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9.お隣さんの正体は
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今日も天気がいい。青い空と白い雲。風にざわめく緑の木々。
そして良い笑顔のリーンハルト。なんで?
「寝ぼけてるところもかわいいですね」
一言目から変態臭い。俺がにらんでもリーンハルトは良い笑顔だ。
「お前あきらめたんじゃないのか」
ぐっと睨むと、リーンハルトは背負子を見せてきた。なにやら大荷物だ。すでにテントのようなものが出来上がっている。
「受けた恩は返すまでが恩返しですから、今日からお隣に住みます」
「遠慮します」
恩返しにも遠足みたいなルールがあるらしいが、知ったこっちゃない。間髪入れずに返すとリーンハルトはちょっと眉を八の字にして頭を掻いた。
「もともと、ここの土地は我が家の土地ですよ。私が住むことを黙認してくれたら。今まで払うべきだった賃料は請求しません」
急に現実的だ。俺がぐっと押し黙ったのを見て。
「ってか、リーンハルトってなにもの?」
リーンハルトは驚いた顔でこちらを見返す。
「リーンハルト・アワーバックです」
『リーンハルト・アワーバック。国の西部中央にあるアワーバック領 領主一家の三男。 女神教の熱心な教徒。 アワーバック領所属 聖教聖騎士 童貞処女』
オッケーグリモワール ありがとう。
マジか、こいつ。地主の坊ちゃんなのか。リーンハルトは小枝を持つと、何やら地面に絵を描き始めた。
「ミランマイレン国がこれで、アワーバック領はここです。ちなみにこの山はここです」
異世界にも地図ってあるんだな。
「ということで、この山はアワーバックの土地であり、我家の土地です。なので俺が勝手に住むことは何ら問題ない。俺は恩返しができるまでここにいます」
権力で押して来たか。あれ?鶴の恩返しって、こんな強引な展開だったかな。
「俺のことは2匹目のドラゴンだと思って下さればいいです」
俺はコインと目を合わせた。クォッとコインは目を細める。ドラゴンの恩返し。いや、鶴でもドラゴンでもないわ。人だわ。地主の坊ちゃん。……だが、権力に逆らって良いことはない。
よしこいつはドラゴン……ドラゴン……。
「リーンハルト。お手」
俺の差し出した手にリーンハルトは嬉し気に手をのせた。
一人で生きるのが、やっとなのに扶養家族がもう一人できてしまった。
いや、コイツは扶養家族ではない、お隣さんだ。
少々、掃除も洗濯もへたくそで、家事はからっきしだし。「こちらのテントをのぞかないでくださいね」って言われて、豪華な料理やら、機織りやらが出てくるくだりもなさそうだ。
ただ、まぁ、コインはしゃべれなかったから、ラジオ代わりに話を聞くには最適だ。
それくらいしか、有用ではないが。
そして良い笑顔のリーンハルト。なんで?
「寝ぼけてるところもかわいいですね」
一言目から変態臭い。俺がにらんでもリーンハルトは良い笑顔だ。
「お前あきらめたんじゃないのか」
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「受けた恩は返すまでが恩返しですから、今日からお隣に住みます」
「遠慮します」
恩返しにも遠足みたいなルールがあるらしいが、知ったこっちゃない。間髪入れずに返すとリーンハルトはちょっと眉を八の字にして頭を掻いた。
「もともと、ここの土地は我が家の土地ですよ。私が住むことを黙認してくれたら。今まで払うべきだった賃料は請求しません」
急に現実的だ。俺がぐっと押し黙ったのを見て。
「ってか、リーンハルトってなにもの?」
リーンハルトは驚いた顔でこちらを見返す。
「リーンハルト・アワーバックです」
『リーンハルト・アワーバック。国の西部中央にあるアワーバック領 領主一家の三男。 女神教の熱心な教徒。 アワーバック領所属 聖教聖騎士 童貞処女』
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権力で押して来たか。あれ?鶴の恩返しって、こんな強引な展開だったかな。
「俺のことは2匹目のドラゴンだと思って下さればいいです」
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よしこいつはドラゴン……ドラゴン……。
「リーンハルト。お手」
俺の差し出した手にリーンハルトは嬉し気に手をのせた。
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いや、コイツは扶養家族ではない、お隣さんだ。
少々、掃除も洗濯もへたくそで、家事はからっきしだし。「こちらのテントをのぞかないでくださいね」って言われて、豪華な料理やら、機織りやらが出てくるくだりもなさそうだ。
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それくらいしか、有用ではないが。
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