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エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】

最後のキス【凛】

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私達はキスをするのに、ソファーに途中やってきていた。私は、拓夢の上に座ってキスをしていた。

「時間だな」

拓夢は、そう言ってスマホを見つめていた。

「ずっと、そうなってたの気づいてた?」

いたずらっ子みたいに私は笑って言った。

「コート着たらバレないから…。凛だってそうだろ?」

「うん」

恥ずかしそうに私は俯いて笑った。

「凄く嬉しいよ。そうなってくれてただけで、嬉しい」

「帰ったら、一人でする?」

私の言葉に拓夢は、笑った。

「そうだな!その為にもっと凛を感じなきゃ駄目だよな」

そう言って、拓夢は私をギューって引き寄せてきた。

「スカートなの、わざと?」

「違うよ」

拓夢は、私の太ももを触ってくる。

「そんな所触ったら」

「したくなる?」

「意地悪」

「意地悪なのは、凛の服装だろ?」

そう言って、拓夢は笑った。太ももを優しく撫でられながらキスをされる。

「違うよ」

「違わない」

拓夢は、そう言いながら意地悪してくる。

「拓夢、こうやって他の人にもする?」

何、焼き餅妬いてるのかな…。

「不思議と凛とした事を別の誰かにしようって思わないんだよ。だから、これは凛にだけだから…。安心して」

「焼き餅妬いてる、私」

「俺だって同じだよ!旦那さんにするんだろ?こういうの」

「しないよ。拓夢とだけ…」

「本当に?」

「本当だよ。だから、キスしよう」

そう言って、私は拓夢にキスをした。

「時間だよ」

「まだ、大丈夫だよ」

「もう少しだけだな」

「うん」

拓夢は、私の太ももから足首までを撫でてキスをしてくれる。

「んんっ」

拓夢に舌を入れられて声が出てしまった。

「ヤバいわ」

唇を離すと拓夢がそう言った。下半身に感じるそれ、足を撫でてくる指先、全てがあの日々を思い出させる。

「もう少ししたら、用意するね」

「そうだな」

そう言って、私達は時間が来るまで繰り返した。

「今、何時?」

「23時半」

「最終電車に間に合わなくなる」

私は、拓夢から降りた。

「凛、ありがとう」

拓夢は、私を後ろから抱き締めてくれた。

「うん」

「ズボン履いてく?」

「あっ、うん」

私は、二日目に買った洋服の中からズボンを取り出して履いた。

「じゃあ、行こう」

拓夢は、立ち上がってコートを着ていた。

「大丈夫?それ?その」

「別に、大丈夫だろ?コート着るし」

「でも、ほらその」

「気にしないでいいって」

そう言って、拓夢は私の頭を優しく撫でてくれる。用意をした私と拓夢は、家を出る。

「もう、ここに拓夢はいないんだね」

「家は家だよ」

そう言って、拓夢は笑ってた。

「駅まで、手繋ごうか?」

「駄目だよ」

「いいから」

拓夢は、帽子をしっかり被って私の手を握りしめてきた。

拓夢のファンに見つかったらどうしよう。週刊紙に見つかったらどうしよう。私は、不安を抱えながらも手を握りしめた。

「旦那さんには、連絡した?」

「あっ、うん。朝起きた時に…。今日、帰るからって」

「返事は?」

「なかったよ」

私は、そう言いながら目を伏せた。
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