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努力する

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洋「沙織」

沙織「こないで」

洋「何で逃げるんだよ。」

そういうと沙織は走るのをやめて歩く。

沙織「れん、上手くいったんだね。」

洋「何も聞いてないよ」

沙織「聞いてなくても洋にはわかるでしょ?二人から出てた雰囲気で」

俺は、何も言えずにいた。

沙織「もう、そういう関係になったんだってわかった。同じ気持ちだったんだって…。もう、れんを見るのが辛くなる。」

洋「れんに言ってみろよ!沙織の気持ち、して欲しいこと」

沙織「無理だよ」

洋「無理かどうかは、れんが決める事だ!れんは、出来る限りしてくれると思うよ。沙織の気持ちに答えてくれると思うよ。」

沙織「言っていいのかな?嫌われて友達でいれなくなるんじゃないかな?」

洋「言いに決まってるだろう。そんな事でれんは嫌いになんかならないよ。」

沙織「そうかな。」

洋「もしも、ダメだったら俺がれんを好きな沙織を丸ごと受け止めるから。だから、ちゃんとれんに言いなよ」

沙織「わかった。今から、れんを呼んでほしい。ちゃんと言うから。洋にも聞いててほしい。」

洋「わかった。」

俺は、沙織の為にれんに電話をした。

れんは、すぐにとってくれた。

洋「もしもし、ちょっと下に降りてきてくれないかな?」

れんは、わかったと言って電話を切った。

れんが、玄関から降りてきてくれた。

れん「どうしたの?」

れんの言葉に沙織がいう。

沙織「私、あの頃とかわらずれんが好き。ううん。あの頃以上にれんが好きなの。」

れん「ありがとう。」

沙織「無理なのはわかってる。でも、私れんがほしい。れんに触れたい。れんに触れて欲しい」

そう言われて、れんは固まっている。答えを探しているようだ。

れん「どこまで、出きるかわからないけど…。沙織の気持ちに出来る限り答えてあげたい。どれだけ、辛いかわかるから。」

れんは、そういうと沙織をゆっくり抱き締めた。

沙織「れん。ごめんね。こんな気持ちなくなればいいのに。れんは、拜島さんと付き合ったんでしょ?その先も進んだんでしょ?」

れんは、沙織を抱き締めるのをやめた

れん「そんな事ないよ。してないよ。」

沙織「私と洋には、嘘つかないで。れんと拜島さんを見た時から私達は気づいてたんだよ。」

れん「洋?」

洋「ごめん。俺も気づいてた。」

沙織「だから、私と洋には、嘘つかないで。」

れん「ごめん。沙織と洋が思ってる通りだよ」

沙織「何で謝るの?れんは、10年も好きだったんだよ。そんな人と一緒になれたんだよ。」

沙織は、笑っていう

れん「それは、沙織も洋も同じでしょ。やっぱり、僕だけ」

洋「れんが、幸せになってくれなきゃ、俺も沙織も困る」

沙織「そうだよ。」

れんは、泣いてる。

沙織が、れんの頭を撫でる。

沙織「ゆっくりでも、れんの一番の女友達になれるようにするから」

れんは、黙って沙織を抱き寄せた。

沙織「れんに迷惑かけないようにするから」

そう言った瞬間、れんが

れん「迷惑かけていいよ。僕、沙織の気持ちわかるから。沙織の気持ちにどれだけ答えれるかはわからない。でも、答えてあげたいと思う。」

そう言われた、沙織は

沙織「洋もきて」

と俺を呼んだ。

そして、俺の腰に手を回してきて

沙織「私も洋の気持ちにどれだけ答えれるかはわからないけど、私も答えていくから」

涙が出た。触れたくても、触れられなかった沙織が今自分から俺に触れてくれてる。

れん「洋、よかったね。」

そう言って、れんも俺の肩に手を回した。
しばらく、抱きしめ合った後沙織が

沙織「れんは、拜島さんの所に行って私達の事はいいから」

って、れんから離れた。

洋「行きな。俺らは、まだここにいるから」

れん「ごめん。」

沙織「だから、謝らないでよ。」

そういうと沙織は、れんをくるりと回れ右させて背中を押した。

洋「俺達、コンビニでもいってから戻るから」

沙織「うん、じゃあね」

れん「後でね。」

そういうとれんは、戻っていった。

沙織「洋、コンビニ遠い?」

洋「ちょっと待ってよ」

地図を調べる。

洋「歩いて10分いないかな?」

沙織「じゃあ、行こうか。」

そう言うと沙織は、俺の手を握ってきた。
びっくりする。

沙織「好きになれるかは、わからない。でもね、洋の事好きになれるように努力したい。」

洋「努力でどうにかなるのかな。」

沙織「なるよ。きっと…。好きになるのに努力はいらないって人もいるけど。私は、努力したいの。だって、10年も私を思ってくれてる洋の事好きになりたいでしょ。これは、初めの一歩」

洋「嫌じゃない?」

沙織「大丈夫だよ。」

そう言って笑った。

山瀬亜理砂に似てる沙織の横顔は、とても綺麗だ。

沙織「ありがとう。れんの事。話してよかった。」

洋「あぁ、れんはそんなやつじゃないってわかってたから」

沙織「うん。」

恋人繋ぎじゃないけど、手を繋いで歩く。
それだけで、俺は幸せだった。

好きな人に触れる、ただそれだけがこんなに幸せだなんて。

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