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凛の話5

あの子は嫌だ

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ドサッって、音が響きそうに思うぐらいソファーに押し倒される。

「何?」

「旦那さんは、いいよ!」

「うん」

「だけど、俺。あの子は嫌だ」

「どうして?」

「どうしても嫌だ!凛にこんな事して欲しくない」

そう言って、拓夢はTシャツに手を入れてくる。

「ヤキモチ妬いてるの?」

「うん」

そう言って、唇を重ねてくる。龍ちゃんとは、違う唇の分厚さや暖かさも…。人間は、一人一人違うのがわかる。

「凛君とは、そうならないよ」

私の言葉に拓夢は、悲しそうに目を伏せる。

「嘘は、つかないから」

「あの子は、若さで凛を強引に引っ張っていくよ」

「流されないから」

「本当に?」

「若いって無鉄砲でしょ?」

「うん」

「私は、夫がいるんだよ!そんな無鉄砲の子とはどうにかならないよ」

「バレたくないから?」

「違う!バレるのが嫌なんじゃない」

「壊されたくないんだね」

拓夢は、私の事を理解してくれている。そう、バレるの何て別にいいの。凛君みたいな若い子は、平気で私の中に入ってきて私の土地を踏み荒らす。それが、いいか悪いかもわからずに…。壊されたくないの…。

「拓夢」

不倫相手に選ぶなら、25歳を回ってる方がいい。酸いも甘いも知っていて、どこまでなら踏み込んでいいかをきちんとわかってるから…。昔、この話を誰かから聞いた。不倫なんて気持ち悪い事しないわよ!なんて、思ってた頃に聞かされた話。

「凛、ベッドに連れて行ってあげる」

世の中の女性が憧れるっていうお姫様抱っこを拓夢は、してくれる。
私は、拓夢の首に手を回した。ゆっくりと体が宙に浮かんで…。拓夢は、ベッドに私をゆっくりとおろした。

「お姫様、お怪我はありませんか?」

「フッ、何それ?」

「いいから」

「ありません」

「嘘だよ!ここが、怪我してる」

そう言って、拓夢は私のシャツを脱がした。

「どこ?」

「ここ」

そう言って、左胸にキスをされる。

「王子様、もっとして」

「もっとって」

「恥ずかしい」

「こうして欲しいって事」

「駄目っっ」

優しく撫でられていくように、キスをされる。ゆっくり丁寧に舌を這わされる。

「凛、愛してる」

そう言って、唇を食べるぐらいの勢いでキスをしてくる。

身体中が愛されてるのを実感していく。満たされてく。心も身体も…。子供が欲しいなんて、これっぽっちも思わなくて…。ふつふつと湧き出る欲望の泉という名の沼に全身が沈んでいく。私と拓夢は、その沼から顔だけを出して繋がってる。

「凛の体、気持ちいい」

「拓夢」

「俺、凛とずっと一緒にいたい。どんな形でもいい。お願い、傍にいさせて」

繋がり合うのは、体だけじゃなくて心も繋がっていく。

『アァァッ…』

声が重なり合って、私と拓夢は果てた。頭の中が真っ白だった。

私と拓夢は、手を握りしめ合っていた。
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