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皇帝視察
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ハーマイオニーは弓部隊の詰所に来た。
ここに来たのは実に何年ぶりか。
「今日から再び我々と共に弓部隊に所属してくれるハーマイオニー・シモンズだ。宜しく頼む」
「ご無沙汰しておりました。諸事情再び弓部隊に所属するようになった、ハーマイオニー・シモンズです。初めまして……の方もいらっしゃいますね。宜しくお願いします」
ハーマイオニーは一礼した。
久々に見る同僚の顔。
そして、初めましての人もいる。
この日はハイヴァランド帝国の皇帝、アーサーが来る事になっていた。
「今日はハイヴァランド帝国の皇帝陛下が視察に来る。失礼の無いようにな」
「はい」
「久しぶりだな!!」
髭を生やした長身の騎士、ベックだった。
ベックは伯爵令息。
「ベック。お久しぶりね」
「ハーマイオニー、元気だった?」
響きあるソプラノの声を出すのが、友人のルーシーだった。
ルーシーは子爵令嬢。
「ルーシー。お久しぶりね」
実に何年ぶりかの顔に懐かしさも感じた。
「おい、エイドリアン様はどうしたんだ?」
どうやら、ベックは事情を知らないようだ。
ハーマイオニーはほっとした。
「実はね……破局しちゃった」
と、ため息混じりに言った。
「そうだったの。辛かったわね」
「懐かし話に花が咲いているみたいだね。でも、今は仕事中だ。おしゃべりはやめて、弓の練習を!」
「「「はい」」」
「ハーマイオニー。これは以前きみが使っていた弓だ」
クロムから弓を受け取った。
銀色に光るその弓はエイドリアンと正式に婚約するまでに使っていた弓だ。
弓には勿論、愛着はあった。
弓は貸し出されていたものだった。
「ありがとうございます」
久しぶりに弓を手に取る。
弓は婚約してからも、度々触っていた。
だから、腕が鈍っていない自信はあった。
「では、あの的に向かって射ってみて」
ハーマイオニーは的を見定めて弓を射とうと思ったその瞬間だった。
精悍な顔つきをした長身の男性が目の前に現れた。
彼こそがハイヴァランド帝国の皇帝アーサーだった。
「アーサー皇帝陛下のご視察です」
皆、深々と頭を下げた。
ハーマイオニーも右に倣えだ。
畏怖の念がわいた。
何かが違う。光って見える。
彼こそがアーサー皇帝なのだ。
(アーサー皇帝陛下はやはり違うわ。ましてやエイドリアンなんかと比べてしまうと)
間もなくしてアーサー皇帝はハーマイオニーの弓を手に取った。
「弓騎士なのかな? お嬢さん」
ハーマイオニーは足が竦んでしまった。
「あ……はい」
「そうか」
と言って矢を取り出し、的に向かって弓を射った。
矢は見事にど真ん中に的中。
ふふふ……と笑ってアーサーは弓を返してくれた。
ここに来たのは実に何年ぶりか。
「今日から再び我々と共に弓部隊に所属してくれるハーマイオニー・シモンズだ。宜しく頼む」
「ご無沙汰しておりました。諸事情再び弓部隊に所属するようになった、ハーマイオニー・シモンズです。初めまして……の方もいらっしゃいますね。宜しくお願いします」
ハーマイオニーは一礼した。
久々に見る同僚の顔。
そして、初めましての人もいる。
この日はハイヴァランド帝国の皇帝、アーサーが来る事になっていた。
「今日はハイヴァランド帝国の皇帝陛下が視察に来る。失礼の無いようにな」
「はい」
「久しぶりだな!!」
髭を生やした長身の騎士、ベックだった。
ベックは伯爵令息。
「ベック。お久しぶりね」
「ハーマイオニー、元気だった?」
響きあるソプラノの声を出すのが、友人のルーシーだった。
ルーシーは子爵令嬢。
「ルーシー。お久しぶりね」
実に何年ぶりかの顔に懐かしさも感じた。
「おい、エイドリアン様はどうしたんだ?」
どうやら、ベックは事情を知らないようだ。
ハーマイオニーはほっとした。
「実はね……破局しちゃった」
と、ため息混じりに言った。
「そうだったの。辛かったわね」
「懐かし話に花が咲いているみたいだね。でも、今は仕事中だ。おしゃべりはやめて、弓の練習を!」
「「「はい」」」
「ハーマイオニー。これは以前きみが使っていた弓だ」
クロムから弓を受け取った。
銀色に光るその弓はエイドリアンと正式に婚約するまでに使っていた弓だ。
弓には勿論、愛着はあった。
弓は貸し出されていたものだった。
「ありがとうございます」
久しぶりに弓を手に取る。
弓は婚約してからも、度々触っていた。
だから、腕が鈍っていない自信はあった。
「では、あの的に向かって射ってみて」
ハーマイオニーは的を見定めて弓を射とうと思ったその瞬間だった。
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彼こそがハイヴァランド帝国の皇帝アーサーだった。
「アーサー皇帝陛下のご視察です」
皆、深々と頭を下げた。
ハーマイオニーも右に倣えだ。
畏怖の念がわいた。
何かが違う。光って見える。
彼こそがアーサー皇帝なのだ。
(アーサー皇帝陛下はやはり違うわ。ましてやエイドリアンなんかと比べてしまうと)
間もなくしてアーサー皇帝はハーマイオニーの弓を手に取った。
「弓騎士なのかな? お嬢さん」
ハーマイオニーは足が竦んでしまった。
「あ……はい」
「そうか」
と言って矢を取り出し、的に向かって弓を射った。
矢は見事にど真ん中に的中。
ふふふ……と笑ってアーサーは弓を返してくれた。
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