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拓夢の話6

俺は、凛から離れた。

「帰ろうか?」

「うん」

凛は、ゆっくり立ち上がって、傘を拾って閉じてる。

「ヤベー!足が痺れた」

「大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫」

俺が、足を擦ろうとしたら凛も擦ってくれる。優しい人。だから、きっと色んな人が勘違いするんだろうな…。

「待ってな」

「うん、大丈夫だよ」

「凛、優しいな」

「優しくないよ」

「嫌、優しい…。だから、勘違いするんだ」俺は、小さい声で呟いた。

「なんか、言った?」

「ううん、何も言ってない!おさまった!ありがとう」

「よかった」

俺は、ゆっくり立ち上がった。

「びしょ濡れだよ」

「凛もな!ほら」

俺は、凛にスーツの上着を肩にかけた。凛のワンピースが濡れて所々透けていた。

「ありがとう!服着替えてから、ご飯食べに行くのがいいよね」

凛は、そう言って俺のスーツの上着を着ていた。恥ずかしいのを隠しながら俺は凛に話す。

「それも、そうだな」

俺は、鞄を拾って凛と並んで歩き出す。

「なあ!凛」

「何?」

「あの子と大丈夫だった?」

「うん!何とかね」

「浮かない顔してるけど!さよならは、言えなかったのか?」

「凛君、お母さんに産まなきゃよかったって言われたりしてね。お母さんに首絞められた私を庇ったりしたから…。よけいに、怒らせちゃってね」

「あの子も色々あるんだな!」

「うん」

「ってか、首絞められたの大丈夫?痛みとかはない?」

「大丈夫だよ!凛君が助けてくれたから」

「ごめんな!美沙を追いかけなかったら、凛を助けれてた」

俺は、凛の手を握りしめる。

「全然、気にしないで!拓夢のせいじゃないよ!凛君のお母さんが、出てくるかもっていうのは何となく予想ついてたから」

「凛が、同じ親ならそうした?」

「するよ!16歳の息子が、39歳の女と歩いてたら包丁振り回して追いかけてる」

「怖くないか?その絵は、さすがに…。想像しちゃったから」

「でも、それぐらい重罪だよ!未成年だよ!可愛い息子だよ」

俺は、凛の言葉と態度に笑ってしまう。

「プッ…。凛、怖いから!その手の動きとか!」

「ごめん、興奮しちゃった」

「いや、いいけどさ!あの子の母親もそうだって凛はずっと思ってたんだな!」

「そうだよ」

凛は、俺の手を強く握り返してくる。

「凛」

「どうしたの?」

「今日も一緒にいたい」

「どういう事?」

「家に帰らないで欲しい」

「また、ホテルって事?」

「嫌、今日は家で大丈夫だから」

凛は、何故か「うん」とは言ってくれなくて眉毛を潜めて何かを考えてる。

「凛の家の近所の目とかもあるから、無理にとは言わないから!来れたら来てよ!待ってるから」

「うん」

俺と凛は、駅前にやってきた。

「じゃあ、着替えたら!」

「どこに行けばいい?」

「俺の家の駅でもいいかな?」

「わかった」

俺は、腕時計を見つめる。

「18時半でもいい?一時間半後だけど」

「うん、わかった!後、ありがとう」

そう言って、凛は笑って上着を渡してくれた。まだ、暑い時期だから凛のワンピースは駅につくまでには乾いていた。
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