【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました

hikari

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恋愛は行雲流水で

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朝。アレクサンドラはいつも通り学園へ行く。

学園は特に何も変わらない。

ディアドラも来ている。


「おはよう、アレクサンドラさん」

来た。チャールズだ。

スキンヘッドに背虫、背が低いが痩せているため、ヒョロヒョロしている。首にはタオルが巻かれている。相変わらず顔に傷がある。アトピーという設定。

このアトピーはアトポスに睨まれてなってしまった……というのが原作の設定。

しかも、チャールズは治療を放置している。

なぜ治療を放置しているのか?

それはチャールズの行動範囲に皮膚科が無いからだ。

チャールズは農村に住んでいる。

やはり、転生前の世界同様、田舎には皮膚科が無いのだ。




アレクサンドラは無視をした。


(こいつね……原作でも無視していたみたいだけど、無視をするようになってからどこかで待ち伏せてぶつかって来ようとするんだよねぇ。厄介だわ)


「ねぇ、アレクサンドラさんってば」

(こんな男、圏外に決まっているわ)

ひたすら無視をしてその場を去る。

「アレクサンドラさーん」

チャールズはついてくる。

何度も担任に注意されているにもかかわらず、改善するのは注意されたそのいっときだけ。

ほとぼりが冷めるとまた嫌がらせ行為をしてくるのだ。


そもそも、チャールズが言い寄ってくるようになったのはヒロインのリリーナがふってから。


というよりは、元々チャールズはアルテナが好きで、四六時中アルテナにくっついていた。

しかし、アルテナが転校してからチャールズはリリーナに言い寄るようになったのだ。

それから、リリーナに振られ、アレクサンドラのところに来るようになったのだ。


(そう。アレクサンドラは闇魔法の先生バイロン先生が好きで、わざと補習を受けていたんだっけ? で、この落伍者のチャールズと一緒に補習を受けていて……それで気に入られたのかも。だったら、補習を諦めるしかないわね。もとい、バイロン先生を諦めるしかないわね。そう。もう誰にも片思いはしないわ。恋は行雲流水に任せることにした)

チャールズは身勝手な男でアレクサンドラが王太子と婚約者していることを知っていても「王太子と婚約破棄をすれば僕のところに来てくれるだろう」だった。


朝から不快な思いをした。


特に厄介なのは昼食の時間だ。

昼食は食堂で食べているのだが、チャールズはいつもアレクサンドラが見える位置にポジションを取るのだ。

そして、ジロジロこちらを見てくるのだ。


一度このことを担任に相談したら、チャールズは教室で弁当を食べると言ったのに、ほとぼりが冷めると堂々と斜向いに座ってくるのだ。


(チャールズはある意味プラス思考なんだよね。無視されているのは虫の居所が悪いだとか、無抵抗になったからだとか。プラス思考とはいえ、私にすれば身勝手な考えなのよね)


「ヒューヒュー。お似合いね」

そう言ってきたのはディアドラだった。

そこにはヒロインのリリーナもいる。


アレクサンドラ同様、銀髪にルビー色の瞳。そして、長い髪は腰まである。

(いかにも萌キャラだよね)

「本当。誰かさんとチャールズはお似合いよね。誰かさんに王太子殿下は似合わないわ。チャールズが分相応よねぇ」

二人は笑っている。

ディアドラは笑いながら八重歯を弄っている。


(チャールズとお似合いだなんて)

でも、チャールズは何度もふっている。

しかし、懲りないのだ。


しまいには

「僕が結婚したい人はアレクサンドラさんか、マリーさんかジェシカさんなんだよね」

などと言ってきた。

しかし、マリーもジェシカも転校している。


(これで根負けしてチャールズと結婚してしまうのね。でも、絶対に根負けなんかしないわ)

アレクサンドラは確固たる決意をした。


「アレクサンドラ、負けないで」

友人のサマンサだ。

サマンサだけが唯一の支えだ。


「ええ。ありがとう。サマンサ」












★☆★☆











昼休み。




チャールズがなんと、またしても斜向かいに座ってきた。

「しつこいわね、チャールズ」

サマンサもチャールズのしつこさには呆れていた。

「私のこと好きで仕方ないのよ。何度もふっているけど、糠に釘だわ」

チャールズは基本単独行動。だから、どこまでも追いかけてくるのだ。

中には「ストーカーだよね」と言ってくる人もいるけれど、本当にストーカーだと思っている。


唯一の救いはチャールズの住んでいる村はグラタナ邸とは正反対の方角。

チャールズは学園から北に向かって帰っている。

それに対してグラタナ邸は南にある。


これがもし、同じ方向だったら……と思うとぞっとする。


しかも、チャールズがつきまとってくるのは学園の敷地内だけで、流石にグラタナ邸まで調べようとはしないらしい。


チャールズは食堂であろうとも構わず腕を掻いている。

しかも、血が出てしまう。





アトピーはうつらない。それはわかっている。

しかし、チャールズの場合はなんだかうつりそうな感じがする。


いつもこうしてチャールズはアレクサンドラを見て目の保養をしているのだろう。


チャールズだったら、最低男の王太子の方がまだマシだ。


「チャールズ、アレクサンドラが王太子殿下と婚約破棄した事知っているのかしら?」

「多分知っているわよ」

なぜか、チャールズには婚約者がいる人といない人を嗅ぎ分ける力があるらしい。

あきらかに婚約者がいるであろう女性には絶対に近寄らない。


但し、アレクサンドラを除いては。


(チャールズとは絶対に一緒にならないわ。絶対にね)
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