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第24話 チョコメイナアイス
しおりを挟む事前準備として、チョコレートを刻んでおく。
チョコレートを刻む独特の音がキッチンに響く。
刻めたら、水と砂糖を鍋に入れて火にかけ、砂糖を溶かしていく。
砂糖が完全に溶けたら、メイナの葉を一枚一枚入れ、粗熱を取る。
粗熱を取っている間にボウルに卵と砂糖を入れ、もったりするまでよく混ぜる。
よく混ぜて、よく混ぜて……。
……うん、もったり泡だて器にくっつくようになってきた。
そしたらメイナの葉が浸っている鍋に生クリームと牛乳を加えて、少しずつ混ぜる。
さらに卵と砂糖を混ぜたものも加え、弱火で加熱。
とろみがつくまで混ぜたら、ザルで濾して私の魔法で冷やす。
「…………」
私が手をかざして魔法を使っていたら、後ろからじーっとした視線を感じた。
ゆっくり振り向くと、ユリクが椅子に座り、頬杖をついて私を見ている。
そんなにじろじろ見られたら、作れるものも作れないんだけど……。
私がユリクからそっと目を逸らしても、じーっと視線を感じて仕方ない。
しかもユリクの視線は、私というより、今作っているスイーツに向けられていて……。
「食べたいの?」
「……」
私が聞くと、ユリクは無言で尻尾をぱたぱたと振った。
食べたいのね……。
「テノくんにあげて、余ったらね。余ったらだからね!」
「うん」
いつも「ああ」と返事するのに、「うん」とあざとく返事してくるのはわざとなのだろうか……。
でもユリクの表情を見る限り天然であざとく言っているようにしか見えない。
天然、おそるべし。
本当に余ったらじゃないとあげないんだから!
私は魔法で少しだけ冷やされ、もったりとした生地に事前準備のときに刻んだチョコレートを入れた。
チョコレートを入れたら、今度はもっと魔力をこめて冷やす。
テノくんが治りますように……と、祈りをこめて。
冷やしながらときどき混ぜて、空気を含ませる。
チョコレートも混ざって、固くなりはじめたら……。
「できた!」
チョコミントアイスもとい、チョコメイナアイスの完成だ!
私は早速アイスをスプーンで掬って器に盛り付ける。
見栄えが良いように丸く盛って……頂点にメイナの葉を飾れば……。
「うん! 上出来上出来!」
私は階段を駆け上がって、サナさんとテノくんがいるユリクの部屋に入った。
椅子に座ってテノくんを見ていたサナさんが、バッと振り返る。
「できたんですか!?」
「はい。できましたよ」
「これが……?」
私がチョコメイナアイスをサナさんに差し出すと、サナさんは不思議そうな目でアイスを見つめた。
本当にこれで治るの? とでも言いたそうな目だ。
確かに見た目は地味だし、これを食べて治るかなんて私もわからない。
でも、私にできることは全てやったはずだ。
「メイナの葉を浸した液体に、刻んだチョコレートを加えて混ぜてできたアイスです。テノくんに食べさせてあげてください」
「え、ええ……。テノ、食べられる?」
サナさんはアイスをスプーンで一口掬ってテノくんの口元に持っていく。
テノくんは朦朧とした意識のなか、小さく口を開けてぱくっと食べた。
……この光景を見て、少し懐かしいな、と私は思った。
テノくんほど重症ではなかったが、私も五歳くらいの頃にひどい高熱を出してずっとベッドで寝ていたときがあった。
お医者さまにも診てもらったけど、原因が不明でわからないと言われ、最終的に治癒魔術師に頼って治癒魔法でなんとかしてもらった。
治癒魔法を受けてもらうまで、頭がぼうっとして何も考えられなくて、ご飯も食べられなかった。
ただ寝ているだけで、起き上がることもできず、トイレに行くこともふらふらで難しかった。
殿下もお見舞いに来てくれたけどどうしたらいいかわからずずっと部屋をうろうろするだけで何もしてくれなかったが、お母様は違った。
——大丈夫? ずっと一緒にいてあげるからね
私の手をぎゅっと握って、優しく頭を撫でてくれた。
そのときのお母様の手がひんやりしていて気持ちよくて、そのまま眠ってしまったのを覚えている。
前世のお母さんも、熱を出したとき優しくしてくれたなぁ。
テノくんに食べさせるサナさんを見て、私もこうやってベッドで少しだけ起き上がってうどんなりアイスなり食べさせてもらっていたことを思い返す。
看病というものはとても大変だ。
自分のことをしながら、他人のことも気にかけなくてはならない。
そうやって看病しながらも、もう助けを求める場所が私の店しかなくて、サナさんが焦ってドアを叩き、早く治してくれとせがむのも、少し気持ちがわかった気がした。
……でも良い思いはしなかったから、後でちゃんと気をつけてくださいって言っておくけどね。
「……美味しい」
「テノ!?」
サナさんからアイスを食べて行くうちに、テノくんの瞳は徐々に光を取り戻し、ついに喋られるくらいに意識が復活した。
「テノ……どう? 気分は」
「うーん、まだふらふらして辛いけど、でもさっきよりだいぶ良くなったよ」
「うぅ……テノ……」
サナさんはぼろぼろと涙を流す。
テノくんはサナさんの手から器を取って、自分でぱくぱく食べていた。
「すごく美味しい。これ、おかわりあるの?」
「ありますよ……!」
テノくんはさっきより明らかに回復している。
声も出せるし、意識もはっきりして、食欲も出てきているのだ。
……もしかしたら完治するかもしれない。
私はテノくんから器を渡してもらい、急いで一階に降りてアイスを取りに行き、またテノくんのところへ戻った。
「はい!」
「……ありがとう」
テノくんはぱくぱくとアイスを頬張る。
時々冷たいのか「んー!」と頬を押さえていた。
その姿も、アイスを食べてなかったときとは信じられないくらいだ。
「ありがとうございます、カナメさん! ありがとうございます!」
サナさんは私に何度も頭を下げてお礼を言っていた。
その瞳は涙で腫れているが、顔には笑顔が浮かんでいた。
「……あの、一応、村のお医者さんに診てもらってくださいね」
「はい、そうします!」
「それと、まだ言いたいことが」
私が真剣な顔になると、サナさんは「……?」と首を傾げた。
「また同じことが起きないように、今度から森の中には入るなとちゃんと躾けておくべきです。今日治ったのは奇跡です。もし森の中に入ってしまっても、絶対に奥深くには入らないことと、植物には触れないこと、と言っておいた方がいいと思います」
「……!」
「それから、お気持ちはわかりますが次からはドアを乱暴に叩くのをやめてください。もしドアが壊れてしまったら、貴方に弁償してもらうところでした。私の大事な店のドアを乱暴に扱わないでください。……最後に、私は医者ではありません。治療しているために店を開いたわけではないので。今回のような件は、今後控えていだだけますか?」
サナさんは少し俯いて黙ったあと、「そうですよね……」と頷いた。
「森は危険なことはわかっていたのですが……。これから、ちゃんと言っておきます。なるべく、森の近くには二人で行かないようにします。ドアも乱暴に叩いてしまって……ごめんなさい。あのときは焦ってしまっていました。本当に申し訳ないです。それに、ここはカフェだというのに、カナメさんをなんでも治せるお医者様や治癒魔術師のように決めつけていました。傲慢な態度を取ってしまって、本当にごめんなさい。今後は絶対にこういうことを致しません」
サナさんは私の言葉を真摯に受けとめ、私に深く頭を下げた。
「うん、反省してるみたいだね」
「本当はもっとおしおきしたいところだけどね」
「しかたない、ゆるす」
精霊たちもふわふわ飛んでサナさんの頭を見ながら、小さな短い腕を組んでうんうんと頷いていた。
テノくんの方を振りむくと、テノくんが持っている器は空っぽで、少しだけ残っている溶けたアイスの液体を何度もスプーンで掬って口に運んでいた。
その顔は血色も良くなっていて、見るからに健康な男の子に戻っていた。
サナさんは私に頭を下げたあと、テノくんに振り返る。
「テノ、歩ける?」
「うん!」
テノくんはサナさんが差し伸べた手を取ることなく、自力でベッドから降り、なんのふらつきもなくサナさんの隣まで歩いた。
その姿を見たサナさんは、「本当に、本当に良かった……!」と目をハンカチで押さえていた。
二人を先導して階段を降り、玄関まで見送る。
サナさんは最後に私に深く頭を下げた。
「本当にありがとうございました。このご恩は一生忘れません。また、テノと一緒に店に来ます。今度は、普通にスイーツを食べに」
にこっと微笑むサナさん。
ユリクと一緒に玄関から見えなくなるまで見送った。
テノくんも、時々後ろを振り返って私たちに手を振ってくれた。
姿が見えなくなったあと、私はぽつりと呟く。
「私、やばくない……?」
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いや、正確に言えば医師に診てもらってないから完治させたかはわからないけど。
少なくとも、毒をほとんど身体から取り除いたことは確実だ。
デューサの毒なんて、治せる人などいない。
現にサナさんが医師に頼んでも断られ、王宮魔術師も治せないと言われたものなのだ。
最近、いや、私が生きてきた中で猛毒を治せた人間の話など聞いたことがない。
「どうしよう……」
私は自分でもわからない強力な力に、戸惑いつつ、恐れと恐怖……畏怖のような感情も湧きだっていた。
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