ねぇ、聞いて

書くこと大好きな水銀党員

文字の大きさ
1 / 1

ねぇ、聞いて

しおりを挟む

 ねぇ、私の話を聞いてほしい。私はこの店が大好きだ。何処にでもあるチェーン店のこの店が大好きだ。


 理由は変わらない珈琲の味と談笑と静寂が生きるお店。たまたま入った時、私は確か……そう。窓際の席に座ったのだ。窓際の席にコンセントがあって便利だから。


 そこで……私は変わった人に出会ったの覚えている。休日のその日は私は暇で人を観察していたの。すると私の隣の人はノートパソコンを持ってカチカチとこぎみよくキーボードを叩いていたね。


 時に止まって珈琲を含み。時に腕を組んで一心に仕事に打ち込んでいたと思う。まぁ、最初は休日でも同じように仕事をするサラリーマンかなと思ったよ。しかし、私服だし……と当時は思った。まぁ、そのときはなにも思わなかった。


 ただ暇を潰して……そして……ただただ。私は暇をもて余したね。だけど次の週も次の週も全く同じ席にその変わり者は座っていた。時たま仕事の電話で居なくなるけど。休日には必ず窓際の席だった。


 私はね。観察が好きだったから……色んな席で。時に時間をずらして観察してた。


 時間はだいたい11時までに来て、無料の朝食とたっぷりのカフェオレを頼んでいた。ミルクコーヒーやコーヒーのままだったりとその日その日の気分で選んでた。


 だけど、無料の朝食には小豆ジャムを選んでいたので甘い物がすきなのかなと思ったね。


 帰りはそう……2時間から3時間ぐらいで帰ってた。車なのか駐車券をレジで見せていたから無料時間内で必ず帰ってた。


 でっ毎回コーヒーは温くなって、そしてパソコンで文字を打ち込んでたね。席を変えて遠くから見てたけど読めなかった。でも、小説を書いてることだけはわかった。


 タイトルだけが大きく書かれていて……それだけが見えた。いつもUSBにデータを保存してたね。


 でっそんなことするから。USB無くすんだよね。お尻のポケットに入れるから席に残ってしまって。あの癖は長く残っていて私は不安ですよ。


 そんな癖だから、席に残ったUSBを私は見つけてそのまま会計を済ましたその人を追いました。


 最初、声をかけるのは勇気が必要だった。声をかけて会計のあの優しい声で驚かれ感謝してくれました。まぁその日はそれだけだったけど。非常にその日は暑かったです。


 連絡先とか、そんな事考えず。ただ……声をかけれた。それだけでいっぱいいっぱいだった。


 それから2週間だけお店に顔を出さなかった。ちょっと恥ずかしかったからね。結構、私はシャイだったみたい。でも、私が落ち着いたその日。勇気を出して顔を出したんです。すると……居ましたね同じ席で。


 同じ席で窓際の席で変わらず。いつもと変わらず。私は勇気出して隣の席に座ったんです。心臓の音を殺して。


 そしたら……どうしたと思います? 声をかけてくれたんです。笑顔で『この前はありがとうございました』っって。私もそのままひきつった顔だったと思う。どういたしましてと言って……色々と話を聞きました。


 小説を書いていること。お仕事のお話……お仕事は営業件現場と言っていたからなるほどと思いました。喋りが丁寧だった。まぁ~営業スマイルとか営業口調だったと言えばそうだけど。それのお陰で……ゆっくり落ち着ける話が出来たと思う。


 連絡先聞いたのもその日で……まぁ、次の日から色んな話を聞いた。結構喋るのが好きなので……ね。仲良くなるのも早かった。


 そうして1ヶ月。お店をデートの待ち合わせ場所にして。小説書くのを邪魔しながら時が過ぎた。家も近くて便利だったからね。車持ってるから凄く便利で遠くにも買い物行けて不思議と関わりが深くなっていったね。


 そして……そう。付き合いだした。気付いたら私。この店に来ることがなくなちゃった。本当に久しぶり。


 家でコーヒー淹れてくれるもんね。こだわりがあるのかわざわざ珈琲専門店に行って買ってくる。そして……いつもと変わらずミルクを混ぜたりと色んな飲み方をする。


 そうそう、実は珈琲飲めなかったんだよ。最初は紅茶頼んでた。いつしか同じもの飲んでる。でも、ご飯の好みは違うね。


 ふふ、窓際の席に何故しないかだって?


 正面で私の想い出を聞いてほしいから。小説書くの邪魔してごめんね。


 変わり者の誰かさん。



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。

いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。 「僕には想い合う相手いる!」 初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。 小説家になろうさまにも登録しています。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども

神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」 と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。 大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。 文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

処理中です...