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愛の話

さよなら①

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一ヶ月後ー

keikoさんから、十夢に連絡がやってきた。

うまく出来るかは、わからない。

でも、やらなくちゃ…。

わざと、チェーンを閉めておく。

ガチャン…

ピンポーン

「はい」

「チェーン開けて」

「わかった」

わざとらしく、出て行くぐらいに開ける。

カシャッ、これを撮るのは十夢の役目。

「愛、来るっていったのに」

「ごめんね!昨日、変な人がガチャガチャしたから」

「そっか、大丈夫だった?」

「うん、大丈夫」

何でかな?

悲しくなってくるのは…。

「愛、つけてくれてるんだね」

純は、左薬指の指輪を触る。

「うん」

「お酒飲もうか?」

「うん、シャンパン言われたの買っておいたよ」

「それ、飲もうか」

「うん」

純は、シャンパンの栓を抜いた。

ポンッ……

トクトク注がれてるのを見つめてる。

涙を流さないように気を付ける。

「おいで」

「うん」

ソファーに、シャンパンを持っていく。

「乾杯」

「乾杯」

カチンと、グラスを合わせてコクコク飲み込んだ。

駄目、悲しい…。

我慢できなくて、涙が流れてきた。

「愛、何で泣いてるの?」

「たいした事じゃないよ」

「どうして?」

純は、涙を拭ってくれる。

「昨日、結愛ちゃんと喧嘩しちゃったの…」

デタラメを並べる。

「何で?」

「JELLYのtasukuが、彼女いるらしいって言ったら、怒っちゃってね」

「それで、喧嘩したの?」

「そうなの」

私は、嘘をつく。

「親友だから、悲しいね」

それを純は、信じてくれる。

本当は、さよならが悲しいの。

まだ、私の中に純はこんなにいたの。

シャツのボタンをはずしていく。

「愛、もうしたいの?」

「うん」

純は、シャンパングラスを置いた。

これが、最後……。

来月には、ここはなくなってる。

「愛、俺もしたいよ」

私、純を愛してる。

十夢が言ったように、歳月を重ねたせいかな?

純への愛が、突然湧き出て止まらなくなる。

何で?


キスをされる。

このキスが、好きだった。

唇を唇で噛んで、舌先を使って開かされる。

このキスが、大好き。

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