俺の王子様-3lover-

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
29 / 40

お母さんは、すごいな

しおりを挟む
「みっくん、そんなんせんでええの」

「許されへん。殺るねん、殺ったるねん」

俺は、包丁を持って佐々木を探して街を歩いてる。

「みっくん、やめてって言うてるやろ?」

「殺る、俺が殺る」

「そんなみっくんなんか大嫌いや。もう、しらん」

行かんといて、こっちゃん。

行かんといて、こっちゃん。


「こっちゃーーーん。」

はっ!?ゴンッ……いたっ

「イタッ。僕は、こっちゃんじゃないよ。」

そう言って心春が、頭を撫でてる。

白いセーターの端で、俺の口の血を拭った。

「秋帆は?」

「コンビニに行ったよ。」

「そっか。」

「許したよ。」

「えっ?」

「美月のお母さんってすごいね。タクシーの中で、何があったのか灰原に聞いた。」

「そうか、知ったんか」

「お母さんは、許しますって言ってたよ。憎しみからは、何も生まれへんって…。こっちゃんは、笑っててって言ったから私は許しますって。でも、そのかわり私の家族の人生には二度と関わらんといて下さいって。みっくんの人生には、とくにって。言ってたよ」

そう言って、心春が泣いてる。

「僕が、殺ったのに」

「えっ?」

そう言って心春は、俺の手を握ってる。

「自分を汚さんでも、僕が殺ってあげたよ。美月の為に…」

こっちゃんと重なった。

もう、失いたくない。

俺は、心春を抱き締めた。

「そんなんせんでええよ。必要ないよ。大丈夫やから」

おかんは、心春が居たから許したんやと思う。

ガチャ

「秋帆が、帰ってきた。」

心春が、俺から離れた。

「懐中電灯、電気の傘ついてへんから」

「お帰り。」

「ああ、起きたんか?」

「うん。おかん知らん?」

「灰原についてるよ」

「ホンマか、俺のせいやな」

俺は、目を伏せた。

「帰ったら、ちゃんとお母さんと話ししなよ。」

心春が笑って言ってきた。

「飲まへん?ビール買うてきた。」

「飲もうかな」

「その前に、手当てやな」

俺は、秋帆に手を差し出した。

「あんま、無茶すんなや。」

「イッ…。 俺、おかんみたいに許されへん」

「それで、ええやん。」

そう言いながら、包帯を巻いてる。

「アカンやろ、おうたら殺りたなったらどうするん?」

「そん時は、手伝ったるわ」

「えっ?」

「殺りたいんやろ?だったら、しゃーないやん。我慢しても」

「それも、そうだね。」

「いやいや、秋帆も心春もとめる方やないんか?」

「とめる必要ある?」

「ないない、だって我慢するだけしんどいやん」

「なんやそれ、さすがにおかしいやろ」

そう言った俺に、秋帆がビールを渡してきた。

「そういうの我慢してたら、ホンマにやってまうで」

秋帆は、俺の口にチーカマをいれてきた。

「それ、秋帆好きだよね。」

「なんで?うまいやん」

涙がでてきた、秋帆はおとんにも似てるんや。

「チーカマ、嫌いやったか?」

「ううん、好きやで」

「どうして、泣くの?」

「おとんが、好きなやつやから」

そう言って、頑張って笑う。

「じゃあ、俺は、美月のおとんか、ハハハ」

そう言って秋帆が、頭を撫でてくれる。

「二人は、何で俺の事助けにきたん?」

「美月のお母さんが、助けてくれってきたからやで」

「そうなんやね。」

「もっと早くに出会えてたら助けれたね。」

心春が、寂しそうに目を伏せた。

「過去には、戻れんから」

「そやな」

「わかってるよ。」

俺の目から涙がこぼれてくる。

「幸せになってええんやで!」

秋帆が、頭を撫でてきた。

(幸せなってええよ、みっくん)

おとんと重なった。

涙が止まらなかった。

「幸せになろうよ。僕と秋帆が一緒にいるから…。」

「うん。」

「俺思うねんけど、美月の姉ちゃんは美月を守りたかっただけやで!心春は、美月の為に何でもしたいっていつも俺に言うねん。人殺しでも何でも、美月の姉ちゃんも同じやったんちゃうかな?美月を守るためになんでもしたんやで。その結果がこうなってしもたけど…。お姉ちゃんは、後悔してへんと思うで」

「僕が、お姉ちゃんの立場なら絶対後悔はしないよ。」

そう言って笑った二人を見つめてる。涙がいっぱいたまって目の前が滲んでく。

「みっくんの為なら、何も怖くないねんで。」

こっちゃんの声が聞こえた気がした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

過去のやらかしと野営飯

琉斗六
BL
◎あらすじ かつて「指導官ランスロット」は、冒険者見習いだった少年に言った。 「一級になったら、また一緒に冒険しような」 ──その約束を、九年後に本当に果たしに来るやつがいるとは思わなかった。 美形・高スペック・最強格の一級冒険者ユーリイは、かつて教えを受けたランスに執着し、今や完全に「推しのために人生を捧げるモード」突入済み。 それなのに、肝心のランスは四十目前のとほほおっさん。 昔より体力も腰もガタガタで、今は新人指導や野営飯を作る生活に満足していたのに──。 「討伐依頼? サポート指名? 俺、三級なんだが??」 寝床、飯、パンツ、ついでに心まで脱がされる、 執着わんこ攻め × おっさん受けの野営BLファンタジー! ◎その他 この物語は、複数のサイトに投稿されています。

青龍将軍の新婚生活

蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。 武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。 そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。 「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」 幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。 中華風政略結婚ラブコメ。 ※他のサイトにも投稿しています。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...