだぞ。お前の姉さんがクーデターを決意した原因の国だ」
「…………」
僕達や栄にとっては敵国の人間と言っても過言ではない相手だ。
いや、終戦宣言していないんだから実際に敵国の人間なんだが。現在はなあなあで休戦状態になっているだけだ。本当色んな意味で、何故観光に来られるのかが分からん。
「……まあ良い。姉さんが許すなら、どうなろうと俺に興味はない」
「意思がなさ過ぎなんじゃねーの、シスコン?」
「必要ないからな。姉さんが絶対だ」
「そんなんだから表情筋生き返らんねーんだぞ」
「黙れ」
◇
結果として、シロワニの提案は許された。下手に拒絶してクーデターに感付かれたくないという判断との事だ。
一方で取引として、イタチと栄がシロワニと連絡先を交換していた。ホットラインという奴だろう。いざという時に帝国との繋がりは得ておきたいという考えなのだ。ちゃっかりしている連中だ。そうでなくては上の立場になどなれないのだろうが。
二つの大広間が繋がれての宴会は大いに盛り上がった。
……まあ酒が入ると人間って大体、細かい事なんかどうでも良くなるよな。
え? お前のパーティーって未成年ばかりだろうって? 法律どころか憲法も一〇〇〇年前になくなっているので無罪です。良い子は真似しちゃ駄目だぞ! 冒険者は悪い子だから気にしねーけどな!
「お前の秘密を知った僕は今後、お前を何て呼べば良い? 梵か? 桜嵐か?」
「どっちでも良い。さっきも言った通り、両方とも俺の本名だ。どっちで呼ばれても違和感のないように二つ名を『桜嵐』にしたんだ」
「ああ、その二つ名、自分で付けたんだ……」
偶然ではないだろうと思っていたが。
道理で本名と同じ異名を名乗っている訳だ。
「不自然じゃないように刀に桜嵐の名前を付けて、それが自分の代名詞となるまで振り続けた。定着するまでに掛かった時間は数ヶ月程度だが、経験した戦いは数十を超えた……長かった……」
「そりゃあお疲れ様だったな……」
そこまでするかと思ったが、それは僕が最初から本名で呼ばれてからそう思えるのか。藍兎とは違う名前――和芭と呼ばれ続けていたらどうなっていただろう。自分を和芭と同一視し、藍兎としての自分は残っていなかったかもしれない。
「ねえねえ、そこで何しているの?」
突然掛けられた声に思わず肩が跳ねた。
振り向けば、そこにシロワニがいた。
「お……おう、シロワニか。そっちこそどうした? 卓球はもう良いのか?」
「うん、わたしの圧勝。全勝とまでは行かなかったけど、ステファや理伏が力尽きちゃってギブアップしたから」
「体力あるんだな、お前……」
二人相手に童女が体力で押し勝つか。まあ子供って「どこにそんなエネルギータンク背負ってんだ?」って思うくらい遊び回る事があるからな。……理伏もシロワニとそう変わらない年齢だった筈だけど。
「魔力は生命力と同義だからな。膨大な魔力持ちが常人を遥かに超える体力を発揮するのは良くある事だ」
「ふーん、そうなのか。ああでも、そんなイメージはある」
「えへへ。それで、何の話をしていたの?」
「内緒話だ。教えらんねーな」
「えー」
シロワニが頬を膨らませる。元が良いので、その表情はとても可愛い。
だが、油断してはいけない。こいつの発狂内容は殺人狂だ。割と自制が利くようだが、信用してはならない。いつ気紛れでその悦楽の餌食にされるか分かったものではないのだ。
「藍兎達は夕ご飯、どこの大広間で食べるの?」
「……どこだったっけ?」
「レアの間だ」
「わたし、タイタンの間だよ。確か隣の部屋だったよね? 奇遇じゃん。部屋繋げられるか店員さんに訊いてみるね!」
「えっ」
いやお前それは。
「じゃ、行ってくるねー」
「お……おいおい、ちょっと待て……」
制止の声も聞かず、シロワニは行ってしまった。
「……あいつ、帝国の人間じゃなかったか?」
「そうだぞ。お前の姉さんがクーデターを決意した原因の国だ」
「…………」
僕達や栄にとっては敵国の人間と言っても過言ではない相手だ。
いや、終戦宣言していないんだから実際に敵国の人間なんだが。現在はなあなあで休戦状態になっているだけだ。本当色んな意味で、何故観光に来られるのかが分からん。
「……まあ良い。姉さんが許すなら、どうなろうと俺に興味はない」
「意思がなさ過ぎなんじゃねーの、シスコン?」
「必要ないからな。姉さんが絶対だ」
「そんなんだから表情筋生き返らんねーんだぞ」
「黙れ」
◇
結果として、シロワニの提案は許された。下手に拒絶してクーデターに感付かれたくないという判断との事だ。
一方で取引として、イタチと栄がシロワニと連絡先を交換していた。ホットラインという奴だろう。いざという時に帝国との繋がりは得ておきたいという考えなのだ。ちゃっかりしている連中だ。そうでなくては上の立場になどなれないのだろうが。
二つの大広間が繋がれての宴会は大いに盛り上がった。
……まあ酒が入ると人間って大体、細かい事なんかどうでも良くなるよな。
え? お前のパーティーって未成年ばかりだろうって? 法律どころか憲法も一〇〇〇年前になくなっているので無罪です。良い子は真似しちゃ駄目だぞ! 冒険者は悪い子だから気にしねーけどな!
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