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エピローグ【拓夢の話1】

早く寝ないと…

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「早く寝ないといけないんじゃない」

「あー、そうだな」

「先、あがっていいよ」

「ごめん」

俺は、湯船からあがってシャワーを捻る。暫くして、お湯が出てから頭を洗って、体を洗った。

「バスタオル置いとく」

「うん、ありがとう」

凛と一緒に住んでる事が嬉しいけれど…。凛がどんな気持ちなのかを全部知る事が出来なくて不安でもある。俺は、風呂からあがって、タオルで頭を乾かして体を拭いた。パンツを履いて、凛の為のバスタオルを置いた。
ドライヤーのスイッチを入れて、髪を乾かした。短い髪は、すぐに乾いた。俺は、キッチンに向かう。水道の蛇口を捻って、ゴクゴクと水を飲んだ。そう言えば、あれから何の連絡もない美紗の事が俺は、急に気になった。ダイニングテーブルに置いていたスマホを見つめる。このメッセージの相手も忘れていた。

【星村拓夢、皆月凛と不倫してるのを知っている】俺は、あの気色悪いメッセージをもう一度開いた。そうだ。こいつが誰か会いに行けば…。もしかしたら、全部解決するのかも知れない。
【誰だ?】俺は、そう言ってメッセージを送った。

「お水もらうね」

「うん」

凛がやって来て、スマホを置いた。凛は、蛇口を捻って水を飲んでる。

「浄水器、買い換えようかな」

俺は、凛に近づいて話しかける。

「これじゃなくて?」

「置き型がいいだろ?」

「蛇口にある方が便利じゃない?今みたいに」

「そうかな?」

「そうだよ」

俺は、凛の事を抱き寄せる。髪の毛から、同じ香りがする。

「歯磨いて寝よう」

俺は、凛を洗面所に連れて行く。

「歯ブラシ、買ってない」

「大丈夫!あるから」

俺は、買い置きの歯ブラシを凛に渡した。

「歯磨き粉、新しいのあるよ」

「どっちでもいい」

「じゃあ、新しいの使う?」

「別にいいよ。拓夢が使ってるので」

「じゃあ、ちょっと捨ててからがいいか?」

「菌とかの話?」

「うん」

「いいよ」

凛は、そう言って歯磨き粉を俺から取って歯ブラシにつける。並んで、歯を磨く。いつか、凛の旦那さんが俺を見つけて会いに来て…。俺は、刺されたりしちゃうのかな?
だとしても、俺はこの時間を渡したくない。
歯を磨いてる凛と鏡越しに目が合う。グチュグチュと凛は、うがいをして口をゆすいで、俺もそのあとすぐにゆすいだ。

「俺、凛の旦那さんに殺されてもいい」

俺は、凛を引き寄せて抱き締める。

「そんな事しないと思うよ。絶対しないよ」

「何でわかるんだよ」

「だって、私。あんまり、龍ちゃんが怒るの見た事ないから…。だから、そんな事しないよ」

「龍ちゃんは、俺と違って優しいもんな」

俺は、凛にそう言って離れる。パジャマを取り出して着替えるとベッドに向かって歩く。

龍ちゃん、龍ちゃん。俺は、その人を越えられない。わかってるのに、何で悲しいのかな…。
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