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友達でいる方法なら知ってる

美春の話③

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5年前ー

21歳の私が、実家に遊びに行くのを決めた日…。

「でねー。雄二が寝かせてくれなかったの!猿だよ猿。もう、何回もされて疲れてね。ほら、キスマークいっぱいつけられちゃってね」

「キスマークは、いいけど…。避妊はちゃんとしてる?」

「何よ!みーちゃん冷たいから」

「望まない妊娠をしない為にも、避妊はするべきよ。避妊は、してる?」

「えっ、それは…。嫌われたくないから、雄二、ゴムしたら萎えるし」

「そんな問題じゃないよ!ちゃんとしなくちゃいけないよ」

「なに、その言い方お母さんみたい!やめてよ」

さっこは、そう言って怒った。

「でも、私はさっこの体が心配なのよ」

「そんな風に言う!みーちゃん大嫌い」

「そんな事、言わないでよ」

「そんな事、言うなら友達やめるから」

ドクンって、心臓に刃物が突き刺さったみたいな痛みと衝撃が走った。

「みーちゃん?」

「やめれないってわかってるくせに…。私が、さっこと友達やめれないってわかっててそんな言い方するの?」

涙は流さないでいようって決めていたのに、溢れて溢れて止められなかった。

「みーちゃん、冗談だよ」

言っていい冗談と悪い冗談がある。

これは、悪い冗談。

「そんなに、泣かないでよ!みーちゃんが、私の事大切に思ってくれてるのは知ってるよ!だって、5歳の頃から、みーちゃんは私のHERO(ひーろー)だったから」

HEROって何?

検索したらいいの?

「みーちゃんが、男の子だったら絶対好きになってたよ」

男のだったらって何?

「でも、みーちゃん女の子でしょ?妊娠できないし、アレもないでしょ?私ね、アレ大好きなの」

そう言って、永遠と男性とするのがどんなにいいかを熱弁され続けた。

「みーちゃんは、初めていつしたの?」

「えっ?」

ほとんどフリーズして聞いてなかった。

「まさか、まだなわけないよね?21歳だよ」

「えっ、ああ、17だったかな?遅かったから」

「えー、どんな人だった」

想像したのは、大好きな映画の主人公だった。

「会わせて欲しかった」

「すぐ、別れたから」

「何それ!みーちゃん、ずっと親友だよね」

「うん」

「裏切らないでよ」

「うん」

「みーちゃんがいなかったら、私生きていけないよ」

「うん」

「みーちゃん」

チュッ…

「えっ?」

「友情のキスだよ!今、女子の間で流行ってるの」

「そうなの」

「私も、数人の女子とやったもん。まだ、やりたい?練習するんだって!キスの練習」

「やりたい」

「みーちゃんは、欲しがりだね」

情けない程、気持ち良かった。

惨めな程、愛していた。
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