竜の溺愛が国を救います(物理)

東院さち

文字の大きさ
17 / 18

17

しおりを挟む
「もうっ、無理です――離して――」

 汗が滴る頭を振って願った。リュシオンの指に戒められた僕のおちんちんが痛くてたまらない。

「もう少しだ」
「ああっあ……やだぁ……! あ……」

 リュシオンの指が緩み、断続的に続く快感の波が溢れて止まらない。それと同時に後ろのリュシオンの指を締め付けてしまった。

「エリー? エリー?」

 息ができなくて丸まった僕を焦ったリュシオンが何度も名を呼ぶ。
 揺さぶられて、「はっ……ぁ……」とやっと普通の呼吸ができるようになった。

「リュシー……」
「エリー、そんなに締め付けたら抜きたくても抜けぬ……どうすればいいものか……」
「ご、ごめんなさい……」

 僕は閨事が得意ではないようだ。

「いや、そなたを責めるのも違うな……。気を送れば緩むが、それでは覚えていられるかどうかわからぬ……。そなたに気を送ると、半分以上の確率で意識が飛んでしまうであろう? 覚えていて欲しいと願うのは、私の我が儘だが……」
「僕も覚えていたいです」
「私は竜であるからそなたがどれほど締め付けても平気だが、そのせいでそなたの身体に負担がかかるのは……」

 リュシオンは迷うように僕の背中に口付けながら、指を引き抜いた。

「ああっ!」

 リュシオンは思わず声をあげた僕を宥めるように背中に顔を擦り付けた。それすら粟立つのだからどうしようもない。

「大丈夫です。悲鳴を上げても気にしないでください」
「潔いのか男らしいのか無謀なのか……」

 リュシオンは笑いながら僕を正面に向けて抱き寄せた。

「あなたが欲しいんです……」

 優しい口付けをもらって、励まされるように願った。

「そなたは私を喜ばせるのが得意だな」

 リュシオンはそう言って、服を脱ぎはじめた。自分とは違う男らしい筋肉がついた身体だった。全部眺めていたかったのに、リュシオンは口付けで僕を夢中にさせながら脱いでいく。

「リュシー……」

 リュシオンも覚悟を決めたようだ。僕の脚の間に入って膝の裏を押し上げた。リュシオンの性器は僕のと比べものにならないほどに大きかった。それを僕の孔に擦り付ける。二人の合わさった部分がクチュッと鳴った。二年の間待ち望んだものが孔を押し広げながらゆっくりと挿ってきた。
 硬くて熱い――。
 僕の脚を大きく広げ高く上げる。寝台に串刺しにするようにリュシオンは腰を進めた。

「あ――……」

 声は知らぬ間に出ていた。慌てて口に手を持っていって抑えるとリュシオンが気遣ってくれる。

「苦しいか?」

 訊ねたリュシオンの声も震えている。首を振って大丈夫だと伝えると、フッとリュシオンは吐息を吐いた。
 苦しくないわけがない。でも二年間慣らし続けた身体は、思ったより柔軟にできていた。スムーズに進んでいたリュシオンの腰が一度止まった。端正に整ったリュシオンの眉間に皺がよった。

「あ、う……、挿った……?」

 手で口を押さえていたせいか少し目眩がしたように思えた。息を吐いて、吸って訊ねる。

「いや……今日はここまででいい。そなたの顔色が悪い」
「無理じゃない、もっと奥までくださいっ」
「ごねるでない。十分だ」
「つ、番になれたのですか?」

 リュシオンの顔が僅かに歪む。それだけで答えはわかった。

「僕では……番になれないのですか……?」

 番の基準がわからない。けれど、リュシオンのものになれないのだということだけはわかった。ヒクッと喉が震えた。口を押さえていた手から力が抜けて、吐息と一緒に嗚咽が漏れた。

「ふっ……う……」

 痛みだけでない涙が零れた。胸が痛くて腹も痛い。泣くと身体に力が入ってリュシオンを締め付けてしまった。力を抜かなきゃって思うけれど、「う……」と呻く声が聞こえるとその艶やかな声に僕のお腹の中がさらにキュウとしまった。
 紅い瞳を閉じたと思うと、リュシオンの腰が震えた。

「あ……んぅ……」

 お腹の中が熱くなって、みっちりと一杯だった中にじんわりと温かいものが広がっていくような気がする。

「リュシー、達ったの?」

 突然のことで僕は戸惑いながらリュシオンの言葉を待った。

「エーリッヒ……っ!」

 リュシオンが目を開いた。赤い瞳にギラッとした何かを感じた。

「リュ……っ」

 リュシオンは僕の名を呼びながら抽送を始めた。強引なまでのストロークに、「ヒァッ!」と悲鳴が空気に解ける。

「あああ……アッ!」

 二年間、僕はリュシオンを受け止められるようにと練習してきたはずだ。なのに、どうして……メリメリと知らぬ場所の知らぬ扉をこじ開けられたのか――。終わりだと思っていた場所はなんだったのか、と……聞こうとしたけれど声にならなかった。
 リュシオンの身体から、気が送られてきたからだ。
 僕の中を激しく暴き、攻め立てる様子を見れば普段と違うことはわかる。息遣いも瞳の強さも僕が知っているものとは違う。多分、気を送っているのも無意識なのだろう。気を取り込むにつれて、痛みが少しずつ薄れていく。その代わりに敏感になった身体がリュシオンの力強い腕に震え、腰遣いに悲鳴を上げる。痛みではなく快感でこんな風になるなんて思ってもみなかった。
 リュシオンから与えられるものは、甘美な毒のようにじっくりと身体を巡っていくはずなのに。

「エリーッ! エーリッヒ……」

 浮き上がった腰を抱えられ、ズンズンと押しつけられる凶器。それはもう陽根だとかおちんちんだとかいうような代物ではなかった。

「あ、あ、あ……ひっあ――……」

 僕が悲鳴を上げてリュシオンが止まらないなんておかしい。リュシオンが正気でないと気付いたのは、痛みから逃れたからだった。結合した部分があたる度に送られてくる気の量は今までで最高のもの。僕の身体は僕の意志を無視し、逃したくないのだと縋るようにリュシオンを締め付けて絡みついた。自分の身体でありながらどうすればいいのかわからないままに、身体だけが拓かれていく。貪欲に全てを吸収しようとする。

「あ、ああっ! もっと……っ!」

 これ以上いらないと思っているのに更なる気を求めて口が勝手に開く。このままおかしくなって、自分でないものになってしまうんじゃないかと不安が押し寄せてくる。何故か、お姉さん達に教わったことが次から次へと走馬灯のようによぎる。
『男は夢中になるとこっちの様子に気付かないからね』
『しっかり前戯してくれる人なら大丈夫よ』
『嵐はいつか止むわ……』
 ああ、それが一番近いかもしれない。でも一週間でも眠らずにいられるリュシオンに通じるのだろうか。僕の気が触れても、リュシオンは気付かないだろう。壊れた僕を抱きしめて慟哭するリュシオンを想像してそれだけは嫌だと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない

北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。 ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。 四歳である今はまだ従者ではない。 死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった?? 十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。 こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう! そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!? クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

婚活アプリのテスト版に登録させられたら何故か自社の社長としかマッチング出来ないのですが?

こたま
BL
オメガ男子の小島史(ふみ)は、ネットを中心に展開している中小広告代理店の経理部に勤めている。会社が国の補助金が入る婚活アプリ開発に関わる事になった。テスト版には、自社の未婚で番のいないアルファとオメガはもちろん未婚のベータも必ず登録して動作確認をするようにと業務命令が下された。史が仕方なく登録すると社長の辰巳皇成(こうせい)からマッチング希望が…

クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~

槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。 公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。 そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。 アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。 その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。 そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。 義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。 そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。 完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

処理中です...