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そんな顔しちゃダメ
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「星(ひかる)は、今日からママのパパになるの、わかる?」
「パパになれるの?」
「なれなくても、なるの。わかる?」
ガバッ……。片付けをして寝てしまったんだ。
ママと離れてからずっと一人で住んでたから、変な夢を見たんだ。
身体中に変な汗をかいてる。
あれ以外に、何の夢を見てた?
キッチンに行って、水を飲んだ。
せっかく、布団買いに行くつもりだったのに…。
月、氷雨、月、氷雨
「なにしてんだろ、グラスでハハ」
こんなんで、どちらかを選べるはずはないのに…。
身体の奥から月への感情が、溢れてるのに…。
手前にある氷雨への愛と時雨への愛が、そこに辿り着けないようにしているのを感じる。
僕もすぐにそこに辿り着きたくない気持ちを感じてる。
なんて、我儘なのだろうか?
心も、身体も…。
最低、その二文字以外で僕を表す漢字はないだろう。
はぁー。何してんのかな…。
こんな変な時間に起きてさ
ブーブー スマホを見ずに電話に出た。きっと、氷雨だろう。
夜の11時、お母さんに反対されたのかな?
「もしもし」
「俺です。」ドキン胸の奥で何かが弾けた。
「どうしたの?」
「変な時間に起きたからかけてごめん。」
「泣いてるの?」
「うん。兄が部屋に閉じこもって気づいたら寝てて、さっき起きて、どうしたらいい?」
月の声、ダメだ涙がでてきた。
今、愛してるのはお兄さんだと感じた。
お兄さんの為に泣いている。
「声、かけてみたら?」
「無理だよ。傷つけたくなる」
「それでも、声かけなきゃ進まないよ。愛してるんでしょ?」
いいようのない痛みが胸を貫いた。
「俺は、あの人を愛してるんだ。星もさっきの彼を愛してしまったんだよね?」
月には、バレてる。
「うん。愛してる。彼も時雨も」
「向き合ってあげなくちゃね。俺もそうするから、何か電話してごめん。ありがとう」
「待って」月が欲しいよ。
月に触れたいんだよ。
「大事にしてあげて、ちゃんと」
「待って、切らないで」
「俺は、今、星を見てあげられないんだ。」
「待って」
パパー。どこに行ったのパパー。
「あっ、ごめんね。我儘言って」
「いつか、見つけるから、ちゃんと見つけるから。今は、目の前の愛を大切にしたい。星への愛が遠すぎて掴めない。ごめんね。」
同じだった。
「わかってる。ちゃんとわかってる」
「最低だけど言ってもいい?」
「うん。」
「星が、欲しい」プープー
電話が切られた。涙が溢(あふ)れてきた。
身体の奥からフツフツと何かが沸き上がってきた。
一瞬で身体中に熱をおびた。
僕もちゃんと向き合おう。泣きながら、布団にくるまって眠った。
目が覚めたら、朝の8時だった。
「ヤバイ、時雨と氷河に会わなくちゃ」急いでシャワーを浴びて用意をして、タクシーを呼んで家を出た。
タクシーに乗って星城病院に連れて行ってもらった。
「月」振り返るとお兄さんがいた。
月の香りだった。
「まだ、目覚めてないよ。」
気づいて声をかけてきたようだった。
「そうですか、失礼します。」
月の愛を注がれたお兄さんは、初めて会った時とは別の人間かと思う程穏やかな人になっていた。
涙が、たまって落ちてく。
本当は、僕がもらうはずだった。
何、考えてんだよ。最初からもらえなかったんだよ。諦めろよ。
下を向いて歩いてたから、誰かにぶつかった。「すみません。」
「そんな顔しちゃダメ」フワッと優しく抱き締められた。
顔をあげたら、氷雨だった。
「今、ついたんだよ。見つけたのに見てなかったから」
「氷雨。」氷雨と月が、重なりあっていく。
「誰かのかわりでもいいから」
氷雨は、ギュッーって僕を抱き締めた。
「氷雨、僕を愛してくれる?」
「愛してるよ、星」
そう言って、抱き締める力を強くしてくれた。
氷雨の香りに包まれる。
「煙草やめたの?」煙草の匂いがしなかった。
氷雨の顔を覗きこんで言った。
「願掛け、兄さんが目覚めたらまた吸うよ」って笑った。
月が、ヒーローなら氷雨は王子様だ。
僕が欲しい言葉をいくらでも注いでくれる。
「パパになれるの?」
「なれなくても、なるの。わかる?」
ガバッ……。片付けをして寝てしまったんだ。
ママと離れてからずっと一人で住んでたから、変な夢を見たんだ。
身体中に変な汗をかいてる。
あれ以外に、何の夢を見てた?
キッチンに行って、水を飲んだ。
せっかく、布団買いに行くつもりだったのに…。
月、氷雨、月、氷雨
「なにしてんだろ、グラスでハハ」
こんなんで、どちらかを選べるはずはないのに…。
身体の奥から月への感情が、溢れてるのに…。
手前にある氷雨への愛と時雨への愛が、そこに辿り着けないようにしているのを感じる。
僕もすぐにそこに辿り着きたくない気持ちを感じてる。
なんて、我儘なのだろうか?
心も、身体も…。
最低、その二文字以外で僕を表す漢字はないだろう。
はぁー。何してんのかな…。
こんな変な時間に起きてさ
ブーブー スマホを見ずに電話に出た。きっと、氷雨だろう。
夜の11時、お母さんに反対されたのかな?
「もしもし」
「俺です。」ドキン胸の奥で何かが弾けた。
「どうしたの?」
「変な時間に起きたからかけてごめん。」
「泣いてるの?」
「うん。兄が部屋に閉じこもって気づいたら寝てて、さっき起きて、どうしたらいい?」
月の声、ダメだ涙がでてきた。
今、愛してるのはお兄さんだと感じた。
お兄さんの為に泣いている。
「声、かけてみたら?」
「無理だよ。傷つけたくなる」
「それでも、声かけなきゃ進まないよ。愛してるんでしょ?」
いいようのない痛みが胸を貫いた。
「俺は、あの人を愛してるんだ。星もさっきの彼を愛してしまったんだよね?」
月には、バレてる。
「うん。愛してる。彼も時雨も」
「向き合ってあげなくちゃね。俺もそうするから、何か電話してごめん。ありがとう」
「待って」月が欲しいよ。
月に触れたいんだよ。
「大事にしてあげて、ちゃんと」
「待って、切らないで」
「俺は、今、星を見てあげられないんだ。」
「待って」
パパー。どこに行ったのパパー。
「あっ、ごめんね。我儘言って」
「いつか、見つけるから、ちゃんと見つけるから。今は、目の前の愛を大切にしたい。星への愛が遠すぎて掴めない。ごめんね。」
同じだった。
「わかってる。ちゃんとわかってる」
「最低だけど言ってもいい?」
「うん。」
「星が、欲しい」プープー
電話が切られた。涙が溢(あふ)れてきた。
身体の奥からフツフツと何かが沸き上がってきた。
一瞬で身体中に熱をおびた。
僕もちゃんと向き合おう。泣きながら、布団にくるまって眠った。
目が覚めたら、朝の8時だった。
「ヤバイ、時雨と氷河に会わなくちゃ」急いでシャワーを浴びて用意をして、タクシーを呼んで家を出た。
タクシーに乗って星城病院に連れて行ってもらった。
「月」振り返るとお兄さんがいた。
月の香りだった。
「まだ、目覚めてないよ。」
気づいて声をかけてきたようだった。
「そうですか、失礼します。」
月の愛を注がれたお兄さんは、初めて会った時とは別の人間かと思う程穏やかな人になっていた。
涙が、たまって落ちてく。
本当は、僕がもらうはずだった。
何、考えてんだよ。最初からもらえなかったんだよ。諦めろよ。
下を向いて歩いてたから、誰かにぶつかった。「すみません。」
「そんな顔しちゃダメ」フワッと優しく抱き締められた。
顔をあげたら、氷雨だった。
「今、ついたんだよ。見つけたのに見てなかったから」
「氷雨。」氷雨と月が、重なりあっていく。
「誰かのかわりでもいいから」
氷雨は、ギュッーって僕を抱き締めた。
「氷雨、僕を愛してくれる?」
「愛してるよ、星」
そう言って、抱き締める力を強くしてくれた。
氷雨の香りに包まれる。
「煙草やめたの?」煙草の匂いがしなかった。
氷雨の顔を覗きこんで言った。
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月が、ヒーローなら氷雨は王子様だ。
僕が欲しい言葉をいくらでも注いでくれる。
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