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11.お花畑みたいな休暇だな
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朝起きたらまず、畑の水やりから始める。もちろん、畑を耕したのは聖剣だ。育てているのは馴染みのない色の野菜たちだが味はいたって平凡だ。俺はわりとコツコツ生きるのが性に合っているのかもしれない。
それが終わったら火を起こして朝ごはんを作る。
コインが狩ってきた謎肉を緊縛料理人トトさんから教えてもらった調味料で味を付ける。準備ができるころにふわぁっとあくびをしながら、コインとリーンハルトが起きてくる。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう。さっさと顔を洗って来い」
恩返しをしに来たはずのリーンハルトは坊ちゃんらしく何もできないやつだった。最初の頃は頑張って色々としようとしてくれたが、任せたら朝ごはんが夕飯前になったのですぐに止めさせた。
「タロウはいい伴侶になりそうですね」
って微笑むな。そっちができなさすぎるんだ。現代人より何もできないってどうやって生きてきたんだ。
布団が無かったら早々に追い返していた。
残念ながらリーンハルトはこの山のカーストではコイン以下である。
「俺、今日は街に下りるから」
岩で作った椅子に座りつつ、今日の予定を伝えた。
「ついて行きます!」
リーンハルトが良い笑顔でこたえる。3週間で伸び放題のひげに野菜の繊維がついていたので、拭ってやって頬を軽く撫でた。
「いや、お前そろそろちゃんと仕事をしろよ」
俺もひきこもりだったから偉そうに言えないが今の状態は正真正銘ヒモだからな。
「大丈夫です、恋愛休暇はまだあと3カ月はありますから」
なんだそのお花畑みたいな休暇。俺が訝し気に睨むとリーンハルトは心得たようにうなずく。
「タロウも知っての通り。この世界は出生率がとにかく低いんです。なので俺みたいな魔力をたくさん持っているものや、恋人や伴侶ができたものは、じっくりと関係を深めて子供を作りやすくすることが国策として推奨されているんです」
「……あぁ」
リーンハルトはわざとらしく説明する。コイツは薄々感づいていた。俺が子供でも知っているようなことを知らない事実に。だけどこうやって誤魔化すように説明するのは俺に気を使っているからだ。
何もできなくてもへこたれないところ。そっと、力仕事を変わってくれるところ。何をやってても楽しそうなところ。
細かな気配りに俺の心に向かって赤い矢が飛んでいる。刺さるのも秒読みで恐ろしい。
『子作り:リボンに二人の名前を書いて、聖教教会の木に結び。その夜に性交渉するとリボンを結んだ場所に実がなる。主に3カ月間木で育ち。7カ月間二人の魔力を与えることで実から子供が生まれる。木に実がなるのは稀である』
オッケーグリモワール。今知った。記憶を消そうと頭を掻きむしってみたが無駄な抵抗だった。
それが終わったら火を起こして朝ごはんを作る。
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「おはようございます」
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恩返しをしに来たはずのリーンハルトは坊ちゃんらしく何もできないやつだった。最初の頃は頑張って色々としようとしてくれたが、任せたら朝ごはんが夕飯前になったのですぐに止めさせた。
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布団が無かったら早々に追い返していた。
残念ながらリーンハルトはこの山のカーストではコイン以下である。
「俺、今日は街に下りるから」
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「ついて行きます!」
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「いや、お前そろそろちゃんと仕事をしろよ」
俺もひきこもりだったから偉そうに言えないが今の状態は正真正銘ヒモだからな。
「大丈夫です、恋愛休暇はまだあと3カ月はありますから」
なんだそのお花畑みたいな休暇。俺が訝し気に睨むとリーンハルトは心得たようにうなずく。
「タロウも知っての通り。この世界は出生率がとにかく低いんです。なので俺みたいな魔力をたくさん持っているものや、恋人や伴侶ができたものは、じっくりと関係を深めて子供を作りやすくすることが国策として推奨されているんです」
「……あぁ」
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細かな気配りに俺の心に向かって赤い矢が飛んでいる。刺さるのも秒読みで恐ろしい。
『子作り:リボンに二人の名前を書いて、聖教教会の木に結び。その夜に性交渉するとリボンを結んだ場所に実がなる。主に3カ月間木で育ち。7カ月間二人の魔力を与えることで実から子供が生まれる。木に実がなるのは稀である』
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