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凛の話10

回る思考と想いと…

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もう、止まられない気がした。それは凛君も感じていたようで…。
私の背中に手を入れてくるブラジャーのホックを苦戦しながら外してく。

「凛さん、ドキドキする」

凛君は、私の手を自分の胸に持っていく。
ドクンドクンと高鳴っているのを感じる。

「本当だね」

「いいの?」

いいかどうかで言うとよくない。絶対によくない。

「やめよう…。やっぱり、犯罪だから」

「凛さん」

私の言葉に、凛君は止まる。

「きついよね?トイレ」

「我慢する」

「大丈夫?」

「わからない」

凛君は、困った顔をしてる。私は、ブラジャーを直せなくて…。

「凛さん、ごめんね」

「えっ?」

ゆっくりと私は、床に倒されてしまった。

「凛君」

「ごめんなさい、でも、拒否しないで」

「でも、それは…」

逮捕されたくはない。

「わかってる、二年後じゃないと駄目なんでしょ?」

「凛君」

ごめんねって、言うのは何か違う気がする。凛君の涙がポタポタと頬に当たる。

「わかってるから、言わないで」

私は、凛君の頬に手を当てる。

「どうしたいの?」

「凛さん」

凛君は、私に抱きついてくる。細いけど、ちゃんと男の子なのがわかる。

「凛君」

私の胸に頭を置いてくる。私は、優しく髪を撫でてあげる。

「凛さん、好きだよ!大好きだよ!」

そう言って胸に手を当ててくる。駄目だよ!って言いたいけど、グルグルと回ってきた。

「凛君、受け止めてあげたいけど…私」

「凛さん」

「もう、無理」

一気に酔いが回ってきたらしく。目が落ちてしまった。

・・・・・・。

「うーん」

目覚めたら、ベッドにいた。隣に、凛君が私に抱きついて眠ってる。私は、頭を優しく撫でてあげる。

「凛さん、大丈夫?」

目を覚めた凛君は、私にそう言ってくれる。

「ごめんね。寝ちゃった」

「意識がなくなったかと思ったら、息してたから…。大丈夫だって思って」

ホッとしたのか、凛君はポロポロ泣き出した。

「目が覚めなかったらとか思ったら怖くなって!ネットで調べたら寄って寝てるだけだってわかって!でも、違ったらとか不安で」

「大丈夫だよ!ありがとう、凛君」

私は、凛君の頭を優しく撫でる。凛君は、その手を掴んで頬に持っていく。

「凛さん、よかった」

「うん」

私の手に頬擦りをする。

「大丈夫だよ」

「安心して、寝込みは襲ってないから」

そう言って、凛君は悪戯っぽく笑った。

「そんな事しないってわかってるよ」

「凛さん、二年後なら抱かせてくれる?」

凛君は、真剣な顔で私を見つめる。私は、凛君の頬にある手で凛君に触れる。

「凛君が二年後、まだ私を好きならね」

そう言って笑った。凛君を傷つけたくなかったから…。

「あっ!」

「どうしたの?」

「晩御飯食べれるの、後一時間だよ」

「ごめんね、私!寝すぎたんだね」

「大丈夫だよ!行こうか!僕、凛さんに食べて欲しいのあるんだ」

「わかった」

私は、起き上がってブラジャーのホックをつけた。
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