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報告 ※ハンス視点
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ハンスはジュリエットを連れ、ヴェルナルド公爵当主でもあり、父であるトマスの執務室に入った。
トントン。
「誰だ?」
「父上!!」
「ハンスか。入れ!」
「失礼致します」
ハンスはドアノブを回し、トマスの執務室に入った。
「ハンス。誰だね? 一緒にいるのは」
「はい、そのことについてお話したいことがあります」
ハンスはジュリエットと共に、ソファーに腰をおろした。
「父上。この度はステファニーと婚約破棄致しました」
「何?」
トマスは怪訝な顔つきでハンスを見る。
「はい。あのたらこ唇がどうも受け付けなくて。やはり、唇の薄いジュリエットの方が私にはあっているような気がしてきました」
ハンスの一人称は基本俺。
しかし、トマスを始め、目上の人に対するときだけは「私」になる。
「ジュリエットといったな?」
「はい」
「ジュリエットは確かステファニーと腹違いの妹だったね」
「そうです。ステファニーは母親違いの姉です」
「しかし……聞いたとこによると、ジュリエットはアトラス伯爵のご子息のチャーリーと結婚が決まっていたのではないかね?」
「はい。チャーリー様のことですが、チャーリー様はヘビースモーカーだから、嫌気が差してきたんです。臭いんです。口臭が酷いんです」
「臭い?」
「はい」
「しかし、きみからも葉巻の匂いはするぞ。私は葉巻は吸わないから、葉巻の匂いはよくわかる」
「はい。確かに私も葉巻は吸っています。でも、チャーリー様は異常です。なぜなら……1時間に3本吸っていて……1日に30本以上は吸っているんじゃないでしょうか?」
「1日に30本は吸い過ぎだな。ううむ」
「父上、そういう事なんです。ジュリエットはもうチャーリーに気はないんです」
「ハンス。お前もお前だな」
「なんですって!?」
「お前も婚約者がいながらにして、婚約者のいる女性に言い寄るんだからな。これで私はアトラス家に顔向けできなくなるぞ」
「……」
「でも、公爵様。ハンス様も姉のことが嫌になったのです。私達王侯貴族は生まれながらにして、婚約者が決められてしまいます。本人の同意無しに決められてしまうのは余りにも不本意です」
「そうですよ、父上。同意なしですよ。ステファニーだって私のことを心から愛してくれたかって不明なんですよ。ほら、父上だって母上のこと心から愛してはいなかったですよね?」
「言われてみれば……」
トマスは夫人とは仲が悪かった。
事あるごとに喧嘩をしていた。
時にはテーブルがひっくり返ることもあった。
ハンスはそれを見ていた。
「ということで父上! 同意あるジュリエットとの結婚を認めてくれませんか?」
一瞬、トマスの動きが止まった。
「仕方がない。今回ばかりは目を瞑っていよう」
「ありがとうございます、父上!」
「ありがとうございますわ、公爵様」
二人は浮き浮き気分で執務室を出た。
「やりましたね、ハンス様」
「ああ、やったよ、ジュリエット!」
トントン。
「誰だ?」
「父上!!」
「ハンスか。入れ!」
「失礼致します」
ハンスはドアノブを回し、トマスの執務室に入った。
「ハンス。誰だね? 一緒にいるのは」
「はい、そのことについてお話したいことがあります」
ハンスはジュリエットと共に、ソファーに腰をおろした。
「父上。この度はステファニーと婚約破棄致しました」
「何?」
トマスは怪訝な顔つきでハンスを見る。
「はい。あのたらこ唇がどうも受け付けなくて。やはり、唇の薄いジュリエットの方が私にはあっているような気がしてきました」
ハンスの一人称は基本俺。
しかし、トマスを始め、目上の人に対するときだけは「私」になる。
「ジュリエットといったな?」
「はい」
「ジュリエットは確かステファニーと腹違いの妹だったね」
「そうです。ステファニーは母親違いの姉です」
「しかし……聞いたとこによると、ジュリエットはアトラス伯爵のご子息のチャーリーと結婚が決まっていたのではないかね?」
「はい。チャーリー様のことですが、チャーリー様はヘビースモーカーだから、嫌気が差してきたんです。臭いんです。口臭が酷いんです」
「臭い?」
「はい」
「しかし、きみからも葉巻の匂いはするぞ。私は葉巻は吸わないから、葉巻の匂いはよくわかる」
「はい。確かに私も葉巻は吸っています。でも、チャーリー様は異常です。なぜなら……1時間に3本吸っていて……1日に30本以上は吸っているんじゃないでしょうか?」
「1日に30本は吸い過ぎだな。ううむ」
「父上、そういう事なんです。ジュリエットはもうチャーリーに気はないんです」
「ハンス。お前もお前だな」
「なんですって!?」
「お前も婚約者がいながらにして、婚約者のいる女性に言い寄るんだからな。これで私はアトラス家に顔向けできなくなるぞ」
「……」
「でも、公爵様。ハンス様も姉のことが嫌になったのです。私達王侯貴族は生まれながらにして、婚約者が決められてしまいます。本人の同意無しに決められてしまうのは余りにも不本意です」
「そうですよ、父上。同意なしですよ。ステファニーだって私のことを心から愛してくれたかって不明なんですよ。ほら、父上だって母上のこと心から愛してはいなかったですよね?」
「言われてみれば……」
トマスは夫人とは仲が悪かった。
事あるごとに喧嘩をしていた。
時にはテーブルがひっくり返ることもあった。
ハンスはそれを見ていた。
「ということで父上! 同意あるジュリエットとの結婚を認めてくれませんか?」
一瞬、トマスの動きが止まった。
「仕方がない。今回ばかりは目を瞑っていよう」
「ありがとうございます、父上!」
「ありがとうございますわ、公爵様」
二人は浮き浮き気分で執務室を出た。
「やりましたね、ハンス様」
「ああ、やったよ、ジュリエット!」
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