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凛の話3

愛って何?

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「洗ってきたよ!凛」

「じゃあ、私も洗ってくる」

「いいよ!別に、凛は…」

「駄目」

「わかった」

私は、龍ちゃんから逃げるようにお風呂場に来た。したくないわけじゃない。頭を流れる言葉を書き消せるのかわからなくて辛いだけ…。
私は、溢れてくる涙を拭ってシャワーで体を洗った。拒否すればおかしい。それは、間違ってる。だから…。
シャワーを浴びて、体を拭いて楽チンなワンピースを着た。

「ごめんね、龍ちゃん」

寝室にやってきたら、龍ちゃんはスマホでゲームをしていた。

「大丈夫だよ」

「するんでしょ?」

「うん」

龍ちゃんは、そう言ってベッドの上で両手を広げておいでと言ってきた。私は、龍ちゃんのその手の中に入った。

「凛、我慢してた?」

「うん」

「俺もだよ」

そう言って、ギュッーと抱き締めてくる。

【龍ちゃん、セックスする相手見つけたら?】

頭の中にそれが広がっていく。

【わざわざしなくたっていいんだよ】

お医者さんが言ったじゃない。治療をしなければ、私には難しいって…。なのに、何で龍ちゃんは私を抱くの?
それを愛しているからだと綺麗事を並べるなら…。どうして、避妊しないの?

愛してるなら、期待させるような事はしないでしょ?期待させないのは、優しさでしょ?愛でしょ?龍ちゃん!私が、どれだけこの体に裏切られてきたかわかってるよね?だから、龍ちゃん。愛してるって言うなら、セックスするのやめようよ!

そう言えなくて、左目から涙が一筋流れ落ちた。

「凛、愛してるよ」

「うん」

後ろから抱き締められて弱いとこを触られていく。首筋に息がかかっていく、私の体は龍ちゃんを知っている。だから、私の気持ちなんか置き去りにしていく。

「気持ちいいんだね、凛」

「うん」

うんじゃないよ!頭の中で、拡声器を持った小さな私が実況をする。

【ほら、今からゆっくりいれますよー。凛、赤ちゃん出来るよ!赤ちゃんが欲しい、赤ちゃんが欲しい、赤ちゃんが欲しい】

小さな私は、コンサートでアンコールを叫ぶように拳を突き上げて【赤ちゃんが欲しい】と叫んでいる。

心が磨り減っていく。

「凛、愛してるよ」

「うん」

私が違う人に抱かれてるって気づいていますか?龍ちゃんは、私にゆっくりキスをしてくる。

「痛い?泣かないで」

「違う、睫毛入っただけ」

涙が止めどなく溢れてくる。止められないから、両手で目を隠した。

「凛、大丈夫?」

「気にしないで」

「わかった」

こんな話をしながら、出来るなんて滑稽だ。

「凛、愛してるよ」

「うん」

龍ちゃんは、私の中で果てた。だけど私は、そうはならなかった。

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