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学園
卒業(ガレン視点)
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「卒業式か・・・」
「どうしたんだい?」
「何でもないわ・・・そうね、見に行けないのが残念だと思ったの」
「それは、ごめん。許可できない」
「分かっているわ、謝らないで」
私はリリアとあのことがあってから毎朝朝食を共にしている。今までよりずっと近くにいて、毎日一緒にいれて幸せだと思っているが、口には出せない。リリアが真に望んでいることではないと知っているから。リリアは何も言わない。だが時折見せるあの表情は私の胸を締め付ける。あえて聞こうとは思わない。いつかリリアが自分から言ってくれるのを待つつもりだ。
思えばリリアは苦労人だ。神様の愛し子なんて言われているが、あれは何かの罰なのではないかと思う。あえて言うなら枷、自由を奪っていくもの。もちろん本気になればこの世界なんてどうとでもできるのだろう。しかし、神も性格が良い、心優しい者しか選ばないから。
愛し子の存在はあまり残されていない。
ただ全員突然いなくなっているらしい。
私は不安でたまらない。
リリアが隠していることに関係していそうで。
不安を隠して私はリリアと今日も朝を共にする。
「何か欲しいものはある?」
「ふふ、どうして?急に」
「プレゼントしたいと思ったから」
「今日はあなたの卒業式よ。私があげるべきだわ」
「くれるのかい?」
「ふふ、何が欲しい?」
「うーん、(リリア!って言いたいけど困らせるのは分かってるし・・・)君がくれるものならなんでも嬉しいよ」
「そう?悩むわね」
「楽しみにしてる。もう行くね」
「もう、行ってらっしゃい」
リリアが私にプレゼントを用意してくれるらしい。朝から顔が緩みっぱなしだ。
いけない、いけない。
今日は大事な卒業式なので、私はこの国の王太子として生徒会長として生徒代表でスピーチをしないくはいけない。
本当なら一番にリリアに見届けて欲しい。
でも私は王太子である。国を一番に考えなくてはいけない。リリアを王宮に囲っているのも、私が外に出さないのも全て国のため・・・。
彼女は気付いているのだろう。私がリリアのためと嘘を言っていることに。でも気づいていないふりをする。そういうところが彼女も上に立つ人間だと思う。
私は望めば何でも手に入ると思っていた。
実際手に入らなかったことがなかった。
初めて知った、手に入れたくても入れられない者を。したくてもできない事を。
王族に生まれて後悔したことはなかった。
こんな感情を持つ日がくるなんて。
リリアは私に沢山のものをくれた。
今度は私が返す番だ。
彼女きっと貰いすぎだと言う、大したことはしていないからと。でもそれは違う。
彼女はこれから多くを自覚してもらおう。
彼女の初めては私でありたい。
「今日私は上に立つ者の覚悟ができました」
私の今日のスピーチは覚悟の表れ。
この国をより良いものへと導くための。
リリアをこの国に留め置くための。
私は酷い人間になる。
できることならリリアに笑っていて欲しい。
もう二度と選択させたくない。
私は彼女のためにもこの国を変えていく。
今日はその一歩だった。
明日を迎えると私とリリアの結婚式が本格的に準備される。舞台は整った。
「ここからだ」私は行動を開始する。
「うーん、何が良いんだろう?食べ物?政務で使えるものがいいのかな?・・・どうせ外に出れないしお金だけ渡して買ってきてもらおうとか(流石に駄目か・・・)あーもう!」
「どうしたんだい?」
「何でもないわ・・・そうね、見に行けないのが残念だと思ったの」
「それは、ごめん。許可できない」
「分かっているわ、謝らないで」
私はリリアとあのことがあってから毎朝朝食を共にしている。今までよりずっと近くにいて、毎日一緒にいれて幸せだと思っているが、口には出せない。リリアが真に望んでいることではないと知っているから。リリアは何も言わない。だが時折見せるあの表情は私の胸を締め付ける。あえて聞こうとは思わない。いつかリリアが自分から言ってくれるのを待つつもりだ。
思えばリリアは苦労人だ。神様の愛し子なんて言われているが、あれは何かの罰なのではないかと思う。あえて言うなら枷、自由を奪っていくもの。もちろん本気になればこの世界なんてどうとでもできるのだろう。しかし、神も性格が良い、心優しい者しか選ばないから。
愛し子の存在はあまり残されていない。
ただ全員突然いなくなっているらしい。
私は不安でたまらない。
リリアが隠していることに関係していそうで。
不安を隠して私はリリアと今日も朝を共にする。
「何か欲しいものはある?」
「ふふ、どうして?急に」
「プレゼントしたいと思ったから」
「今日はあなたの卒業式よ。私があげるべきだわ」
「くれるのかい?」
「ふふ、何が欲しい?」
「うーん、(リリア!って言いたいけど困らせるのは分かってるし・・・)君がくれるものならなんでも嬉しいよ」
「そう?悩むわね」
「楽しみにしてる。もう行くね」
「もう、行ってらっしゃい」
リリアが私にプレゼントを用意してくれるらしい。朝から顔が緩みっぱなしだ。
いけない、いけない。
今日は大事な卒業式なので、私はこの国の王太子として生徒会長として生徒代表でスピーチをしないくはいけない。
本当なら一番にリリアに見届けて欲しい。
でも私は王太子である。国を一番に考えなくてはいけない。リリアを王宮に囲っているのも、私が外に出さないのも全て国のため・・・。
彼女は気付いているのだろう。私がリリアのためと嘘を言っていることに。でも気づいていないふりをする。そういうところが彼女も上に立つ人間だと思う。
私は望めば何でも手に入ると思っていた。
実際手に入らなかったことがなかった。
初めて知った、手に入れたくても入れられない者を。したくてもできない事を。
王族に生まれて後悔したことはなかった。
こんな感情を持つ日がくるなんて。
リリアは私に沢山のものをくれた。
今度は私が返す番だ。
彼女きっと貰いすぎだと言う、大したことはしていないからと。でもそれは違う。
彼女はこれから多くを自覚してもらおう。
彼女の初めては私でありたい。
「今日私は上に立つ者の覚悟ができました」
私の今日のスピーチは覚悟の表れ。
この国をより良いものへと導くための。
リリアをこの国に留め置くための。
私は酷い人間になる。
できることならリリアに笑っていて欲しい。
もう二度と選択させたくない。
私は彼女のためにもこの国を変えていく。
今日はその一歩だった。
明日を迎えると私とリリアの結婚式が本格的に準備される。舞台は整った。
「ここからだ」私は行動を開始する。
「うーん、何が良いんだろう?食べ物?政務で使えるものがいいのかな?・・・どうせ外に出れないしお金だけ渡して買ってきてもらおうとか(流石に駄目か・・・)あーもう!」
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