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第一章 オレが社長に・・・?

自己紹介

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オレの名前は天野輝星。
「輝星」と書いて、「ベガ」と読む。
俗に言う、キラキラネームという奴だ。

何でこんな名前にしたかは、わからない。
物心ついた頃には、親父は蒸発していなかった。
母は女手一つでオレを育ててくれたが、無理がたたって身体を壊し、オレが高校生の時にあっさりとあの世へ行ってしまった。
頼れる親戚もなく、天涯孤独となったオレは、「せめて大学は出ておいた方が良いぞ」という高校の担任の勧めで、母親が残してくれたわずかばかりの保険金を使って、大学に入った。
ただ、一生懸命勉強していたワケでもなく、必死に部活に打ち込んでいたワケでもないオレが入れる大学は、たかが知れていた。

私立文系の三流大学。
それでも、青春時代は楽しく過ごせた。
コンパにサークル活動、それなりに恋愛も経験した。
良い大学生活だったと言っていいだろう。
ただ、それも大学三年になったあたりから暗雲が立ち込めはじめる。
就職活動という奴が始まった時、オレは自分の甘さを思い知る事になった。

面接を受けても受けても、箸にも棒にも引っ掛からないのだ。
世の中は就職氷河期、ってワケでもないけれど、大不況の真っ只中。
大学さえ出ていれば、良い会社に就職出来て、幸せに暮らせる、なんて事は全然なかった。

就職活動に失敗したオレは、そのまま卒業し、アパートの近くのコンビニでアルバイト生活を続けていた。
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