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第七章 インサイド
31.炎の少女
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「よかったわぁ。すぐに良くなって!」
「お姉さまの薬が残ってたおかげですね。」
「でしょお!?」
(皮肉って伝わってないな。)
僕の体調は幸いなことに2、3日程度で治った。
課題はどうなることやらと心配してたけど、期限まで後2週間と少しの猶予がある。
その間に本を見つけられれば良いが…。
ー教室ー
「今日は自らの意識のなかに相手を誘導する、"エゴ"のコントロールを練習するからね。」
妹復帰1日目の授業は、魔術的なことを専門とするおじいちゃん先生のクラスだった。
ローズ情報によると、生前は偉大な魔術師だったらしい。
特別な力を持つ者は男女関係なく、死んでからも記憶を保持している割合が高いのだとか。
「まずはわしのエゴにおいで。」
先生が杖で床を鳴らす。
すると、辺りは色とりどりのキラキラしたものが渦巻く、万華鏡のような不思議な空間に変わった。
(この感じ…校外学習の時、お姉さまが連れていったときと同じだ。)
見渡すと生徒達がいる。
クラスの全員をここに移動させたのか。
「これだけの人数を一瞬で…。さすがおじいちゃんねぇ。」
お姉さまが誰かを感心してるところなんて滅多に見ない。
先生は、よたよたと杖をついて異空間のなかを歩きながら説明を続けた。
「このように、必要に合わせて対象だけを誘うようにするんだよ。
エゴをコントロールできないうちは、無関係な者を巻き込まないように対象以外の者が多い場ではやらないほうがいいね。」
(そういえば、お姉さまは多くの人で賑わっていた軽食屋さんで力を使った。力をコントロールできてるからこそ、あの場でも僕と店員さんだけを連れていけたってことか。)
「女神が魔術を扱う場合、自分の司る力を利用するのが一番ということはよく知っているね?君たちの持つ力は自身にとても強い繋がりがあるからね。
逆に、持たない力は繋がりもない。無理に引き出すこともできない。」
「お姉さまが見せた海の空間はお姉さまだけが作り出せるってことですか?」
「そうよぉ。皆それぞれ持つ力が違うから、真似しようと思ってもできないの。」
じゃあこの先生の"エゴ"も、唯一無二な場所なんだ。
それにしてもこの空間は色んな色の光がずっとうごめいていて、なんだか酔ってくる。
「じゃあペアを作って、交互にエゴに誘ってみい。妹がいる生徒のペアは、互いの妹も含めてエゴに連れてくことができれば上出来じゃな。」
先生がもう一度杖を鳴らすと、キラキラした空間は一気にバラけて散っていき、元の教室に引き戻された。
(助かった…。もう少しで吐くところだった。)
乗り物酔いのような気分を直そうと深呼吸をする。
「セレナ、一緒にやりましょう。」
僕たちの元にメガイラ様とローズが近づいてきた。
「ええ~。メガイラのエゴは行き飽きたわよぉ。なんだか怖い場所だし。」
「あなたはそうでしょうけど、チカさんなんかは楽しめるんじゃない?」
(え?僕?)
「チカが?確かにどんな反応するか見るのも面白そうねぇ。」
さすがメガイラ様、長くお姉さまと付き合ってきただけあって気の引き方も心得ているな。
面白がるお姉さまは意地悪だけど、正直僕も、ローズがお姉さまのエゴに行ったらどんな反応するか気になる。
(ここは乗ってあげよう。)
「メガイラ様のエゴはそんなに面白いところなんですか?」
「行ってみればわかるわよぉ。」
お姉さまは手でメガイラ様に早くエゴに誘うようジェスチャーした。
「チカさん、ローズ、決して私から離れてはダメよ。」
メガイラ様はそう言って瞬きをした瞬間、その瞳からは炎が燃え上がり辺り一面を火の海へと変えていった。
「きゃっ、きゃあ!?」
ローズは驚いてメガイラ様にしがみついている。
深い闇と燃え盛る炎だけの空間。恐怖心が沸いてきて、僕も思わずお姉さまの服の端をきゅっと掴んだ。
「すべて幻影だから安心しなさい。私の近くにいれば、エゴに飲み込まれることもないわ。」
メガイラ様の視線が下に向く。つられて足元を見ると、僕達は石造りの塔の上に立っていた。
「相変わらず物騒なところねぇ。」
「以前よりも力が増してるでしょう?セレナにも勝るほどの世界だわ。」
赤紫の炎が威力を増す。
お姉さまはそれを見て鼻で笑った。
「何でも足せばいいってもんじゃないわよメガイラ。まだまだ力はお子さまねぇ?」
「お姉さま、言い方が…。」
オロオロとする僕とローズを外に、お姉さまとメガイラ様の視線はバチバチに火花を散らせている。
「それはどうかしら?」
メガイラ様がそう言うと、僕とお姉さまの足場だけ崩れ落ちた。
「チカっ!セレナ様!メガイラお姉さま何をするんですかっ!?」
「ローズ、あれくらいセレナにとって何ともないわ。今頃チカさんを連れてエゴから強制脱出してるはずよ。」
身体が炎のなかを落ち続けてゆく。
その時、微かに誰かの声が聞こえてきた。
『あなたの罪が見えるわ。』
僕達の後から誰かが落ちてきている。その人影は徐々に近づいて輪郭がハッキリと見えてきた。
僕は掴んでいたお姉さまの服を離し、無意識にそちらに手を伸ばす。
「チカ!?ダメよっ!」
お姉さまの叫び声が聞こえたときにはもう遅かった。
(ーー!)
落ちてきていたのは大きな鏡。
人影は自分の姿だった。
伸ばした手を鏡のなかの自分に掴まれ、身体は吸い込まれていった。
「…ん…。」
顔や手にひんやりと固いものを感じる。
気がつくと、僕は石畳が広がる空間に倒れていた。
目の前にはもう一人の僕が立ち、こちらを見下ろしている。
「ここは…?」
『ここは?』
「僕と同じ姿をした君は誰?」
『僕と同じ姿をした君は誰?』
(ただ僕の言葉を繰り返すだけだ…。これも幻影なのか。)
見た目も発する言葉もすべて自分と同じ。
ただひとつ、声を除いて。
「その声を知ってるよ。君のほうが少し幼いけどね。」
『その声を知ってるよ。君のほうが…。』
「君、メガイラ様だよね?」
『……。』
僕の姿をしたその女の子は燃え上がり、火のなかに幼い頃のメガイラ様と思われる黒髪の少女が現れた。
「…!」
『そうだよ。私はメガイラ。』
「さっき言っていた、あなたの罪が見えるってどういう意味なの?」
少女は僕を指差した。
『私と同じ火が見える。』
「火?」
『小さいけれど、燃え続けてる。いけない火だよ。』
「…あなたにも、その火はあるんだね。」
『うん、気がついたらずっと。』
彼女の思いが瞳を通じて僕のなかに侵略してくる。
その思いは走馬灯のようにものすごい速さで僕の頭のなかを駆け巡った。
学園の前に置き去りにした両親の後ろ姿。
周りとは違い、自分だけ成長していく身体に追いつかない心。
中庭でじゃれあう生徒達。
一番近くにいてくれたひとと比べられる悔しさ…。
(ああ…。この子の気持ちが痛いほど伝わる。)
少女の見た景色を見終わる頃、頬には1滴の涙がつたい落ちていた。
『…どうして泣くの?』
「一緒だからだよ。…僕の火も、見えるでしょ?」
『うん、見えるよ。』
家にいない親。
母に作られた枠のなかには愛情など何もなくて空っぽなんだと気がついてゆく自分。
教室で仲良く話す同級生達。
一番近くにいるひとが自由に生きて輝いているのを素直に喜べない惨めさ…。
『見える、だからその火を消さないと。手遅れになる前に。』
少女は鏡を見せた。
なかに映るのは、さっきいた石造りの塔のてっぺん。炎に囲まれたメガイラ様とローズがいる。
『私のなかにはもうこんなにも火が広がってしまった。あなたもこうなる前に罰を受けないと。』
「罰?どうして…。」
『いけない火を持ってるせいよ!』
そう叫ぶと、闇のなかに火がつき巨大な鉄槌の形となった。
「なっ…!?」
『大丈夫よ、私も一緒に裁きを受けるもの。』
鉄槌は炎に照らされて大きな影を落とす。
『火を持つ者は罰せられなければ。』
そして、影のなかの僕達にめがけてそれは振り下ろされた。
「お姉さまの薬が残ってたおかげですね。」
「でしょお!?」
(皮肉って伝わってないな。)
僕の体調は幸いなことに2、3日程度で治った。
課題はどうなることやらと心配してたけど、期限まで後2週間と少しの猶予がある。
その間に本を見つけられれば良いが…。
ー教室ー
「今日は自らの意識のなかに相手を誘導する、"エゴ"のコントロールを練習するからね。」
妹復帰1日目の授業は、魔術的なことを専門とするおじいちゃん先生のクラスだった。
ローズ情報によると、生前は偉大な魔術師だったらしい。
特別な力を持つ者は男女関係なく、死んでからも記憶を保持している割合が高いのだとか。
「まずはわしのエゴにおいで。」
先生が杖で床を鳴らす。
すると、辺りは色とりどりのキラキラしたものが渦巻く、万華鏡のような不思議な空間に変わった。
(この感じ…校外学習の時、お姉さまが連れていったときと同じだ。)
見渡すと生徒達がいる。
クラスの全員をここに移動させたのか。
「これだけの人数を一瞬で…。さすがおじいちゃんねぇ。」
お姉さまが誰かを感心してるところなんて滅多に見ない。
先生は、よたよたと杖をついて異空間のなかを歩きながら説明を続けた。
「このように、必要に合わせて対象だけを誘うようにするんだよ。
エゴをコントロールできないうちは、無関係な者を巻き込まないように対象以外の者が多い場ではやらないほうがいいね。」
(そういえば、お姉さまは多くの人で賑わっていた軽食屋さんで力を使った。力をコントロールできてるからこそ、あの場でも僕と店員さんだけを連れていけたってことか。)
「女神が魔術を扱う場合、自分の司る力を利用するのが一番ということはよく知っているね?君たちの持つ力は自身にとても強い繋がりがあるからね。
逆に、持たない力は繋がりもない。無理に引き出すこともできない。」
「お姉さまが見せた海の空間はお姉さまだけが作り出せるってことですか?」
「そうよぉ。皆それぞれ持つ力が違うから、真似しようと思ってもできないの。」
じゃあこの先生の"エゴ"も、唯一無二な場所なんだ。
それにしてもこの空間は色んな色の光がずっとうごめいていて、なんだか酔ってくる。
「じゃあペアを作って、交互にエゴに誘ってみい。妹がいる生徒のペアは、互いの妹も含めてエゴに連れてくことができれば上出来じゃな。」
先生がもう一度杖を鳴らすと、キラキラした空間は一気にバラけて散っていき、元の教室に引き戻された。
(助かった…。もう少しで吐くところだった。)
乗り物酔いのような気分を直そうと深呼吸をする。
「セレナ、一緒にやりましょう。」
僕たちの元にメガイラ様とローズが近づいてきた。
「ええ~。メガイラのエゴは行き飽きたわよぉ。なんだか怖い場所だし。」
「あなたはそうでしょうけど、チカさんなんかは楽しめるんじゃない?」
(え?僕?)
「チカが?確かにどんな反応するか見るのも面白そうねぇ。」
さすがメガイラ様、長くお姉さまと付き合ってきただけあって気の引き方も心得ているな。
面白がるお姉さまは意地悪だけど、正直僕も、ローズがお姉さまのエゴに行ったらどんな反応するか気になる。
(ここは乗ってあげよう。)
「メガイラ様のエゴはそんなに面白いところなんですか?」
「行ってみればわかるわよぉ。」
お姉さまは手でメガイラ様に早くエゴに誘うようジェスチャーした。
「チカさん、ローズ、決して私から離れてはダメよ。」
メガイラ様はそう言って瞬きをした瞬間、その瞳からは炎が燃え上がり辺り一面を火の海へと変えていった。
「きゃっ、きゃあ!?」
ローズは驚いてメガイラ様にしがみついている。
深い闇と燃え盛る炎だけの空間。恐怖心が沸いてきて、僕も思わずお姉さまの服の端をきゅっと掴んだ。
「すべて幻影だから安心しなさい。私の近くにいれば、エゴに飲み込まれることもないわ。」
メガイラ様の視線が下に向く。つられて足元を見ると、僕達は石造りの塔の上に立っていた。
「相変わらず物騒なところねぇ。」
「以前よりも力が増してるでしょう?セレナにも勝るほどの世界だわ。」
赤紫の炎が威力を増す。
お姉さまはそれを見て鼻で笑った。
「何でも足せばいいってもんじゃないわよメガイラ。まだまだ力はお子さまねぇ?」
「お姉さま、言い方が…。」
オロオロとする僕とローズを外に、お姉さまとメガイラ様の視線はバチバチに火花を散らせている。
「それはどうかしら?」
メガイラ様がそう言うと、僕とお姉さまの足場だけ崩れ落ちた。
「チカっ!セレナ様!メガイラお姉さま何をするんですかっ!?」
「ローズ、あれくらいセレナにとって何ともないわ。今頃チカさんを連れてエゴから強制脱出してるはずよ。」
身体が炎のなかを落ち続けてゆく。
その時、微かに誰かの声が聞こえてきた。
『あなたの罪が見えるわ。』
僕達の後から誰かが落ちてきている。その人影は徐々に近づいて輪郭がハッキリと見えてきた。
僕は掴んでいたお姉さまの服を離し、無意識にそちらに手を伸ばす。
「チカ!?ダメよっ!」
お姉さまの叫び声が聞こえたときにはもう遅かった。
(ーー!)
落ちてきていたのは大きな鏡。
人影は自分の姿だった。
伸ばした手を鏡のなかの自分に掴まれ、身体は吸い込まれていった。
「…ん…。」
顔や手にひんやりと固いものを感じる。
気がつくと、僕は石畳が広がる空間に倒れていた。
目の前にはもう一人の僕が立ち、こちらを見下ろしている。
「ここは…?」
『ここは?』
「僕と同じ姿をした君は誰?」
『僕と同じ姿をした君は誰?』
(ただ僕の言葉を繰り返すだけだ…。これも幻影なのか。)
見た目も発する言葉もすべて自分と同じ。
ただひとつ、声を除いて。
「その声を知ってるよ。君のほうが少し幼いけどね。」
『その声を知ってるよ。君のほうが…。』
「君、メガイラ様だよね?」
『……。』
僕の姿をしたその女の子は燃え上がり、火のなかに幼い頃のメガイラ様と思われる黒髪の少女が現れた。
「…!」
『そうだよ。私はメガイラ。』
「さっき言っていた、あなたの罪が見えるってどういう意味なの?」
少女は僕を指差した。
『私と同じ火が見える。』
「火?」
『小さいけれど、燃え続けてる。いけない火だよ。』
「…あなたにも、その火はあるんだね。」
『うん、気がついたらずっと。』
彼女の思いが瞳を通じて僕のなかに侵略してくる。
その思いは走馬灯のようにものすごい速さで僕の頭のなかを駆け巡った。
学園の前に置き去りにした両親の後ろ姿。
周りとは違い、自分だけ成長していく身体に追いつかない心。
中庭でじゃれあう生徒達。
一番近くにいてくれたひとと比べられる悔しさ…。
(ああ…。この子の気持ちが痛いほど伝わる。)
少女の見た景色を見終わる頃、頬には1滴の涙がつたい落ちていた。
『…どうして泣くの?』
「一緒だからだよ。…僕の火も、見えるでしょ?」
『うん、見えるよ。』
家にいない親。
母に作られた枠のなかには愛情など何もなくて空っぽなんだと気がついてゆく自分。
教室で仲良く話す同級生達。
一番近くにいるひとが自由に生きて輝いているのを素直に喜べない惨めさ…。
『見える、だからその火を消さないと。手遅れになる前に。』
少女は鏡を見せた。
なかに映るのは、さっきいた石造りの塔のてっぺん。炎に囲まれたメガイラ様とローズがいる。
『私のなかにはもうこんなにも火が広がってしまった。あなたもこうなる前に罰を受けないと。』
「罰?どうして…。」
『いけない火を持ってるせいよ!』
そう叫ぶと、闇のなかに火がつき巨大な鉄槌の形となった。
「なっ…!?」
『大丈夫よ、私も一緒に裁きを受けるもの。』
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そして、影のなかの僕達にめがけてそれは振り下ろされた。
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