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珠理と希海の視点
同じ…
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私は、珠理さんの言葉に何故か泣いていた。
「すみません。では、取材をします。」
ボイスレコーダーを机の上に置いた。
「そんな急がなアカン?」
「いえ」
「ほんなら、ゆっくり話そうや!まずは、うちが同じやって話した事から話そうか?」
「はい」
珠理さんは、私を見つめる。
「27歳の時に、同棲しとったんよ。別に結婚とかそんなんやなくてただ同棲しとった。」
「はい」
「29歳の終わりに、まさか妊娠してん!ビックリやろ?避妊してたのに」
「えっ?」
「ちゃんとピルも飲むべきやったわ!あいつのゆうこと信じてん。夜な夜な避妊具、穴開けまくってたらしいわ。悪知恵を友達につけられとったみたいやねん!友達は、彼女にそれやられて妊娠したらしくてな!あいつは、それをうちにやったんや」
「それで、どうなったんですが?」
「勿論、おろすつもりやったよ!望まん妊娠やったから。あいつにゆうたらアカンゆってな!中絶書にサインも書かんってゆわれてな。もう、育っていくし。ホンマに、悪阻とかもあるし、最悪やってん」
「はい」
「赤ちゃんが、自分から生きるのやめてくれたわ」
珠理さんは、私を見つめてそう言った。
「あいつには、命なんやからとか、説教たれられてな!うちの親にもおろすゆうたら、お前は29歳にもなって何をゆうてるんやって怒鳴られてな!誰もうちの気持ちなんかわかってくれんかった。」
その言葉に、私は昔の自分を見ているようだった。
「命、命ってうるさいねんって思った。うちは、ここに命を宿っても嬉しいなんか思わんかった。結局、4カ月でアカンくなってん。それが、めっちゃ嬉しかってん!頭おかしいやろ?」
私は、首を横に振った。
「命がどうやこうやって簡単にゆうけどな!産むんも育てんのもそいつらちゃうで!うちやねんで。宝ちゃんだけは、うちを許してくれた」
「三日月さんですか?」
「うん。たまたま、来てた時におうてな!話したんよ!宝ちゃんにだけ…。ほんなら、珠理さんの気持ちはよくわからないけれど、自分で無理だってわかっていたならそれが答えだと思うから…。私は、誰が何と言おうと許しますってゆってくれてん。」
珠理さんは、そう言って涙を拭ってる。
「むっちゃ嬉しかった。初めて、わかってもらえたんが嬉しかった。そっからは、あいつとはだんだん喧嘩ばっかりなって!手術して、お腹も空っぽになって!せやけど、好きやから一緒におった。別れを決意したんわ!」
珠理さんの目から、ボロボロと涙が流れてきた。
「夜、寝てる時に襲われとったんに気づいた日やった」
「ひどい」
「気づいたうちに、あいつは、どうしてもうちの子供が欲しいって泣きながらゆうた。力任せに、襲われて、うちは狂ったように泣いた。だって、あの気色悪い感触をまた味わうと思っただけで震えがとまらんかった。」
私は、珠理さんの手を握りしめていた。
その気持ちが、私にもわかる。
自分の体を望んでいないものに、支配されていく恐怖と絶望。
「子供を望んでる人と体を取り替えられるんやったら、いくらでもお金払うから交換して欲しいぐらいやわ」
「わかります。」
「同じ人にうちも初めて会ったわ」
珠理さんは、泣きながら笑ってくれる。
「次の日、実家に帰ったんよ。ほんで、その話ししたら当たり前やないかってゆわれたんよ」
「当たり前?」
「そう!子供がアカンなって、また欲しいのは当たり前やって!そんなんを嫌がっとる珠理はおかしいって。あいつは、両親を巻き込んだから、勝手に籍までいれられとった。うちの意見なんかなかった。珠理は、もう結婚しとんやから早く子供を作りなさいって言われた。また、あそこに帰らなアカンと思ったら…。頭が、おかしなりそうやった。それでも、いくとこなかったから、戻るしかなかった。」
珠理さんは、涙を流しながらスマホを取り出した。
「すみません。では、取材をします。」
ボイスレコーダーを机の上に置いた。
「そんな急がなアカン?」
「いえ」
「ほんなら、ゆっくり話そうや!まずは、うちが同じやって話した事から話そうか?」
「はい」
珠理さんは、私を見つめる。
「27歳の時に、同棲しとったんよ。別に結婚とかそんなんやなくてただ同棲しとった。」
「はい」
「29歳の終わりに、まさか妊娠してん!ビックリやろ?避妊してたのに」
「えっ?」
「ちゃんとピルも飲むべきやったわ!あいつのゆうこと信じてん。夜な夜な避妊具、穴開けまくってたらしいわ。悪知恵を友達につけられとったみたいやねん!友達は、彼女にそれやられて妊娠したらしくてな!あいつは、それをうちにやったんや」
「それで、どうなったんですが?」
「勿論、おろすつもりやったよ!望まん妊娠やったから。あいつにゆうたらアカンゆってな!中絶書にサインも書かんってゆわれてな。もう、育っていくし。ホンマに、悪阻とかもあるし、最悪やってん」
「はい」
「赤ちゃんが、自分から生きるのやめてくれたわ」
珠理さんは、私を見つめてそう言った。
「あいつには、命なんやからとか、説教たれられてな!うちの親にもおろすゆうたら、お前は29歳にもなって何をゆうてるんやって怒鳴られてな!誰もうちの気持ちなんかわかってくれんかった。」
その言葉に、私は昔の自分を見ているようだった。
「命、命ってうるさいねんって思った。うちは、ここに命を宿っても嬉しいなんか思わんかった。結局、4カ月でアカンくなってん。それが、めっちゃ嬉しかってん!頭おかしいやろ?」
私は、首を横に振った。
「命がどうやこうやって簡単にゆうけどな!産むんも育てんのもそいつらちゃうで!うちやねんで。宝ちゃんだけは、うちを許してくれた」
「三日月さんですか?」
「うん。たまたま、来てた時におうてな!話したんよ!宝ちゃんにだけ…。ほんなら、珠理さんの気持ちはよくわからないけれど、自分で無理だってわかっていたならそれが答えだと思うから…。私は、誰が何と言おうと許しますってゆってくれてん。」
珠理さんは、そう言って涙を拭ってる。
「むっちゃ嬉しかった。初めて、わかってもらえたんが嬉しかった。そっからは、あいつとはだんだん喧嘩ばっかりなって!手術して、お腹も空っぽになって!せやけど、好きやから一緒におった。別れを決意したんわ!」
珠理さんの目から、ボロボロと涙が流れてきた。
「夜、寝てる時に襲われとったんに気づいた日やった」
「ひどい」
「気づいたうちに、あいつは、どうしてもうちの子供が欲しいって泣きながらゆうた。力任せに、襲われて、うちは狂ったように泣いた。だって、あの気色悪い感触をまた味わうと思っただけで震えがとまらんかった。」
私は、珠理さんの手を握りしめていた。
その気持ちが、私にもわかる。
自分の体を望んでいないものに、支配されていく恐怖と絶望。
「子供を望んでる人と体を取り替えられるんやったら、いくらでもお金払うから交換して欲しいぐらいやわ」
「わかります。」
「同じ人にうちも初めて会ったわ」
珠理さんは、泣きながら笑ってくれる。
「次の日、実家に帰ったんよ。ほんで、その話ししたら当たり前やないかってゆわれたんよ」
「当たり前?」
「そう!子供がアカンなって、また欲しいのは当たり前やって!そんなんを嫌がっとる珠理はおかしいって。あいつは、両親を巻き込んだから、勝手に籍までいれられとった。うちの意見なんかなかった。珠理は、もう結婚しとんやから早く子供を作りなさいって言われた。また、あそこに帰らなアカンと思ったら…。頭が、おかしなりそうやった。それでも、いくとこなかったから、戻るしかなかった。」
珠理さんは、涙を流しながらスマホを取り出した。
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