嘘つきの怪人は記憶泥棒(初恋)の始まり

書くこと大好きな水銀党員

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嘘つきは泥棒(初恋)の始まり①

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 早朝、下らないテレビの昨日の野球の試合結果しか本当のことを言わないニュースの音で私は起きた。

「ふぁあああああん」

 大きい大きいアクビと共に背伸びし、僕の体を起こす。そして、俺は自分が男の子の姿をしている事に呆れ慌てて姿を思い出す。

 目立ちたくはないが、ヒーローが好きな銀色にいや、癪なので今日は茶髪にしよう。「染めた」と言われれば記憶を喰えばいい。睫毛は長く、マスカラなんかいらない。二重にし、胸は少し大きくする。大きすぎると目立って記憶を喰う奴が増えてしまう。

「よし、出来た」

 鏡で姿を確かめて私は笑顔を作る。毎日毎日勉強して頑張った。特に割り箸トレーニングを頑張った。弁当の割り箸をもらって買わずにコスパよく勉強した。

「よし、かわいい……と思う」

 僕、俺……私そんなフワッとした価値観の自分は人間ではない。具体的には人間の敵となる怪人である。この世界には生まれる怪人は人間の変異と突発したダークマターの集合体と人の感情で生まれ落ちる事がある。

 そう私は正と負の混ざった感情で生まれ落ちた。そして、怪人として人の生活に溶け込める上級怪人としてヒーローと戦っている。しかし、私の能力で戦ったことはない。どちらかと言えば私は能力の有能さで諜報役を任されている。そして、幹部でもある。

「よし、着替えて迎えに行ってやろうじゃない。ヒーロー」

 私はあるエース級ヒーローを調べていた。「その親友になることが出来た」と思っている。中学3年の時に転校生として入学、そのまま色んな事があって高校生である。そんな私の日課は彼を呼びに行くことだ。ご飯は食べず、そのまま家を出る。数分歩いて到着する一軒家。そこがヒーローのお家である。

 前回の引っ越し前の家は組織には報告済み。なお、組織はここまで来れなかった模様。そう、全滅である。その強いヒーローの実名は真崎光である。いつものように電話をして「ドタドタ」とした音で彼は玄関の戸をあける。一人暮らしの彼は非常にだらしない制服姿である。

「マサキくん。全く、今日もお寝坊?」

「ごめん、ゲームが忙しくて……」

「ゲーム? 昨日、アカウントに名前なかったよ?」

「あ、ああ。オフラインで」

「そうなんだ」

 違う、彼は昨日戦っている。学生のヒーローなため夜中で戦う事が決められている。故に寝不足も多いし、ゲームなどするにも進行が遅く、私に取り繕うのに苦労していた。

 私につく嘘はつたなく、簡単にバレる物だ。いっその事、全てを話せば楽になるのだろうに。愚かな親友である。

「じゃぁ、速く行って昼寝……あ」

「ん……あ」

 私たちは気が付く。電車が昨日の怪人とも戦闘事故で止まっている事を。その結果、私は電話を取り出して通話する。マサキも同じように電話をする。

「もしもし、タクシー回して貰いたいんですけど」

「申し訳ありません、今、立て込んでまして……」

「ああ、おい。アタゴ……その先生に聞いたら特別休暇。土曜日に振り替えだって」

「そう、よかったじゃない」

「で、ズカズカ家にあがるなよ」

「おじゃまします、ようこそ」

「ちょっと待て!! へ、部屋片付けるから!!」

「なんで?」

 私を止める彼はきっとスーツなどが転がっているのだろう。

「それは……え、えっと」

「テッシュと本は片付けなぁ~じゃぁリビングいるから、昼まで寝るといいよ。私はご飯作るから」

「………」

 ヒーローは子供なのに一人暮らしで大変なのだ。だからこそ、私はお手伝いをして彼の信頼を手に入れようとする。

「なぁ、えっと……名前なんだっけ?」

「まぁーた忘れた。ツルミですよ」

「ツルミ、ありがとうな」

「あの嘘ですが? ヒムです。そういえば箪笥に一週間分のシャツ用意しましたよね?」

「……え? ああ、ああ……ヒム、えっとごめん」

 説教、しないといけないのかもしれない。不潔です。





「最近は怪人の被害も静まり……交通網の復旧が進んでます」

 テレビを無駄に流すマサキに私は辟易する。私は嘘と本当を知っているため、嘘ばかりのテレビは非常に面白くない。だけど彼は情報をテレビに頼っている。

「スマホで有識者のがしっかり解説してる。テレビは税金治めないといけないはムカつく」

「ヒム、テレビは案外しっかり怪人の被害は出すよ。それ以外は余計だけどね。それにただ流すだけでいいもんだよ」

「反ヒーロー派ごり押し、検討違いの政権批判を聞いてて不快になる。私は嫌い」

「俺も嫌い」

 コーヒーを飲みながら彼はソファーに座る。私はそんな彼の膝に頭を乗せた。驚いてコーヒーを私にこぼし、私は顔を押さえる。火傷したが、「火傷した記憶」を食べて無傷を装う。

「ごめん!? 火傷した!? タオル持ってくる!!」

 濡れたタオルを彼は持って私の顔を拭く。涙目でただひとつ泣いて困らせる。

「あ、あ、えっと……ごめん」

 ヒーローを困らせる事に私は愉悦を感じながら嘘泣きを治めた。不安そうな彼に私は笑顔を見せる。

「私こそ……ごめん。いきなりで……」

「あ、ああ。そうだな」

 ヒーローはまだ若く思春期だ。だからこそ慌てるだろうと思った。痛みさえ我慢すれば足元を見れる。

「じゃぁ……テレビ消して、You◯ube見よう」

「わかった。わかった……」

 ヒーローはまだ本当に若く、そして……甘い人間だった。そして私が初めて助けた人である。





 夕方、私は夕食を作り置きし、そしてマサキの家を出る。送り迎えてくれる彼に私はお礼を言って自分の借りているマンションの自室に入った。

 部屋は女性らしい装飾に彩られており、そのまま一人の女子高生が住んでいるような風景である。その中心で私はある連絡先の電話番号を入れる。

「もしもし、聞こえますでしょうか?」

「ああ、聞こえる。君にメールした内容は確認したかね?」

「はい、メールの人物たちの『記憶は食べました』」

 私はメールを確認しながら、一つ一つの記憶、記録を食べてこの世から消し去る。それは依頼であり、組織に膨大な活動資金を生む。

「ありがとう、ヒム。そちらのヒーローはどうだい?」

「いつものように間抜けです。総統」

 私は彼の家で知り得た情報を流す。探った痕跡記録と記憶は食べてあり、彼は認識できない。

「ふむ、お前は会議に出ないのか?」

「リモートでよろしくないですか?」

「リモート裏で勝手に何かをして貰っては困る。食うなよ」

「はい、わかりました。顔を出します」

 しぶしぶ、私は予定を入れて連絡を終える。そして今度はアプリを起動、マサキにメッセージを飛ばし、通話部屋に入った。パジャマに着替えてお気に入りの椅子に腰かける。

「なに? ヒム」

「親の戯言に辟易してるから、声が聞きたくて……通話大丈夫?」

「いいよ、そのままゲームする?」

「うーん、どうしようかな?」

「新作ゲームの並走しよう」

「どうせ私が先にクリアするんでしょ」

「まぁ、いいじゃん」

「わかった。買ってあげる」

「はぁ、女に奢ってもらってばっかりは……」

「バイト代出たからね」

 ギフトで新作のゲームを送り、私は愉悦を感じる。「良いことをした」と怪人を隠し通すのだった。








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