愛してる。由紀斗&千尋

三愛 紫月 (さんあい しづき)

文字の大きさ
10 / 18

井田さんと二人

しおりを挟む
「晩御飯、何にする?井田さん」

「真白でいいよ。」

「じゃあ、俺も千尋で。で、晩御飯何にする?」

「冷蔵庫見てみる」

「真白さんが、作ってくれるの?」

「これでも、弁当屋さんの店長ですよ」

「そうでしたね」

真白さんは、冷蔵庫を開けた。

「鶏肉あるじゃん。チキンステーキしましょう?」

「いいですね」

真白さんは、手際よく料理を作ってくれた。

「白ワイン飲みません?」

「いいですね」

テーブルにご飯を並べてくれた。

俺は、白ワインを持っていった。

「いただきます」

「どうぞ」

「めちゃくちゃ、うまいです」

俺の言葉に、真白さんは笑った。

「仕事、どうしてクビになったんですか?」

「あっ、辰己先輩にある動画をばら蒔かれまして。その中で、俺が暴力や襲ってるシーンがありましてね。それで、クビです。」

「そうですか、再就職は?」

「決まりません。どうやら、面接行く場所がわかったら動画を送りつけられているようです。」

「うちで、働きませんか?」

「えっ、悪いですよ」

「ちょうど、来週一人辞めるのでよかったら働きませんか?」

「いいのでしょうか?」

「いいですよ。私、店長だから、私で決めれるんですよ。だから、大丈夫です。」

「でも、動画がまたくるかもしれないです。」

「送られてきたら、私が対処しときますから、ね?」

「嫌いなのに、優しいですね。」

俺は、真白さんに笑いかけた。

「梨寿(りじゅ)を助けてくれたお礼だから」

「消えるって話し?」

「うん。付き合う前にね、梨寿(りじゅ)が、子供を欲しがっていてね。友達のsns見て、悲しい顔してね。それで、真白帰るねって言ったんだけど…。フラフラでね。抱き寄せた。消えちゃいそうな顔で泣いた。消えたいって言ったんだよ。子供が出来ない事に押し潰されていた。だから、私は抱き締める事しか出来なかった。何か、うまく話せなくてごめんね」

真白さんは、そう言って涙を拭っていた。

「ううん。言いたい事は、ちゃんと伝わってるから。由紀斗も梨寿(りじゅ)さんも、二人ぼっちの檻の中にいたって言ってたな。」

「やっぱり、そうなんだね。話さなくても、そんな気がしていた。」

「でもさ、今は俺達もその檻に一緒に入ってると思うよ」

「うん」

「まだ、子供に縛られてる所はあると思うんだ。でも、このシェアハウスから前に進んでいけたらいいって思ってるんだけど…。ダメかな?」

「ううん、いいと思うよ。」

「だよな」

俺は、真白さんに笑ってワインを飲んだ。

ここから、みんなで幸せになればいい。

「あのさー。真白さんは、昔から女性が好きだったの?」

「うん、好きだったよ。そっちも?」

「ああ、男が好きだった。でも、スゲー好きだったやつに傷つけられて。辰己先輩に、両方いける体にされた。」

「それで、どっちもいけるのか。酷い事言ってごめん。」

「全然、いいよ。俺が、両方いけるのは事実だから」

「でも、その人酷いね。」

「まあ、俺も断りきれなかったからね。いつ、動画晒されるかわかんなくてさ。」

「今は、縁切れたの?」

「切れたよ。会社辞めたから、関係ないしね」

「それなら、よかったね」

「ありがとう」

俺は、ワインを飲む。

「どうぞ」

真白さんについであげる。

「千尋さんはさ、梨寿(りじゅ)の事、正直どう思ってる?」

「正直?」

「うん。梨寿(りじゅ)は、足悪いの気にしてるからさ」

「足かぁー。気にならないな。梨寿(りじゅ)さんは、信じられないぐらい魅力的だよ。足なんか気にならないくらい。」

「でしょ?私も、面接に来た時気にならなかったもん。なんて言っても、顔面偏差値高いよね」

「確かに、そうかも。それだけじゃなくて、漂う雰囲気もすごいよね」

「うん。だから、仕事場ですごい気に入られてる。」

そう言いながら、真白さんはニコニコ笑う。

「好きなんだね、梨寿(りじゅ)さんの事が本当に」

「好きだよ。ううん、そんな言葉じゃ足りないよ」

「わかる、俺もそうだから」

「今日は、嫌な思いして帰ってくるんだろうね」

「だろうな…」

「優しくしてあげたい」

「わかる」

俺と真白さんは、そう言いながらワインを飲んでいた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?

綾波絢斗
BL
東雲桜花大学附属第一高等学園の三年生の高瀬陸(たかせりく)と一ノ瀬湊(いちのせみなと)は幼稚舎の頃からの幼馴染。 湊は陸にひそかに想いを寄せているけれど、陸はいつも違う人を見ている。 そして、陸は相手が自分に好意を寄せると途端に興味を失う。 その性格を知っている僕は自分の想いを秘めたまま陸の傍にいようとするが、陸が恋している姿を見ていることに耐えられなく陸から離れる決意をした。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

処理中です...