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第53話 ご相談ですか?
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月曜日のロト6の1等当選が分かってから3日経った今日、朝から僕は緊張していた。僕は今日、ついに銀行へ高額当選の受け取りに行くのである。小市民であり、お財布の中身も1万円を超える事がほとんど無いくらいであるそんな僕が、宝くじの高額当選の換金に行くのです。
ちなみに、月曜日の夜にイチャイチャしてテーブルの上に置きっぱなしだった当選券は、お義母さんが大事にしまってくれていました。翌朝に顔合わせした時に恥ずかしかったです……。
とりあえず今日の予定は大学が終わってから銀行へ行きますが、道中で誰かに襲われたらどうしようとか考えながら朝食を食べているのだった。ちなみに、今日の運勢はこんな感じです。
【中野薫】
※今日の運勢※
疑心暗鬼に陥りやすい日です。
つまり、今日は全ての人が敵に見えてしまってもしょうがないのです。きっと僕の性格上、今日じゃない日を選んだところで疑心暗鬼になってビクビクしていると思います。よし、出来るだけ考えないようにしよう。
「どうしたんだい、やけにソワソワしているようだけど」
「え? いや、大丈夫ですいつも通りです!」
「……先輩、今日はいつにも増して挙動不審ですよ」
「そうね~、目がキョロキョロしてるわ」
どうやら僕から滲み出る小市民振りは、ちょっとやそっとでは誤魔化せるものでは無かったようです。
「大丈夫です気にしないで下さい。それより今日の占いでもどうですか?」
「ああ、お願いしようかな」
「私もお願いね~」
さて、恒例となった朝の鑑定ですが、葉月ちゃんとお義母さんは特に気にするような内容じゃなかったけど、お義父さんの方はちょっと注意した方が良い内容でした。
【黒川和希】
※今日の運勢※
今日は電車に乗るのは止めましょう。
「うーん……」
「ど、どうだったんだ?」
僕はお義父さんの手を握りながら唸ってしまった。この結果はどういう意味なのだろうかと。楽観的に見ると、電車が遅れるから乗らない方が良いという意味なのかもしれない。ただ悲観的に見ると、お義父さん自身が何かしら事故に巻き込まれるかもしれないという意味にも見える。僕を含めて家族全員の結果に不幸な内容が無かったから大丈夫だと思うけど、どう伝えて良いものか……。
「えっと、お義父さんの今日の予定で電車に乗りますか?」
「ああ、今日は大事なお客さんに会いに行くんだ。遅刻の出来ない大切な予定なんだ」
どうやら電車に乗るのは確定なようだ。でも電車じゃなくて車で行けたらそっちにして貰った方が安全だよね。
「占った結果、電車に乗ると不幸になりそうな感じです。車とか別の移動手段に変更して貰った方が安心だと思います……」
「予定を変更すれば車でも間に合うが、午前中から移動しないと間に合わないな。電車じゃダメかね?」
「お父さん車にした方が良いですよ。先輩の占いは本当に当たりますから」
「そうよ~。パパも信じて車にしましょう?」
お義母さんは今までの占いでお買い得情報とか生活に役立つ結果が出ていたので信じてくれていたようです。でもお義父さんは出張で朝に居ない事が多いため、余り占いをしていなかったのだ。
「もし電車が止まってしまったら大事な打ち合わせに間に合わない可能性があります。今回は僕を信じて貰えませんか?」
「う~む……よし、予定を変更して車で行こう。すぐに出て準備する」
「ありがとうございます!」
「良かったですね先輩」
「これでパパも薫くんの占いの凄さが分かるわね~」
どうやらお義母さんも少しだけ信者になってきたようです。信者が増えるとレベルアップするかな?
◇
お義父さんが電車に乗らないで移動する事が決まって一安心していたけど、今日の僕は狙われているかもしれないのだった。2億円は自宅に置いてきたが、僕が誘拐されて人質になるかもしれない。誰か敵で誰が味方か分かりません!
「おい薫、いつにも増して挙動不審だな」
「不審者みたいですわ」
いつものように朝の集会を行っていたが、僕から滲み出る小市民振りを隠しきる事は出来なかったらしく、知らぬ間にビクビクしていたようです。さすがに宝くじが当たった事は伝えられません。WEBで色々と調べたところ、下手に高額当選の事を知られてしまうと、仲の良い友人が豹変したとか、聞いたことも無い親戚が押しかけて来るらしいです。二人は大丈夫だと思うけど、無理に言う必要もないからね! あ、そういえばお義父さんにも伝えてなかったかもしれない。まあお義母さんから伝わってるかもしれないし、無理に言わないで良いよね!
「そんなことないよ? いつも通りだよ?」
「怪しいな」
「もしかして浮気を隠しているんじゃないかしら、葉月ちゃんに報告しますわよ」
「そんな事ありませんー! 大学が終わったら葉月ちゃんのお母さんとお出掛けするだけです~」
「ああ、それでソワソワしてたのか」
「浮気ですわ!」
どうやら僕が夕方にお義母さんとデートするのでソワソワしてるように見られてたようです。お義母さんとお出掛けも楽しみだから否定出来ないけど、浮気じゃありません。
実は一人で銀行へ行くのにビクビクしていたら、お義母さんが暇してるからと言って、一緒に来てくれることになったのだ。
「そんな事言ってると占いやらないよ?」
「困りますわ!?」
ふふ……玲子さんは信者だから占いをチラつかせれば簡単なのでした。
「よし、じゃあ占うよ~」
修二と玲子さんそれぞれを普通に鑑定しました。決していやらしい事は考えてませんよ?
【千葉修二】
※今日の運勢※
突然の来客に驚くでしょう! 今日はエッチ禁止ね。
【天王寺玲子】
※今日の運勢※
突然の来客に驚くでしょう! 今日はエッチ禁止ね。
「……うーむ」
また唸ってしまった。この結果はどう伝えて良いのだろうか。確か前も似たような結果があったような気がする。あの時は確か『急な来客があるでしょう。お掃除しましょう』とかこんな感じだったと思う。僕としては占いの結果をそのまま伝えたいけど、そのまま伝えたらセクハラだって怒られるんだよね、きっと。でもエッチしてる最中に突然の来客で大変な事になったらまずいし、怒られるの覚悟して伝えるか。
「えっと、こんな結果でした……」
「またあいつが来るのか……」
「薫さん、セクハラですわ!!」
僕は玲子さんから何度セクハラと言われれば良いのだろうか?
「セクハラじゃありません~。そう言えば前も似たような結果だったよね。その時は誰が来たの?」
「俺の妹が来たんだ」
「じゃあまた妹さんかもね~」
修二に妹がいるなんて知らなかった。もしかしたらそのうち会うことになるかもしれない。
そうして今日は一日、誰かに狙われているんじゃないかとビクビクしながら過ごすのだった。
◇◇
大学からビクビクしながら家に帰り、お義母さんと一緒に都内の銀行へ来ていた。2億円は僕のバッグに入っているけど、いつどこで襲撃されるか分からず緊張しています。緊張しているのを察してくれたのか、お義母さんが腕を組んでくれました。お義母さんの柔らかい感触と甘い匂いに包まれ、ビクビクが少し収まりました。
そんな感じで銀行へ入り、受付で宝くじの高額当選をした事を伝えたところ、応接室のような部屋へ案内された。担当者は40代くらいの男性でした。僕は震える手で当選券を渡し、男性が確認するまで不安だった。
「確認が取れました。ご当選おめでとうございます」
その言葉を聞いた瞬間、僕はホッとしてしまった。外れている事は無いだろうと思っていたが、銀行の人に確認して貰えるまで不安だったのだ。
そこからの作業は事務的で、身分証明書の確認と当選金の受け渡し方法の確認だった。現金で貰っても殺されて奪われそうなので、もちろん口座振込一択です。口座が無いので新規で作って貰いました。
「ご説明は以上です。こちらのパンフレットを良くお読みください。過去の当選者の体験談もありますので必ず読んでください。奥様も不用意に言わないように、ご注意下さい」
「は~い、分かりました♪」
どうやらお義母さんは奥様と言われたのが嬉しかったようで、ご機嫌です。綺麗なお姉さんにしか見えないので、僕の付き添いで来てるから家族と見られたのだろう。当選受け取りに彼女は連れて来ないよね?
「じゃあ帰りましょうか、あなた♪」
お義母さんが僕の腕にそっと抱き着き、銀行を後にする。さすがに恥ずかしかったが、お義母さんの気分を損ねる訳にはいかないのです。
銀行から自宅へ帰るときも腕を組んだままご機嫌な状態です。二人きりな今がチャンスだな。聞いておきたい事があったのだ。
「あの、お義母さんにご相談があるのですが……」
「あら~、何かしら? ちょっとそこの喫茶店に行きましょうか」
僕の不安げな顔を見て察知してくれたのか、喫茶店に入りました。良くあるチェーン店の安いお店です。
二人席に座り、向かい合ってお話です。少し葉月ちゃんとの初デートの時の状況と似てるなって思ってしまった。
「それで、薫くんの相談って何かしら?」
適当にホットコーヒーと紅茶を頼み、一息ついたところでお義母さんが聞いてくれた。
ここ数日考えていたけれど、僕がずっと求めていたお金が手に入ったので、次の段階へ進もうと思ったのだ。
「葉月ちゃんに婚約指輪を買ってあげたいのですが、僕が買ってサプライズで渡すのと、一緒に買いに行くのとどっちが良いでしょうか?」
僕はヘタレなので、お義母さんに相談してしまった。クリスマスにサプライズで婚約指輪をプレゼントしようと思った事もある。だけど、指のサイズも分からないし、どんな指輪が良いのかなんてサッパリ分からないのである。自慢じゃないが今まで指輪なんて買ったこともなければ付けた事もない。子供の頃に輪になったスナック菓子を指に嵌めて遊んだくらいなのである。あれ美味しいよね!
「う~ん」
どうやらお義母さんも悩んでいるようだ。もしサプライズが良いとなった場合、お義母さんに指のサイズを調べて貰おうかな。
「やっぱり一緒に買いに行くのが良いと思うわ。サプライズで渡すのも素敵だけど、それをするのはプロポーズとセットね。薫くんの場合、もう婚約してるんだから無理にサプライズで渡す必要ないと思うわ~」
「なるほど、確かに僕の場合はサプライズじゃなくても良さそうですね。正直なところ、デザインとかサッパリ分からないです……。あの、参考までにお義母さんの時はどうだったんですか?」
ちょっと気になったので聞いてしまった。お義父さんはどうだったのだろうか?
「うふふ……私の時はサプライズでプロポーズされたわ。すごく感動しちゃったの!」
「あれ、じゃあサプライズの方が良い気がしてきました」
「でもね、指輪のサイズが合って無くて交換しに行ったのよ~。それでお店に行ったら私の好きなデザインを見つけちゃって、結局違うのにして貰っちゃったの。懐かしいわ~」
「……なるほど」
やっぱり初プロポーズに指輪とセットは効果的だけど、必ずしも正しいとは言い切れないということか。
「ありがとうございます。今度葉月ちゃんと買いに行ってきます!」
「いいわね~。もし困った事があったら相談してね」
僕は笑顔で頷き、お義母さんの優しさに救われたのだった。
◇◇◇
夕飯も終わり、寝室で葉月ちゃんに銀行で聞いた事を伝えた。葉月ちゃんから言いふらす事もないと思うので大丈夫だろう。そしてここからが本題だ。勇気を出して葉月ちゃんに提案してみようと思う。お義母さんのアドバイスを信じて……。
「葉月ちゃんに大事なお知らせがあります」
「……なんですか?」
新しく届いたソファーに並んで座りリラックスしていたところ、僕が真剣な顔をして言い出したからだろうか、葉月ちゃんが少し不安そうな表情になってしまった。これはまずい!
「えっと、前々から考えていたんだけど、婚約指輪を葉月ちゃんに贈ろうと考えていました。けど、僕はヘタレなので一緒に買いに行ってもらえませんか?」
「……」
あれ、葉月ちゃんが口を開けて放心してしまった。やっぱりサプライズが正解だったか!? やっぱり僕はヘタレなようだ……。
「ご、ごめん。やっぱりサプライズが良かったよね。今のは聞かなかった事……」
言い終わる直前、葉月ちゃんが勢い良く抱き着いて来て、僕はソファーに倒れてしまった。僕の胸に当たる柔らかい感触にドキドキするが、目の前にある葉月ちゃんの目に涙が浮かんでいてそれどころでは無かったのだった。
「嬉しいです。先輩大好きです。愛してます」
葉月ちゃんの熱い告白を聞いた途端、僕の口も情熱的なキスで迎えられてしまった。いつも以上に情熱的なキスに、僕は愛を感じた。
「……んぅ……一緒に買いに行きましょう。ペアリングにしましょうね!」
「うん。お金は大丈夫だから、気に入ったのを選ぼうね」
どうやらお義母さんのアドバイスで正解だったようです。僕はお義母さんに感謝を捧げつつ、葉月ちゃんからの熱いご奉仕を受けて幸せを感じるのだった。
ちなみに、月曜日の夜にイチャイチャしてテーブルの上に置きっぱなしだった当選券は、お義母さんが大事にしまってくれていました。翌朝に顔合わせした時に恥ずかしかったです……。
とりあえず今日の予定は大学が終わってから銀行へ行きますが、道中で誰かに襲われたらどうしようとか考えながら朝食を食べているのだった。ちなみに、今日の運勢はこんな感じです。
【中野薫】
※今日の運勢※
疑心暗鬼に陥りやすい日です。
つまり、今日は全ての人が敵に見えてしまってもしょうがないのです。きっと僕の性格上、今日じゃない日を選んだところで疑心暗鬼になってビクビクしていると思います。よし、出来るだけ考えないようにしよう。
「どうしたんだい、やけにソワソワしているようだけど」
「え? いや、大丈夫ですいつも通りです!」
「……先輩、今日はいつにも増して挙動不審ですよ」
「そうね~、目がキョロキョロしてるわ」
どうやら僕から滲み出る小市民振りは、ちょっとやそっとでは誤魔化せるものでは無かったようです。
「大丈夫です気にしないで下さい。それより今日の占いでもどうですか?」
「ああ、お願いしようかな」
「私もお願いね~」
さて、恒例となった朝の鑑定ですが、葉月ちゃんとお義母さんは特に気にするような内容じゃなかったけど、お義父さんの方はちょっと注意した方が良い内容でした。
【黒川和希】
※今日の運勢※
今日は電車に乗るのは止めましょう。
「うーん……」
「ど、どうだったんだ?」
僕はお義父さんの手を握りながら唸ってしまった。この結果はどういう意味なのだろうかと。楽観的に見ると、電車が遅れるから乗らない方が良いという意味なのかもしれない。ただ悲観的に見ると、お義父さん自身が何かしら事故に巻き込まれるかもしれないという意味にも見える。僕を含めて家族全員の結果に不幸な内容が無かったから大丈夫だと思うけど、どう伝えて良いものか……。
「えっと、お義父さんの今日の予定で電車に乗りますか?」
「ああ、今日は大事なお客さんに会いに行くんだ。遅刻の出来ない大切な予定なんだ」
どうやら電車に乗るのは確定なようだ。でも電車じゃなくて車で行けたらそっちにして貰った方が安全だよね。
「占った結果、電車に乗ると不幸になりそうな感じです。車とか別の移動手段に変更して貰った方が安心だと思います……」
「予定を変更すれば車でも間に合うが、午前中から移動しないと間に合わないな。電車じゃダメかね?」
「お父さん車にした方が良いですよ。先輩の占いは本当に当たりますから」
「そうよ~。パパも信じて車にしましょう?」
お義母さんは今までの占いでお買い得情報とか生活に役立つ結果が出ていたので信じてくれていたようです。でもお義父さんは出張で朝に居ない事が多いため、余り占いをしていなかったのだ。
「もし電車が止まってしまったら大事な打ち合わせに間に合わない可能性があります。今回は僕を信じて貰えませんか?」
「う~む……よし、予定を変更して車で行こう。すぐに出て準備する」
「ありがとうございます!」
「良かったですね先輩」
「これでパパも薫くんの占いの凄さが分かるわね~」
どうやらお義母さんも少しだけ信者になってきたようです。信者が増えるとレベルアップするかな?
◇
お義父さんが電車に乗らないで移動する事が決まって一安心していたけど、今日の僕は狙われているかもしれないのだった。2億円は自宅に置いてきたが、僕が誘拐されて人質になるかもしれない。誰か敵で誰が味方か分かりません!
「おい薫、いつにも増して挙動不審だな」
「不審者みたいですわ」
いつものように朝の集会を行っていたが、僕から滲み出る小市民振りを隠しきる事は出来なかったらしく、知らぬ間にビクビクしていたようです。さすがに宝くじが当たった事は伝えられません。WEBで色々と調べたところ、下手に高額当選の事を知られてしまうと、仲の良い友人が豹変したとか、聞いたことも無い親戚が押しかけて来るらしいです。二人は大丈夫だと思うけど、無理に言う必要もないからね! あ、そういえばお義父さんにも伝えてなかったかもしれない。まあお義母さんから伝わってるかもしれないし、無理に言わないで良いよね!
「そんなことないよ? いつも通りだよ?」
「怪しいな」
「もしかして浮気を隠しているんじゃないかしら、葉月ちゃんに報告しますわよ」
「そんな事ありませんー! 大学が終わったら葉月ちゃんのお母さんとお出掛けするだけです~」
「ああ、それでソワソワしてたのか」
「浮気ですわ!」
どうやら僕が夕方にお義母さんとデートするのでソワソワしてるように見られてたようです。お義母さんとお出掛けも楽しみだから否定出来ないけど、浮気じゃありません。
実は一人で銀行へ行くのにビクビクしていたら、お義母さんが暇してるからと言って、一緒に来てくれることになったのだ。
「そんな事言ってると占いやらないよ?」
「困りますわ!?」
ふふ……玲子さんは信者だから占いをチラつかせれば簡単なのでした。
「よし、じゃあ占うよ~」
修二と玲子さんそれぞれを普通に鑑定しました。決していやらしい事は考えてませんよ?
【千葉修二】
※今日の運勢※
突然の来客に驚くでしょう! 今日はエッチ禁止ね。
【天王寺玲子】
※今日の運勢※
突然の来客に驚くでしょう! 今日はエッチ禁止ね。
「……うーむ」
また唸ってしまった。この結果はどう伝えて良いのだろうか。確か前も似たような結果があったような気がする。あの時は確か『急な来客があるでしょう。お掃除しましょう』とかこんな感じだったと思う。僕としては占いの結果をそのまま伝えたいけど、そのまま伝えたらセクハラだって怒られるんだよね、きっと。でもエッチしてる最中に突然の来客で大変な事になったらまずいし、怒られるの覚悟して伝えるか。
「えっと、こんな結果でした……」
「またあいつが来るのか……」
「薫さん、セクハラですわ!!」
僕は玲子さんから何度セクハラと言われれば良いのだろうか?
「セクハラじゃありません~。そう言えば前も似たような結果だったよね。その時は誰が来たの?」
「俺の妹が来たんだ」
「じゃあまた妹さんかもね~」
修二に妹がいるなんて知らなかった。もしかしたらそのうち会うことになるかもしれない。
そうして今日は一日、誰かに狙われているんじゃないかとビクビクしながら過ごすのだった。
◇◇
大学からビクビクしながら家に帰り、お義母さんと一緒に都内の銀行へ来ていた。2億円は僕のバッグに入っているけど、いつどこで襲撃されるか分からず緊張しています。緊張しているのを察してくれたのか、お義母さんが腕を組んでくれました。お義母さんの柔らかい感触と甘い匂いに包まれ、ビクビクが少し収まりました。
そんな感じで銀行へ入り、受付で宝くじの高額当選をした事を伝えたところ、応接室のような部屋へ案内された。担当者は40代くらいの男性でした。僕は震える手で当選券を渡し、男性が確認するまで不安だった。
「確認が取れました。ご当選おめでとうございます」
その言葉を聞いた瞬間、僕はホッとしてしまった。外れている事は無いだろうと思っていたが、銀行の人に確認して貰えるまで不安だったのだ。
そこからの作業は事務的で、身分証明書の確認と当選金の受け渡し方法の確認だった。現金で貰っても殺されて奪われそうなので、もちろん口座振込一択です。口座が無いので新規で作って貰いました。
「ご説明は以上です。こちらのパンフレットを良くお読みください。過去の当選者の体験談もありますので必ず読んでください。奥様も不用意に言わないように、ご注意下さい」
「は~い、分かりました♪」
どうやらお義母さんは奥様と言われたのが嬉しかったようで、ご機嫌です。綺麗なお姉さんにしか見えないので、僕の付き添いで来てるから家族と見られたのだろう。当選受け取りに彼女は連れて来ないよね?
「じゃあ帰りましょうか、あなた♪」
お義母さんが僕の腕にそっと抱き着き、銀行を後にする。さすがに恥ずかしかったが、お義母さんの気分を損ねる訳にはいかないのです。
銀行から自宅へ帰るときも腕を組んだままご機嫌な状態です。二人きりな今がチャンスだな。聞いておきたい事があったのだ。
「あの、お義母さんにご相談があるのですが……」
「あら~、何かしら? ちょっとそこの喫茶店に行きましょうか」
僕の不安げな顔を見て察知してくれたのか、喫茶店に入りました。良くあるチェーン店の安いお店です。
二人席に座り、向かい合ってお話です。少し葉月ちゃんとの初デートの時の状況と似てるなって思ってしまった。
「それで、薫くんの相談って何かしら?」
適当にホットコーヒーと紅茶を頼み、一息ついたところでお義母さんが聞いてくれた。
ここ数日考えていたけれど、僕がずっと求めていたお金が手に入ったので、次の段階へ進もうと思ったのだ。
「葉月ちゃんに婚約指輪を買ってあげたいのですが、僕が買ってサプライズで渡すのと、一緒に買いに行くのとどっちが良いでしょうか?」
僕はヘタレなので、お義母さんに相談してしまった。クリスマスにサプライズで婚約指輪をプレゼントしようと思った事もある。だけど、指のサイズも分からないし、どんな指輪が良いのかなんてサッパリ分からないのである。自慢じゃないが今まで指輪なんて買ったこともなければ付けた事もない。子供の頃に輪になったスナック菓子を指に嵌めて遊んだくらいなのである。あれ美味しいよね!
「う~ん」
どうやらお義母さんも悩んでいるようだ。もしサプライズが良いとなった場合、お義母さんに指のサイズを調べて貰おうかな。
「やっぱり一緒に買いに行くのが良いと思うわ。サプライズで渡すのも素敵だけど、それをするのはプロポーズとセットね。薫くんの場合、もう婚約してるんだから無理にサプライズで渡す必要ないと思うわ~」
「なるほど、確かに僕の場合はサプライズじゃなくても良さそうですね。正直なところ、デザインとかサッパリ分からないです……。あの、参考までにお義母さんの時はどうだったんですか?」
ちょっと気になったので聞いてしまった。お義父さんはどうだったのだろうか?
「うふふ……私の時はサプライズでプロポーズされたわ。すごく感動しちゃったの!」
「あれ、じゃあサプライズの方が良い気がしてきました」
「でもね、指輪のサイズが合って無くて交換しに行ったのよ~。それでお店に行ったら私の好きなデザインを見つけちゃって、結局違うのにして貰っちゃったの。懐かしいわ~」
「……なるほど」
やっぱり初プロポーズに指輪とセットは効果的だけど、必ずしも正しいとは言い切れないということか。
「ありがとうございます。今度葉月ちゃんと買いに行ってきます!」
「いいわね~。もし困った事があったら相談してね」
僕は笑顔で頷き、お義母さんの優しさに救われたのだった。
◇◇◇
夕飯も終わり、寝室で葉月ちゃんに銀行で聞いた事を伝えた。葉月ちゃんから言いふらす事もないと思うので大丈夫だろう。そしてここからが本題だ。勇気を出して葉月ちゃんに提案してみようと思う。お義母さんのアドバイスを信じて……。
「葉月ちゃんに大事なお知らせがあります」
「……なんですか?」
新しく届いたソファーに並んで座りリラックスしていたところ、僕が真剣な顔をして言い出したからだろうか、葉月ちゃんが少し不安そうな表情になってしまった。これはまずい!
「えっと、前々から考えていたんだけど、婚約指輪を葉月ちゃんに贈ろうと考えていました。けど、僕はヘタレなので一緒に買いに行ってもらえませんか?」
「……」
あれ、葉月ちゃんが口を開けて放心してしまった。やっぱりサプライズが正解だったか!? やっぱり僕はヘタレなようだ……。
「ご、ごめん。やっぱりサプライズが良かったよね。今のは聞かなかった事……」
言い終わる直前、葉月ちゃんが勢い良く抱き着いて来て、僕はソファーに倒れてしまった。僕の胸に当たる柔らかい感触にドキドキするが、目の前にある葉月ちゃんの目に涙が浮かんでいてそれどころでは無かったのだった。
「嬉しいです。先輩大好きです。愛してます」
葉月ちゃんの熱い告白を聞いた途端、僕の口も情熱的なキスで迎えられてしまった。いつも以上に情熱的なキスに、僕は愛を感じた。
「……んぅ……一緒に買いに行きましょう。ペアリングにしましょうね!」
「うん。お金は大丈夫だから、気に入ったのを選ぼうね」
どうやらお義母さんのアドバイスで正解だったようです。僕はお義母さんに感謝を捧げつつ、葉月ちゃんからの熱いご奉仕を受けて幸せを感じるのだった。
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