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エピローグ【凛の話3】

駅前のカフェで朝食

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「外側サクサクなのに、中モチモチだね」

「そうだな」

「後、ミミ苦手だったけど柔らかくて美味しいね」

「それわかる!カリッとしてんのにミミは柔らかいよな」

そんな話をしながら、二人で食べる。テーブルの下で、足がぶつかる。拓夢がいるんだって、思って安心する。あの日、ステージの上にいた、手の届かない拓夢じゃなくて…。ちゃんとそこにいる。

「ごめん。足当たった」

「ううん。大丈夫」

もっと感じたい。今日だけは、もっと拓夢を感じていたい。

「美味しすぎて、早くなくなるわ!凛は?」

「美味しいよ!凄く」

「このスクランブルエッグがさ、また絶妙な柔らかさと固さでこのパンにあうよな」

「うん」

「このベーコンもいい感じだよな」

「うん」

私は、拓夢の食レポを聞いていた。

「凛、楽しい?」

「うん」

私は、ニコニコ笑いながら聞いていた。拓夢と過ごす日々は、楽しい。龍ちゃんと結婚してすぐを思い出す。私は、ミルクティーにガムシロップをいれてストローでかき混ぜる。

「凛の人生の1ページにいる事が出来て嬉しい」

拓夢は、そう言ってニコニコ笑ってる。

「私だって同じだよ」

交り合う事のなかった私達を出会わせてくれた運命に感謝してる。

『ごちそうさまでした』

私と拓夢は、同時にそう言った。

「じゃあ、行こうか!時間がなくなっちゃうから」

「うん」

私と拓夢は、立ち上がった。お会計をする。迷わず拓夢が出してくれる。

「ありがとうございました」

店員さんにお辞儀をされて、お店をあとにした。拓夢は、切符を買いに行ってくれる。

「はい」

「ありがとう」

まだ、手を繋ぐ事は出来ない。改札を抜けて、ホームにやってくる。

「まだ、だなー」

「うん」

電車が来るまで、まだ10分はある。電車のベンチに並んで座る。

「あっ!ごめん」

「ううん」

体がぶつかって、拓夢は謝ってきた。触れたいけど、触れられない。それが、こんなにも、もどかしい事を忘れていた。

「ずっと、最近は当たり前みたいに凛に触れてたから…。こんな状態って辛いな」

私が考えてる事を口に出してくれる拓夢が好き。

「そうだね」

「早く電車に乗って、都会(あっち)に行きたいなー」

「うん」

「そしたら、気にせず過ごせるのにな」

「うん」

拓夢は、切なそうな目をしながら私を見つめる。私も同じように見つめていた。

「もう、来るよ」

そう言って、拓夢は立ち上がった。私も立ち上がる。

ガタンゴトンー

電車がホームにやってくる。私と拓夢は、電車に乗る。

「そこ座ろうか?」

「うん」

ラッシュは、過ぎてるから…。私達は、席に座れる。座った瞬間に、手が当たる。

「ごめん」

「いいって」

気にしなくていいのに、私だってそうしたい。拓夢と手を繋ぎたい。


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