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噂話

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ブチの守護る村。
畑のあぜ道で、村人たちが集まり、噂話をしている。

「尾張の国の軍勢に、今川の殿様が首を取られたそうじゃ」
「たった2000の兵で、20000の軍を破ったと!」
「聞けば突然ひでえ嵐が起こって、今川の殿様はおろおろしとる隙を襲われたそうじゃ」
「そんなの、妖魔が力を貸したとしか思えん」
「大いくさが始まったって・・・大混乱じゃ」
「じきに駿河の国でも戦になるずら」
「戦になれば、男はみんな兵隊に取られるらに」
「畑はどうなるずら?」
「家や畑は焼かれちまうら」
「そうなりゃ、こんなちっぽけな村、無くなっちまうらに」
「どうにか、ならんかのう」
「せめて、かかあと坊主だけでも逃がせんもんか」
「逃がすったって、何処へ?」
「はあ・・・」

畑仕事の帰りに通りかかったミコ、村人たちの噂話を聞いてしまう。

「そんな・・・この村がなくなっちまう・・・?」

深刻な表情を浮かべるミコ。
ミコは、幼い頃の事を思い出していた。
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