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エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】

幸せになれるよ【凛】

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「餃子包もうよ」

「そうだな」

私は、話をそらすようにそう言って拓夢から離れる。

「餃子の皮、取るよ」

拓夢は、そう言って冷蔵庫から餃子の皮を取り出した。

「一緒に包もう」

「出来るかな?」

「下手くそでもいいからやろう」

そう言って、私は拓夢に笑った。

「お水いれようか」

拓夢は、小さなお皿にお水を入れる。

「手洗うわ」

「うん」

拓夢は、手を洗ってる。私もその後、手を洗った。

「やり方、教えて」

「うん。スプーンで種をすくっていれるでしょ!それで、水をつけてからこうやってヒダを作っていくんだよ」

「へー、やってみるよ」

そう言って、拓夢は餃子を包んでいく。

「種いれすぎ!」

「本当だ!とじない」

「初めてだとやるよね」

「そうなの?凛もそうだった?」

拓夢は、そう言いながら私を見つめる。

「そうだったよ!初めては、そんな風にとじなかった」

「へー」

拓夢は、そう言ってニコニコ笑ってる。
私と拓夢は、餃子を包む。

「なぁ、凛」

「なに?」

「もっと、幸せになっていいんだよ!凛」

「何、それ」

私は、笑いながら餃子の種をすくって皮の上においた。

「蓮見との日々で、自分が汚いとか駄目な人間だって思ってたんじゃないのか?」

「思ってないよ」

私は、餃子をとじてお皿の上に置いてから、また新しい皮を取った。

「嘘だろ?凛」

「拓夢も同じだからわかるの?」

私は、そう言って餃子を包んだ。

「わかるよ。軽蔑するのは、自分自身なんだろ?」

涙が流れそうになるから、拓夢がいない左側に顔を向けた。

「龍次郎さんと付き合った時も捨てられると思ったの?」

拓夢は、そう言いながら餃子を包んでいるようでカチャカチャと音がする。

「そうだね。体を捧げなきゃ離れると思ってた」

「龍次郎さんは、何て言ったの?」

「龍ちゃんは、まだ早いって言った」

「離れなかったのわかってるんだよね」

その言葉に、私の目から涙が流れ落ちてきた。

「それでも、確かめたくなった?次は、赤ちゃんが出来ない体でも愛してくれるか知りたくなった?」

私は、拓夢の言葉に「ちょっとトイレ」と嘘をついた。

「待って」

拓夢は、手をさっと流してから私の腕を掴んでくる。

「トイレ漏れちゃう」

「泣いてるのバレたくないんでしょ?」

そう言って、拓夢は私の手を引き寄せる。

「何で…」

私は、拓夢を泣きながら見つめていた。

「俺と不倫して、さようならって言われたらどうするつもりだった?」

拓夢は、私の顔を覗き込んで言ってくる。

「それは…」

「本当は、わかってたんだよな!龍次郎さんは、凛の傍からいなくならないって」

私のズルさを拓夢に見抜かれている。私は、何も言えずに拓夢を見つめる。目を左右に揺らしてるのが自分でもわかるぐらい動揺している。



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